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機材買いすぎてシューゲイザー辞められへん!

『機材買いすぎてシューゲイザー辞められへん!』と真剣に悩んでいた男の話だ。ほぼ落語だ。

Xで文章を書き始めてフォロワーと求人の応募が増えた。

求人広告からの応募よりも曲とかリフとか送ってくれるので選考しやすい。

弊社は試用期間も時給2,300円・一日6時間稼働なので22日だと月給303,600円になる。試用後はさらに上がる。

僕はタウンワークを読むのが好きなので、ファミレスに入ると、出入り口付近に並べられたアレをまず手に取る。地域の仕事も分かるので非常に面白い。

世の中の仕事をいつも見ているがしょっぱい。賃金は上がりつつあるので900円代は減ってきたけれどなかなか1,500円は超えない。

自分のバイト経験からすると、もちろん1,500円は充分に高給だと思うが130時間稼働だと195,000円。

「暮らせないぜ!」というほどではないけれど、今の世は物価が上がってきているのでラクではない。

「時給1,500円でラクではない」という世の中は個人的には生きづらい。

もちろん売上が出てこないと人件費はコストになってしまうので、基本給をジャブジャブ高くするのは会社の健康状態を圧迫するので危険極まりない。

でも諸々を削ると時給を2,300円にデザインするぐらいはそこまで難しくない。

僕はもうオフィスを持たないようにしているし、事務員も雇っていない。社労士も行政書士も弁護士もショット化しているし、顧問契約は税理士以外していない。

むかし脳死で導入してしまったいろんなツールや習わしがあったけれど、削ると平気で100万以上浮いたりする。

ケチって苦痛を伴うのは良くないけれど「会社とはこういうものザンス」と決め込むと要不要を考えずに払ってしまうお金がある。

特に法人はクーリングオフのような消費者を守る制度がない(消費者じゃないから当然だけど) だから法人に提案されるセールスは特定商取引法からすると法外な案件になる。
「ほぼ詐欺」みたいな提案も山盛りなので、なんでもかんでも買っているとすぐにゴミ屋敷化してしまう。

反対にいろんなツールを捨てると極めて身軽になる。人件費に使えるお金が浮くのもそうだが、そもそも業務の移行も簡単になるし、ジャンルの切り替えもラクだ。

バンドをやる前からいろんなギターやエフェクターを買うひとがいるがあれに似ている。

機材が足かせで業務移行できなかったバンドの話だ。

むかし打ち上げで「シューゲイザーじゃなくて王道ギターロックやりたいんだけど」と言っている友だちがいた。

※シューゲイザー=シュワーとかフワ〜とかいう音が出て自分の靴(shose)を見ながらぼそぼそ歌う音楽。初期のきのこ帝国とかのこと ※王道ギターロック=アジカンのリライトのこと

僕は「やればいいじゃん、王道」と答えたが彼は「シュワーとからフワ〜って音を出す機材、いっぱい買っちゃったからなぁ…」と言っていた。

「もう売っちゃえば?」
「でもボード組んじゃったし」

※ボード組む=機材を入れ物に固定すること。両面テープて貼ったり、ボルトとかでビタビタにくっつける。バラすのはけっこうめんどいし汚くなる

「あとキーボードもいるし」
「解散するか、もう一個バンド組めば?川谷くんみたく」
「金がない」

※キーボードいるし=王道ギターロックにはキーボードはいない。
※川谷くん=インディゴやってたけどゲスの極みを組んだばっかりだった。

まぁこんなやりとりの果てに彼は王道ギターロックをやらなかった。

たしかにギターから本来シュワーとかフワ〜という音は出ない。あれはギター本来の『ジャーン‼️』という音にエフェクト(効果)をかけてメイクしているのだ。

コーラス リバーブ フランジャー フェイザー ディレイ コーラス トレモロ

そう呼ばれるメイク道具はシューゲイザーをやるには必要だ。ギタリストが踏んづける青とか緑色の箱だ。ひとつ1〜5万円ぐらいするのでシューゲイザーをやるひとのボードの中身を合計すると20万円以上する。

しかし王道ギターロックにこれらはいっさい必要ない。

残念なことにこれらの箱を踏んづけると王道ギターロックではなくなってしまうのだ。王道たちの踏んづける箱は黄色い。青にしても薄くはない。濃い青だ。

「音楽のジャンルって分かんない!」というひとはギタリストが踏んでいる箱の色を見るといい。

踏んづけている箱の色彩がすべてなのでRGBのトータルの数値で判断すれば間違いない。

真っ赤なリップを塗りたくると、ナチュラルメイク美人から脱線してしまうのと同じだ。

「じゃあ捨てればいいじゃん」とか「売ればいいじゃん」と思うのだけど人間はなかなかはそう思いきれない。

【サンクコスト効果】という心理学用語があるけれどそれだ。ヒトは「せっかく買ったからもったいない」という感じる生き物なのだ。

だけど踏んづける箱のせいで、やりたい音楽を変えられないなんて本末転倒だし、不自由の底でのたうち回るような話だとも思う。

思うけど気持ちも分かるから怖い。

着ないのに「持っていないアイテムだから」とか言いつつ服やクツを買う行為も似ている。一年以上使わなかったものは手放したほうが本当は良い。ロクなことがない。

「手放せないもの」が多いと今いる場所から動けなくなる。

「本当にいるもの」も分からなくなる。

「大事なもの」を雑に扱ってしまう。

ミニマリストというかモノが多いと本当に頭がぐちゃぐちゃになる。

頭がぐちゃぐちゃだと考えるだけでヘトヘトになる。

本当は行きたい場所に行けるのに、行けなくさせているのは他でもない自分だったりする。

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