世界一嫌われている食べ物の話
ドラえもんの声優が変わった年だった。皿洗いのバイトをしていた。
正確に言うと和食屋の厨房なのだが、僕は料理を触るアビリティが皆無なので、食器洗いのエキスパートだった。
濡れてしまうということで、制服は半袖。絶え間なく注がれる冷たい水に手は腫れ上がった。清冽な水は肘から先を何時間も濡らし続け、毎日何かの洗礼を受けている気がした。
コンクリート剥き出しのバックヤードは、極寒の外気にさらされてので、よく風邪をひかなかったと思う。
あの冬はレミオロメンの『粉雪』が一日に何度も流