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月収5万円からの起業家生活

法人を経営してもう5年目になる。

カレー屋を買い取って潰れたり、居酒屋も潰れたり、詐欺にあったりと楽しいことばかりだった。

数年前は200人オーバーの従業員がいたが、今は8人でエネルギー関係の代理店をメインでやっている。

狂うぐらい儲けてはいないが顔面蒼白にならないぐらいは回っている。給与遅配もないし無借金だし黒字だし税金の滞納もない。役員もおらず経営者も自分だけで内政の軋轢もない。

月収5万で古本屋のバイトをしていたり、マクドナルドに通用しなかった自分からしたらもう有り難い極みでしかない。

「マクドナルドのバイトより会社経営のほうが難易度は低いと思っている」という話をすると「いやいやいやいや」と言われる。

言われて当然なのだけど本当なのだ。正確に言うとマクドは難易度をいじれないけど、会社経営は難度を操作することができるから簡単に設計できる、ということだ。

別にビル街を歩かないでも、財務に詳しくなくても、法律に疎くても、カリスマ性がなくても、お金がなくても、パソコンがいじくれなくても、根性がなくてもやれる。

全部ないとできないかもしれないが「根性はないけどパソコンは使えます」だったり「財務は幼稚園児レベルだけど身体は頑丈です」とか「カリスマ性ないけどヒトのせいにしません」とかなら十分だ。

難易度コントロールの話だけど、むずかしい経営をしてる友だちの話がある。

バンドをしているとバンドマン友だちができるし、フットサルをしているとフットサル友だちができるように、会社経営をしていると経営者友だちができる。

そのほとんどが「すごい系」だったりする。
MBAを持っているとか資金調達を何千万したとか、ホリエモンに会ったとかだ。
そしてバンドマンやフットサルプレイヤーの属性と違って、経営者はバリバリの成長意欲や上昇志向を宿しているひとがかなり多い。

これらが悪いとかでも「俺と合わない」とかでもない。むしろ刺激がもらえるし、のんべんだらりとしている連中と喋るよりは楽しい。

このひとたちはいわゆる「マクドのバイトより難しい経営」をやっている。資金調達をした友だちの話を聞くとメチャクチャ激ムズそうだった。

資金調達というのはいわゆる「僕の会社儲かりそうっしょ?儲かったら分け前あげるし、ちょっとだけ会社の権利もあげるからお金ちょーだい」というものだ。

このお金を出すひとを『資本家』とか言ったりする。お金だけ出して社長を働かしている黒幕とも言える。

資金調達を受けると経営はマクドバイトより難しくなる。
なぜならお金出した人の機嫌も取りつつ有言したものを実行しなきゃいけなくなるのだ。プライベートなんてなくなるし出資してもらった資金を活かさないといけないのだから当然なのかもしれない。

これをグイグイやるだけのエネルギーがあるのだからそりゃ「すごい系」の話は多くなる。

反対に僕には「上場してやる!」とか「日本一の会社を作る!」とかいう野望、ビジョンがあるかというとない。

やる気ないわけじゃないのだが僕が自分自身に課しているミッションは「世の中の求人に出されている場所よりは、明らかに時間と報酬においてクオリティの高いフィールドの提供」なのだ。

正直、「プレミアムな労働環境」と「企業価値の上昇」は共存が難しい。「神バイト」と「イケてる会社」は相容れない。

理由の一つにさっきの資本家の存在がある。

ちょっとお金が会社に残らなくなると『人件費の圧縮』が手軽に提案されるからだ。資本家に「給与あげすぎじゃね?」と言われたら社長は「へい!下げます!」と答えがちなのだ。

極端すぎる例なのでイソップ童話みたいに聞こえるが実際に友だちから聞いた話ではある。これを聞いたとき「うわ、いやだなぁ」と素直に思った。親と中学生の関係みたいである。

「給与あげすぎじゃね?」とは「同じパフォーマンスが出るなら報酬を不要に上げなくて良い」ということだ。僕たちも電車に乗って、無事に目的地にたどり着いた際、「ヘイ!駅員!ボーナスだ!取っときなよ!」と500円玉をあげたりはしないのと一緒だ。まぁ理屈はわかる。

僕は10以上のバイトで通用してこなかった。通用しないまま30代に突入してしまう系バンドマンだった。

そのせいか「この労働環境だったらかつての自分でもやれそう」という視点がいまだに強くある。実務能力が高くない人間は高くない人間なりの生き方をしていけばいいと思う。

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