【読書】日本を降りる若者たち
2007年出版の文庫本。
タイ、バンコクに「外こもり」する
人達が出てくる話。
コロナ禍を経て、円安傾向が止まらない
現代でも同じような人がいるのか、
実状は分からない。
外にこもるだけならまたしも、
刑務所の中から、犯罪の指示をするような
人間も出てきているくらいだから、
安穏とした世界ではなくなっている。
日本に嫌気がさしたとしても、
外に行くこともなく、
手直に金がほしいといって、
犯罪に加担している人達に比べれば、
圧倒的に行動的で、健全な世界観。
本人たちの劣等感、社会への不満、
違和感はさておき。
現在、安易に犯罪に加担してしまう人は、
この本に出てくるような人の生き方、
暮らし方を知らないから、
目先の知っているお金、価値観に
合わせるように動いてしまうのではないか。
海外に行くから立派というわけではない。
行動力は認めるけれど、
どこかいい加減で無気力な人も多い。
でも、犯罪に走ることはなく、
むしろ、そんな社会の猥雑な部分から、
なんとか離れたいという強烈な意志を感じる。
「外こもり」で日本社会とは関わりたくない、
という拒絶の意志。
それが今はできないのか、
やりにくいのか、
はたまた知らないのか、知ろうとしないのか。
飛行機が飛ばなくなったわけでもない。
さんざん騒いだコロナ禍でも飛んでいた。
あの手この手で許可を取ってとんだ人もいたはず。
今、犯罪へと道を踏み外してしまった人は、
パスポートの作り方も知らなかったんじゃなかろうか。
読んでいる途中から、
ここ最近の「闇バイト」なんて言われる
犯罪行為に加担する人々のことが
浮かんで仕方がない。
そんなに金がないのか?
ウソやろ。
スマホいじって、連絡とって、
応募までしてるんやから、
そのお金と行動力あるんやったら、
パスポート、航空券とって、
パッと海の向こういけたやん。
普通に就職して、
結婚までしてしもた人の方が、
そうそう簡単に動かれへんねんから、
なんで、動き回れるやつがそんな
あほなことで一生の大切な時間を棒に振るねん。。
本には書いてない、
今の社会で起きてる問題に、
頭がもってかれてしまう。
もう一度、
この本の中に出てくる
「外こもり」が選択肢に
出てくる社会にならんかな。
それとも、今の社会は
それが行き過ぎたからの
当然の帰結なんかな。
だれも寄り付きたくない、
もうここにはとどまりたくない世界。
そんなに悪いところではないんやけどね。