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楽曲提供47万円で請ける方法

「楽曲提供」という仕事がある。
ある日の案件は1曲47万円だった。
しかし1曲1.2万円だったこともある。

価格の振れ方にマトモな感覚だと付いていけなくなるが、僕の頭は「どうすればまた47万になるんじゃろう?」でいっぱいだった。

メカニズム自体はあまり難しくはない。

僕たちは市場価値というものに心が支配されがちになる。

イケてる対バンに声をかける前に「◯◯をイベントに呼びたいけどいくらかかかるんやろか?」という話題になる。「ねぇ、U2。あなたたちを呼びたいんですけど条件いくらでやってます?」みたいなグズグズした金銭交渉になることも多い。

楽曲提供になると発注側が「◯◯で書いてもらえませんか?」と言った流れだ。ちなみにこのお誘いは僕にだけ来ているわけではない(に決まっている)

プロジェクトが立ち上がり作家候補としてAさん、Bさん、Cさんと候補が並び、その中に僕もいる。ラインナップメンバーの歯車の一部…というか「歯車にしようかどうしよっかなー」と思われるているだけに過ぎないのだ。

どの歯車にするかを選ぶ作業があるので、納期が早い、金額が安いなど相対的に評価をする必要になる。こうして「市場価値」が誕生する。

前置きが長くなったがこの『Theラインナッパーズ』のメンバーになってしまうと依頼料は一気に安くなる。

がんばって交渉したとことで1.2万が2.2万になるぐらいだ。数十万に発展することは絶対にない。発注元の取り分がなくなってしまうし、別の歯車を買えば事足りるからだ。

ではどうすれば47万円は手に入るのか。
答えは自らが発注元になってしまうことだ。

自分がプロジェクトを始めて、自分が発注元になり、作家である自分に発注する。というか「楽曲提供者は不要。自炊できるから」という仕組みを構築する。平たく言うと「胴元になる」のだ。

この『47万円事変』の仕事になったときはそれに気付かなかった。6年ほど前の話になる。

投げ銭が流行りだしたタイミングで依頼が来たのだ。

「投げ銭で資金を調達するんで、この楽曲提供プロジェクトを立ち上げてくれませんか?依頼料は総売り上げの50%で」的な内容だった。

配当分率は忘れたけど40か50%とかだった気がする。いくつかのアーティストがそのプロジェクトに参加し、一番数字を出したアーティストに僕が楽曲を提供するという内容だった。

まだ世の中にスパチャなんて言葉もなかったし「まぁ別にいいすよ」ぐらいの冷めた温度感で受けた仕事だったが、かなりローリスクハイリターンなシステムだ。やってみないと気付かなかった。

・競争するので投げ銭が集まりやすい。
・集まってから楽曲製作が開始される。
・集まらなくても赤字がない。
・お金を経由する場所がない。

という安全性が保たれていた。

反対に謎のプロダクションが発注元になると

・資金の規模が見えない
・基本的に後払い。未払い事件も絶えない。
・単発バイトと同じ。
・発注元を経由。

こういったデンジャラスなマネーフローになる。
普通っちゃ普通なのだがやはり数十万円に手が届く未来はない。「◯◯円もらえる」という受動的な環境の持つ限界値だ。

胴元になるというのは容易ではないし、僕の47万円バブル案件も完全なる胴元というわけではない。

だけど『胴元まがい』やある程度、お金がコントローラブルなポジションをデザインする意識を持つと結果は良くなる。

「もらえる」じゃなくて「稼ぎ出す」というスタンスの仕事を増やしていくのだ。

ノルマ15枚のブッキングライブで30人動員してもギャラが1.5万円ぐらいだ。自主イベントなら、倍以上の結果になることも少なくない(シチュエーションによるけど)

「ラーメン屋のバイトよりはラーメン屋のオーナーになったほうがいいよ」みたいなものすごい話でもない。

考え方をちょっとフラットにするだけだ。

たとえば就職だって「会社に入る」という表現は間違っている。真実は会社と「この条件で労働力を売買するよ」という契約だ。

下請けスピリッツが過ぎると搾取されまくる。
もちろんいつだってwin-winなんて難しい。

でも僕たちはどこかで自分の足で立って歩いていかなきゃいけない。成人してるくせに音楽をやってやがるんだから。

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