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いろんな人に「騙されたや」と話したら眉をしかめながら「馬鹿だなぁ……!」と言われた

数百万円の詐欺を食らったことがある。「儲かるよ」と言われたので「儲かるなら」ということで乗っかったのだが、相手の実体はなく、身分証も偽造、実体もなしですべてトンズラこかれてしまった。ぼんやりしていた。

詐欺というものの面白いところ、というか変わったところが「被害者も悪いよね」という一定の圧が存在することだ。

実際、僕もいろんなひとに「騙されたや」と話したら眉をしかめながら「馬鹿だなぁ……!」と言われたり、「そんなうまい話なんてないんだから!」と避難がましい態度を取られた。「泣きっ面に蜂」ということわざはコレのことか、と言いたくなったことをよく覚えている。

ここまで被害者側の防犯意識が求められる犯罪はない。

戸締まりが多少ゆるくて、空き巣に入られたり、露出の多い服を着ていて痴漢に遭ってもここまで「お前も悪い」とは言われないだろう。

なぜか詐欺被害というのは「そんなんに引っかかるなよ」という反応が一定数見受けられる。被害者の責任がわりと重たいのだ。

これは「儲かるらしいよ」という文言に引っかかる欲深さ、愚かさに対する追求なのかなと思ったこともあるが、どうやらオレオレ詐欺のようなものも被害者がわりと責められるらしい。「俺(息子)の声もわかんねーのかよ!」と言った具合だ。

息子を心配した結果、財産を失い、そんなこと言われたら想像するだけでキツイ。被害に遭っても届けを出さないひとも多いそうなのだが、「責められたくないから黙っていよう」という理由もあるみたいだ。

僕も引っかかったわけだけど、被害届を出したりはしていない。取り返すこともできないらしいし、無駄足になりそうだからだ。義憤に駆られて、「悪を駆逐せねばならない!」といった心持ちもない。不思議と憎しみが少ないというか、「一杯食わされた」という敗北感がある。

しっかり試合をした爽快感のようなものはないのだけれど、そこまで不快感はない。ビニール傘をパクられたときの方が怒りの度合いは大きいように思う。やられたこちらがこの調子なのだから減らないわけである。

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