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最速で二段の壁を突破する将棋独学法~ゲーム性と具体的方法論~

第1章:序論

1.1 背景

私が将棋を覚えて15年以上が経過した。当時と比べて将棋の楽しみ方は多様化し、将棋関連の書籍も戦術書に限らず様々な書籍が出版されるようになった。将棋に関する情報は日々増加し、将棋を学んで始めてみるには困らない環境になった。
しかし、指す将棋ファン、通称:指す将として将棋を勉強し始めるには出版されている将棋書籍が多く、どの棋書を購入し、勉強し始めればいいかが分かりづらい状況になってきているともいえる。

1.2 目的

本記事では、将棋歴15年以上、アマ四段の私が知的格闘技としての将棋を楽しむための独学上達方法を考察する。
15年前とは状況が変わり様々な棋書が出版されている。その中で指す将棋を楽しみたい人の棋力向上に役立つ棋書をできるだけ多く紹介し、将棋の普及に貢献できれば幸いである。

1.3 構成

本記事では、まず将棋のゲーム性を考察し、将棋の学習で身に着けるべき能力(特に終盤力)を明確にする。
そして、将棋を楽しむための棋力の基準としてアマ二段を設定し、それをできるだけ効率よく学習して突破する方法を必要な棋書を紹介しながら考察していく。

第2章:将棋のゲーム性

2.1 序盤・中盤・終盤、価値観の変化

一般に将棋には形勢判断の基準として4つの項目が存在する。
それは、駒の損得玉の固さ駒の働き手番の4つである。
プレイヤーはこれらの項目を意識しながら手を読み、数手、数十手先の局面を評価し、指し手を選択する必要がある。
将棋の特徴は序盤と終盤での価値観の逆転にあると思う。概念図を下に示す。(図1)

将棋は先手・後手共に20枚の駒を揃えた状態から開始する。そのため、序盤は駒を簡単に取られないように駒の損得、中盤以降の戦いに備えて玉形を整備して玉の固さを整備することが重視される。
中盤、駒がぶつかって戦いが始まって以降は、局面によって様々な要素が絡み合う。そして終盤は相手の玉を詰ます、自玉が詰まされるの展開になるので、駒の損得よりも速度(=手番)が重視される。
つまり、将棋は序盤と終盤でまったくの別のゲーム性を持つようになるのだ。序中盤がマラソン、終盤戦が100Mの短距離走ぐらいゲーム性が異なる。

2.2 将棋に必要な能力

将棋に限らず戦略を練るゲーム一般に言えることだが、プレイヤーに求められるのは、いかに正確に早く(数多く)自分と相手の選択を読み、最善の選択を導きだす能力だろう。
将棋におきかえれば、手(ムーブ)を沢山、そして正確に読む(考える)力のことだろう。つまり、次のような式で表させる思考力が求められる。
将棋力(思考力)= 読みの速さ(量)× 読みの正確さ(精度)
PCに例えていえば、その性能をメモリ量とCPUの性能で図るように表させる。(図2)

2.3 将棋は終盤の強い人が勝つゲーム

2.1で将棋のゲーム性の変化について触れた。さらに将棋の特徴として、後に指した悪手ほど罪が重い(=形勢に与える影響が大きい)ことが挙げられる。先に述べたように将棋は終盤になるほど詰ます、詰まされるが関わってくる展開、即ち、勝ち負けに直結する展開になってくるので、終盤になればなるほど、一手の価値が高くなる。(図3)

よって、序中盤でよほどの大差にならない以上、勝負は終盤できまる訳であるから将棋は終盤が強い人が勝つようにできているゲームなのである。

第3章:最速で将棋アマ二段を突破する方法

3.1 アマ二段の壁、知能格闘技としての将棋を楽しむ

本記事では目指す棋力目標の基準としてアマ二段を設定したい。これは柔道におけるいわば黒帯みたいなもので、このあたりの棋力を越えたあたりから本格的な趣味としての将棋が始まるといっても過言ではない。(初段以下の人の将棋を見下している意図はない。)
私見だが、初段以下の人と対局すると序中盤で相手が知らない筋(将棋における技のようなもの)でリードを奪ったり、終盤で相手が1度はぬるい手を指してその間に速度が逆転して勝利したりということがよくある気がしている。序盤・中盤・終盤のどこかしらに明確な弱点があるように感じることがある。今回設定した二段という棋力は序盤から終まで一通り自分の形ができていてそこからさらにどう成長するかという段階で一通りの基礎は免許皆伝という段階を想定している。
つまり、一通りの基礎を身に付け本格的に知的格闘技としての将棋を楽しもうという段階である。(何度も言うが初段以下の人が将棋を楽しめていないという意図はない。二段以上になれば基礎のマスターは完了してさらに応用を目指して楽しめるということだ。)

3.2 既存の学習方法の問題点

将棋のルールを覚えた次に学習すべきことは何だろうか。早く将棋の対局をしたくてまずは1つの戦法を覚えようとする人が多いのではないだろうか。
しかし、待ってほしい。2.3で示したように将棋は終盤の強い人が勝つゲームである。よって棋力向上のためには序盤の定跡よりもまず終盤の詰み・寄せの手筋、形を覚えるべきなのである。

既存の学習法ではルールや入門書の次にまず戦法(定跡)を覚えようとして何かしらの戦法の定跡書を手に取ることが大半だと思う。しかし、何度も言うように序盤よりも終盤の方が勝負に与える影響が大きいのであるから序盤よりも先に終盤を覚えるべきである。テストの勉強をするときに得点の比重の重そうな分野から勉強するのと同じである。終盤の方が序盤よりも勝負に占める比重が重いのだ。早く対局したい気持ちは今は抑えていただき、まずは終盤の勉強から始めてほしい。

先に序盤を覚えて指し始めることの弊害として学習コストの増加序中盤型になることがあげられる。
例えば、相掛かり棒銀を始めに覚えたとしてそれを実際の対局で指してみようとする。しかしながら、相居飛車の戦型は基本的に相手の同意がないと序盤の形が決まらないので、折角相掛かりを覚えても矢倉になるかもしれないし、角換わりになるかもしれないし、横歩取りになるかもしれない。
矢倉や角換わりでも棒銀はできるが、相掛かりとはまったく違う定跡・展開になる。折角1つの戦法を覚えたのにそれを指すために他に2つまたは3つの戦型についても覚えなければならない学習コストが高い。
また、四間飛車を覚えたとして対局で使ってみようとすると相手の対策の多さに苦労することになるだろう。古くからある戦法であるため、急戦・持久戦含め様々な対策が存在する。取り敢えず飛車を振って美濃囲いに囲ってと毎回同じ形で指せるメリットはあるのだが、こちらも学習コストが高い。

これらの学習コストを増加させるもう一つの要因として奇襲戦法の存在が挙げられる。これは将棋を指し始めた人は初段前後で誰もがぶつかる壁である。筋違い角をされて飛車を振れない、鬼殺しの受け方を間違えて瞬殺される等々、自分の指したい戦法に加えてこれらの奇襲戦法の対策(受け方)をある程度知っておく必要があり、さらに序盤の定跡の学習コストが多くなる。奇襲戦法を指されるのが嫌で将棋をあまり指さなくなる人もいるのではないだろうか。

これらの学習コストの増加によって序中盤型の将棋の人が多くなることが問題としてあると思う。つまり、始めに定跡の勉強をしたばっかりに序盤の定跡にばかり学習コストを割いてしまい、中終盤がおろそかになるのである。
これはテストで最初の得点の低い小問ばかり、重箱の隅をつつくように勉強し、肝心の大問を解答できなくなるといった効率の悪いやり方である。
先ほどから何度も述べているようにまずは終盤を覚えることが本筋である。

3.3 終盤の基礎を固める

さて、散々終盤を先に覚えることを力説してきたが、何をどう覚えるのか。ここからは具体的な方法を考えていく。まず到達すべき目標は終盤力初段を目指すことである。
終盤力初段とは何か、私見ではあるが次のように定義したい。
「実戦で5手詰めが詰ませられる」
「実戦で1~3手必至がかけられる」
つまり、詰将棋は5手詰めまで、必至は3手必至までが解け、実際の対局でも秒読みの中でそれを再現できるレベル感である。それができるようになるためにどの棋書を読めばいいのかこれから紹介していく。

まず、必須で取り組んでいただきたいのが、金子タカシ(2010).『寄せの手筋200』浅川書房である。本書は必至の問題集の傑作であり、寄せの基本的な手筋をほぼマスターすることが可能である。ルールを覚えた次に読んで欲しい本である。
そしてできれば、詰将棋の本も1冊持っておくといいだろう。まずは3手詰め程度の比較的優しい本を手に取っていただきたい。終盤に限らず将棋の基本は「三手の読み」であるから3手詰めを解けるようになることは将棋の基本トレーニング、スポーツでいう筋トレに相当するので、毎日コツコツ解くことをお勧めする。(レベルごとの詰将棋本は5.1に一覧を記載。)
*詰将棋は作品系統のものと実戦型のもので微妙に毛色が異なるので注意。
詰将棋を解くことは2.2(図2)で示したような将棋に必要な読みの能力を鍛えるのにうってつけである。慣れてきたらだんだんと手数を伸ばすことで読みの量と精度を上げることができるだろう。

金子本は必須として、パラパラと読んでみて少し難しいと感じた方には次の2冊をオススメする。
1冊目は、森けい二(2004). 『寄せが見える本【基礎編】』浅川書房である。
こちらは金子本よりも解説が丁寧で必至・寄せの形について一通り勉強ができる。金子本への準備段階として有用だ。
2冊目は、北浜健介(2016).『将棋・詰みの基本手筋』マイナビ出版である。
詰みに関する基本的な形が一通り学べる本になっている。後半は囲いや実戦形式の詰み手筋が載っており、詰将棋でよく出てくる筋の確認として実戦に確実に役立つ内容になっている。こちらは必至問題集ではないが、必至の背景にある詰み筋の確認として役立つだろう。

金子本を7割以上スラスラと解けるようになれば、終盤力初段以上といって申し分ないと思う。まずはこの本を一通りマスターすることを目指していただきたい。

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3.4 序盤の基礎を固める

終盤力初段になったあなたはもう立派な将棋指しである。戦法を覚えていないのに?そんなことはない。終盤の基礎が固まっているのだからテストでいえばすでに60点以上取れる状態だ。
ここからはスポーツや格闘技における型・フォームを覚えていく段階だ。終盤力の筋トレによって将棋に必要な考えるための十分な筋肉は身についている。次はその使い方を知るステップだ。

3.4.1 序盤戦法の固定~なんでも中飛車のススメ~

3.2で指摘したように序盤の習得には学習コストと奇襲戦法の存在があるといった。だが、この2つの学習障壁をできるだけ軽減し、効率良く序盤を学ぶ方法を最近思いついた。
それは序盤の戦法を先後問わず中飛車(角道を開ける)に固定することである。(先手なら初手▲5六歩、後手なら▲7六歩△5四歩のオープニング)
*▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角のオープニングでも▲7六歩△5四歩から
一応中飛車を目指せることを付記しておく。
これには先の障壁を攻略するためのいくつかのメリットがある。

・序盤を自分の形で戦える
これは振り飛車戦法全体にいえることだが、飛車を振って美濃囲いに囲う。
このシンプルな方針が振り飛車の魅力の1つである。さらに中飛車は次に述べる特徴から他の振り飛車に比べて乱戦になりにくい点が利点である。
序盤の形は対抗形(居飛車VS振り飛車の形)の先手、後手、相振り飛車の大まかに3つに限定されるため、様々な戦型を指せることが必要な居飛車戦法に比べれば学習コストはずっと低いだろう。(*相振り序盤の定跡はあまり整備されていないが、後ほど役立つ棋書を紹介する。)

・奇襲戦法にされにくい(乱戦になりにくい)
初手▲5六歩、2手目△5四歩から始まる中飛車は初めに角道を開けないため、筋違い角鬼殺しなど序盤で角を交換して乱戦にしてくる戦法は原理的に成立しない。アヒル嬉野流などにされることはあるが、他の角道を開けて始まる振り飛車に比べれば、序盤乱戦になる確率はグッと低くなる。それだけで序盤の学習コストが軽減する。

・自分から先攻できる展開が多い
角道を開ける中飛車はスキがあれば5五歩と中央の位を取り、攻めの形を作っていく、5筋は相手の玉頭であるから相手は中央突破を許さないために受けるか玉を囲う必要がある。こういった性質上、中飛車側から攻めていく展開が多くなる。他の振り飛車(特に角道を止める形)を指そうとすると居飛車からの急戦を受けたりする展開も少なくない。折角、終盤の寄せ(攻め)を覚えたのに受けにまわる展開になるのは良くない。始めは自分から攻めてそのまま押し切ってしまうような展開になる方が望ましい。

この方法のデメリットとしては序盤の形が絞られる(相手に研究される)ことが挙げられるが、逆にこちらだけが経験値の高い(研究の深い)局面に持ち込めるとも考えられる。
色々な戦型を指しこなすことには憧れるかもしれないが、最初はストレート1本の真っ向勝負型のピッチャーでいいのである。変化球を覚えるのはストレートを極めてからでいい。

3.4.2 序盤の原理を覚える~始めの一冊~

中飛車を覚えるための最初の1冊としてお勧めしたいのが、戸辺誠(2021).
1手ずつ解説する先手中飛車』マイナビ出版である。この1手ずつ解説するシリーズは様々な戦法のモノが出版されている。
本書はゴキゲン中飛車のスペシャリストでもある戸辺七段が先手中飛車の序盤を1手ずつ解説した本である。とにかく解説が丁寧で本当に1手ずつ手の意味が解説してある。初級者同士でありがちな居飛車が一直線に棒銀で攻めてくる変化など、普通の定跡書では取り扱わないような形や変化まで書いてあるので、安心して先手中飛車をマスターできる。
終盤の寄せを身に付けた後の序盤を学ぶ最初の一冊として1手1手の意味を覚えながら定跡を身に付けるのにうってつけの1冊である。是非とも盤駒も購入し(3000円位で揃えられる)、実際に盤に並べながら学習してほしい。個人的な感想であるが、ただ読むよりも実際に盤に並べながら学習した方が覚えやすい気がする。所謂、指が覚えている状態になりやすいと思っている。

本を見ずともスラスラと定跡を並べられるようになれば、先手中飛車の免許皆伝といっていいだろう。他の戦型(後手番、相振りなど)を勉強したい気持ちはあると思うが、まずはこの本を一通りマスターしていただきたい。

1手ずつ解説する先手中飛車 (マイナビ将棋BOOKS) | 戸辺 誠 |本 | 通販 | Amazon

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3.5 実戦する(中盤を経験する)

終盤で読みの力を身に付け、序盤の型を習得したらいよいよ実戦だ。
中盤の学習方法はないのかというと、参考になる棋書がないわけではないのだが、2.3(図3)に示したように中盤の変化は膨大であり、中々体系化することは難しい。それよりも実戦で経験を積んで勘所を掴むというか、慣れた方が早いと私は考える。

早く人と指したい気持ちは分かるが、私は、始めはアプリでCPUと戦うことをお勧めする。何故ならいきなりアプリで指し始めても毎回覚えた先手中飛車の形になるとは限らないからだ。
私のオススメアプリはぴよ将棋である。このアプリの特徴はCPUの強さの幅が豊富で戦型が指定できる点である。まずはCPUを後手、戦型を居飛車か居飛車穴熊に固定し、5級位から対局し、最終的には初段を倒せる程度まではぴよ将棋で壁打ちすることをお勧めする。

ぴよ将棋w - 対局将棋アプリ WEB版 (studiok-i.net)
「ぴよ将棋」をApp Storeで (apple.com)
ぴよ将棋 - 初心者から有段者まで楽しめる・高機能将棋アプリ - Google Play のアプリ

対人の対局は以下のアプリ・サイトを参考にしてほしい。ただし、注意していただきたいのは、切れ負けルールは10切れ以下はやらないことである。
これは私見であるが、最初の内から短い切れ負けルールで数多く対局をすることに慣れてしまうと将棋が雑になってしまうと思っている。切れ負けルールは持ち時間が極端に短いため、空き時間にサクッと指すのには向いているが、じっくり手を考える習慣はつきづらい。始めのうちは最低でも10切れでちゃんと考えて手を指す習慣を身に付けてほしい。

将棋ウォーズ
人気のアプリ、ルールは3切れ、10切れ、10秒将棋の3つ。一日3局まで無料で対局できる。課金によってプロ棋士との指導対局も受けられる。
将棋ウォーズ公式-日本将棋連盟公認-オンライン将棋ゲームの決定版 (heroz.jp)

将棋クエスト
こちらもユーザー数の多いアプリ。ルールは2切れ、5切れ、10切れの3つで局数の制限なく無料で利用可能。詰将棋などのパズルコンテンツもある。
将棋クエスト - Google Play のアプリ

将棋倶楽部24
歴史のある将棋サイトでアプリ版もある。他のアプリに比べてやや棋力の基準が厳しい印象。本格的にやりこみたい人向け。対局後チャットによる感想戦機能がある。
将棋倶楽部24 (shogidojo.net)

81道場
近年できた将棋対局サイト。グローバルな展開をしており、海外の将棋愛好者とも対局できる。大会などのイベントも豊富。
81Dojo Top

Lishogi
最近できた将棋対局サイト。対人戦以外にも詰将棋、AI対局などが可能。
lishogi.org • 無料オンライン将棋

3.6 終盤を強化する

対人との対局をしていると自分の思い通りに行かなかったり、序盤どう指し手いいか分からないことも出てくるだろう。(特に相振り飛車)
序盤を勉強して作戦の幅を広げたり、研究を深めたい気持ちは分かるが、
一旦その気持ちは抑えていただき、ここは中終盤の見直しをしていただきたい。何度も述べるように将棋は終盤のゲームであるから序盤を強化する前にまずは終盤を強化することをお勧めする。
実は今までの学習で抜けていた部分がある。それは中盤から終盤への繋がる部分、定跡書に乗っているような有利・優勢な盤面から勝勢・勝ち(詰み)に持っていくための寄せよりもちょっと広い範囲の技術である。図4に示すように相手の陣地・囲いを崩してから詰めろを掛ける間の部分の指し方の方針である。

その部分の勉強に役立つ棋書があらきっぺ(2021). 『終盤戦のストラテジー』マイナビ出版である。この本は先に述べたような中盤から終盤の入り口の部分の概念を言語化した本である。相手の陣地に成り駒を生成してからいかにして寄せ・詰みの段階にまで持っていくのかが明確に言語化されている。
この本によって終盤戦がより立体的に理解できるようになるだろう。読むだけで歩1枚、マスターすれば香車1枚分強くなること受け売りである。
金子本(寄せの手筋200)同様にぜひ手元に置いておきたい1冊である。

終盤戦のストラテジー (マイナビ将棋BOOKS) | あらきっぺ |本 | 通販 | Amazon

3.7 序盤の幅を広げる

先手中飛車をマスターしたあなたはもう立派な将棋指しである。しかし、
振り飛車党が多いアマチュア同士の対局だと相振り飛車になることもよくあるだろう。ここでは中飛車相振りにおける指し方を学べる棋書を紹介する。
それが、鈴木大介(2010). 『相振り中飛車で攻めつぶす本』浅川書房である。
本書は振り飛車御三家である鈴木九段が相振りにおける中飛車の指し方を
対三間飛車、対向かい飛車、対中飛車(相中飛車)、対四間飛車の全てを網羅して書かれた本である。内容は豪快な棋風の鈴木九段らしく分かり易い攻めに重点を置いて解説されており、本書で相振り中飛車の指し方を一通りマスターすることができるだろう。個人的には対三間の指し方に4章分ページが割かれており、内容もやや高度になっていると感じる。

また、序盤の幅を広げるためにゴキゲン中飛車の網羅的な定跡書を紹介する。*同じ角道を開ける中飛車でも先手中飛車と後手番の時はゴキゲン中飛車と呼称を区別することがある。
それが、鈴木大介(2013). 『中飛車の基本【ゴキゲン中飛車編】』浅川書房である。先ほど紹介した戸辺本(1手ずつ解説する先手中飛車)の指し方でも後手番で指せなくはないのだが、1手の違いは急戦調の将棋でかなり影響が大きく、そのままでは使えないこともある。本書はゴキゲン中飛車(後手)の指し方を網羅的に記載しており、他の鈴木本同様、明確な分かり易い方針で指せる形を重視しており、初級でも取り組みやすい内容になっている。

相振り中飛車で攻めつぶす本 (最強将棋21) | 鈴木 大介 |本 | 通販 | Amazon

中飛車の基本 ゴキゲン中飛車編 (最強将棋21) | 鈴木 大介 |本 | 通販 | Amazon

3.8 中盤を勉強する

3.5で中盤は経験した方が早いと述べたが中盤を勉強する方法も存在する。それが、棋譜並べである。自分の将棋ではなく他人の将棋で勉強するやり方で1局を通して並べれば中盤だけではなく、序盤・終盤の勉強にもなる。
私のオススメは自分の指す戦法の側が勝った棋譜を並べることである。その方がやっていて楽しいし、勝った方はいい手(好手)を指していることが多いので、指し手を学ぶ参考にもなるからである。
現状出版されてる棋書で中飛車の棋譜並べに最も役に立つのは、黒沢怜生・杉本和陽(2021). 『中飛車戦記 2009~2020』マイナビ出版である。近年の中飛車の棋譜を厳選して集めた棋譜集であり、中盤の戦い方を学んだり、序盤の定跡の発展の歴史を学ぶのに役立つだろう。(勿論終盤の勉強にも)
個人的には序盤の手の解説が狙いなども含めて詳しいことがとてもありがたい。是非手に取っていただきたい一冊である。

また、中盤を学べる棋書は数少ないながらも存在するので紹介しておく。それが、佐藤天彦(2017). 『天彦流 中盤戦術―「局面の推移」と「形勢」で読みとく』NHK出版である。本書はNHKで放送されていた講座をまとめたもので、2.1で紹介した4つの形勢判断の基準を元に中盤を中盤の序盤、中盤の中盤、中盤の終盤と細かく分解しながら、NHK杯の実戦棋譜を解説していく内容となっている。形勢判断の軸が様々なに変わりゆく難解な中盤戦をできるだけ分かり易く言語化しようと試みた意欲的な1冊となっている。
個人的には電子版で購入したのだが、レイアウトが細かく分かれ過ぎていてやや読みづらかったのが少し残念だった。

中飛車戦記 2009~2020 | 黒沢 怜生, 杉本 和陽, 菅井竜也(推薦), 菅井 竜也(推薦) |本 | 通販 | Amazon

天彦流 中盤戦術―「局面の推移」と「形勢」で読みとく (NHK将棋シリーズ) | 佐藤 天彦 |本 | 通販 | Amazon

3.9 その他の棋書~更なるレベルアップに向けて~ 

ここからは今までに紹介した終盤・序盤の棋書のレベルアップとして2冊目以降に読むのをオススメする書籍を紹介していく。(棋書沼へようこそ)

■終盤
・森けい二(2004). 『寄せが見える本【応用編】』浅川書房
3.3で副読本的に紹介した森本(寄せが見える本【基礎編】)の続編となる本。前著に続いて逃げ出す玉を捕まえる必至問題と後半は盤面全体を含めた複雑な条件の必至問題を扱っている。本書の後半がスラスラと解けるようになれば、終盤力三段以上と言って申し分ないレベルだろう。

・羽生善治(2006). 『羽生善治の終盤術【2】基本だけでここまでできる
浅川書房
・羽生善治(2006). 『羽生善治の終盤術【3】堅さをくずす本』浅川書房
有名な羽生善治の終盤術シリーズの2、3作目に当たる本である。2は寄せの手筋の組み合わせ、3は囲い崩しに重きを置いており、あらきっぺ本
(終盤戦のストラテジー)を読んだ後に取り組むとその実戦的な応用として理解が深まるのではないかと思う。
個人的には『羽生善治の終盤術【1】攻めをつなぐ本』は大局観などを問われるかなり抽象的な難しい内容を扱っており、必須で取り組む内容ではないと思っているので今回は外している。それよりも2、3を解く方が実戦に役に立つだろう。

寄せが見える本〈応用編〉 | 森 けい二 |本 | 通販 | Amazon

羽生善治の終盤術〈2〉基本だけでここまで出来る (最強将棋21) | 羽生 善治 |本 | 通販 | Amazon
羽生善治の終盤術〈3〉堅さをくずす本 (最強将棋21) | 羽生 善治 |本 | 通販 | Amazon

■先手中飛車
・石川泰(2020). 『中飛車のポイント すぐ覚えてすぐ勝てる11の戦型
マイナビ出版
先手中飛車の定跡と相振り・右玉・引き角・鳥刺し・丸山ワクチンなど
アマチュアで頻出の形に絞って解説している定跡書である。タイトルにあるようにすぐ覚えてすぐ勝てる実用度の高い内容となっており、ネット将棋などの対局ですぐに活かせること間違いなしである。

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■相振り飛車
*今まで触れて来なかったが相振り中飛車左穴熊(相振りの中飛車で居飛車穴熊のように玉を左に囲う戦法)については本記事では紹介していなかった。興味のある方は、杉本本(対振り革命 中飛車左穴熊)、今泉本(自由自在! 中飛車の新常識)を参照していただきたい。
本記事では普通の相振りの参考になるような棋書に絞って紹介していく。

・杉本昌隆(2017). 『これが決定版! 相中飛車徹底ガイド』マイナビ出版
藤井竜王の師匠杉本八段による著書。相振りの相中飛車というニッチな
戦型について取り上げており、本書を読むことでアマチュアではある程度出現確率の高い相中飛車を研究において相手をリードできること間違いなしである。

・竹内雄悟(2021). 『中飛車の逆襲 対三間飛車編』マイナビ出版
こちらも杉本本同様、相振り中飛車の対三間飛車にのみ対象を絞ったニッチな定跡書といえる。鈴木本(相振り中飛車で攻めつぶす本)のアップデートとしても有効に活用できるだろう。*左穴熊の指し方も一部含まれる。

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■ゴキゲン中飛車
・戸辺誠(2019). 『戸辺流 こだわりのゴキゲン中飛車』マイナビ出版
3.4でも紹介したゴキゲン中飛車のスペシャリスト戸辺七段の著書。著者がベストアルバムと評する通り、今までのゴキゲン中飛車の定跡を網羅した本になっており、前半は後手番の指し方や方針が分かり易くも詳しく載っている。後半は先手番の指し方になるが、今まで紹介した棋書と被る範囲は少ないので、学べる内容が多い棋書だと思う。

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第4章:結論

本記事では指す将を目指す人が将棋を楽しむための独学上達方法を考察することを目的として将棋のゲーム性の分析と様々な棋書の紹介しながら独学での将棋上達の方法の考察を行った。
将棋のゲーム性の分析では、将棋は終盤の比重が重く、まずは終盤力の向上を通して将棋の思考力=読みの量と精度を鍛えるべきことを明確にした。
将棋上達の方法の考察では、既存の定跡から入る学習方法の問題点を指摘し、終盤から学習すべきことを再確認した。そこから序盤の戦型を中飛車に固定し、序盤の学習・中盤の実戦と学習を行う方法と棋書を考察した。
更にそこからのレベルアップとして各要素のアップデートとして役立つ棋書を紹介した。
本記事で指摘したような終盤優先型の学習方法によって、既存の学習方法よりも効率よく一定の棋力基準として定めたアマ二段の壁を越えることができると考えられる。

第5章:付録

5.1 オススメ詰将棋本まとめ

3.3で触れた詰将棋本を紹介する。お勧めは始めは初中級から1冊を買ってそれが8割以上解けるようになったら、中上級から1冊選んで買ってスッテプアップすることをお勧めする。(勿論何冊買っても構わない。)
*作品系統の本よりも実戦により役立つ実戦型の本を多めに紹介する。

■初中級向け
・遠山雄亮(2020). 『将棋・ひと目の詰み ~実戦形で終盤力アップ~
マイナビ出版(マイナビ将棋文庫)
マイナビから出ているひと目の○○シリーズの1冊。駒余りも可として実戦に出てくる囲いやその一部が残った問題がほとんどで、一部を除いて易しい9手詰め以下の短手数に収まっている。(ほとんどが5手詰め程度の難易度)
級位者が始めに取り組む詰将棋本としてお勧め、実用度も高い。

・羽生善治(2021). 『羽生善治の将棋「実戦の詰み」問題集3・5・7手
池田書店
こちらも駒余りを可とした実戦的な詰将棋本になっており、駒別・手筋・囲い別と章が分けられスッテプアップしながら詰将棋を解くことができる。手数も3~7手までとなっており、取り組みやすい内容になっている。

・高橋道雄(2014). 『3手詰将棋 将棋パワーアップシリーズ』創元社
・高橋道雄(2009). 『5手詰将棋 将棋パワーアップシリーズ』創元社
高橋九段の実戦型に特化した詰将棋シリーズ。いずれの問題も実戦に出てくる囲いやその一部が残ったものになっており、必ず実戦に役立つ詰将棋本になっている。まずは3手・5手に取り組むといいだろう。

・北浜健介(2018). 『全問実戦型! 3手5手詰トレーニング
マイナビ出版(将棋連盟文庫)
3.3で紹介した北浜八段の詰将棋本。実戦型を銘打ってはいるが個人的にはどちらというと作品よりの色が強いと思う。勿論囲いの一部が残った形の問題もいくつかあるので読みのトレーニングとして役立つことは間違いない。

・高橋道雄(2015). 『形で覚える寄せ&詰め手筋問題集178問』創元社
またもや高橋九段による書籍の紹介。この本は金子本(寄せの手筋200)と高橋九段の実戦詰将棋シリーズの間のような内容になっており、実戦型の配置かつ実用的な詰み・必至の問題を取り扱っている。解答は3手程度示している程度だが、実際にはその先の2桁ぐらいの並べ詰みまで読む必要があり、やや中級者向けの内容。金子本と構成が被っている点はあるのだが、本書は電子版で簡単に手に入る点で利点がある。

将棋・ひと目の詰み ~実戦形で終盤力アップ~ (マイナビ将棋文庫) | 遠山雄亮 | 将棋 | Kindleストア | Amazon

羽生善治の将棋「実戦の詰み」問題集3・5・7手 | 羽生 善治 |本 | 通販 | Amazon

3手詰将棋 将棋パワーアップシリーズ | 高橋 道雄 | 将棋 | Kindleストア | Amazon
5手詰将棋:テーマは「実戦!」 将棋パワーアップシリーズ | 高橋 道雄 | 将棋 | Kindleストア | Amazon

全問実戦型! 3手5手詰トレーニング (将棋連盟文庫) | 北浜 健介 |本 | 通販 | Amazon

形で覚える寄せ&詰め手筋問題集178問 | 高橋 道雄 |本 | 通販 | Amazon

■中上級向け
・本間博(2020). 『妙手に俗手、駒余り、持駒制限もあり!実戦詰め筋事典 レベルアップ編』マイナビ出版(マイナビ将棋文庫)
本間博七段の詰将棋本。駒余りも可としており、居飛車系統・振り飛車系統の囲い別に実戦型の詰み筋をかなり網羅的に取り扱っている。手数は並べ詰めでも2桁以上になることがあるので、構成の似た遠山本(将棋・ひと目の詰み ~実戦形で終盤力アップ~)からのステップアップとして非常に有用である。また、本書の前著『妙手に俗手、駒余りもあり!実戦詰め筋事典』(無印)は玉形別の詰将棋本となっている。個人的にはレベルアップ編の方が実戦への役立ち度が高いと思いこちらを紹介した。

・本間博(2021). 『完全実戦型! 将棋・ひと目の詰めろ
マイナビ出版(マイナビ将棋文庫)
同じく本間七段の詰めろ本(詰将棋ではない)。実戦に即した囲いに対していかに詰めろを掛けるかにフォーカスした内容になっているが、解説が若干不足しているため、自分で詰み筋を補う必要がある。そのためある程度詰将棋が解けるようになったら取り組むといいだろう。

・高橋道雄(2010). 『7手詰将棋 将棋パワーアップシリーズ』創元社
・高橋道雄(2011). 『9手詰将棋 将棋パワーアップシリーズ』創元社
高橋九段の実戦型に特化した詰将棋シリーズの7手・9手詰め版。先ほど紹介した3手・5手詰めの次に取り組むといいだろう。

・北浜健介(2016). 『全問実戦型!脳トレ7手9手詰
マイナビ出版(将棋連盟文庫)
さきほど紹介した北浜八段の詰将棋本の7手・9手詰め版。3手・5手詰めのものよりも実戦型の形が増えている印象。3.3で紹介した北浜本(将棋・詰みの基本手筋)を読んでから解くと詰み筋がスラスラと思いつくようになっているかもしれない。

・宮田敦史(2020). 『詰みの条件』マイナビ出版
スーパーあつし君こと終盤力に定評のある宮田敦史七段の詰将棋本。よくある囲い別に詰む・詰まない持ち駒を考える問題集となっており、詰み筋も複数・長手数読む必要がありかなり歯ごたえのある内容になっている。先の本間本を参考に作られたようなのでそのスッテプアップとして取り組むのがいいだろう。

・青野照市(2013). 『詰みか必至か? 196問』創元社
ベテランの青野照市九段による詰将棋・必至本。細かい持ち駒や形の違いなどで異なる詰み筋になるような問題を取り扱っており、後半になるにつれて普通に11手以上の詰み筋を読む必要が出で来るのでやや難しめの内容となっている。先に紹介した高橋本(形で覚える寄せ&詰め手筋問題集178問)のステップアップとして取り組むのがいいかも。

妙手に俗手、駒余り、持駒制限もあり!実戦詰め筋事典 レベルアップ編 マイナビ将棋文庫 | 本間 博 | 将棋 | Kindleストア | Amazon

完全実戦型! 将棋・ひと目の詰めろ (マイナビ将棋文庫) | 本間博 |本 | 通販 | Amazon

7手詰将棋:実戦の勝率が上がる202問 将棋パワーアップシリーズ | 高橋 道雄 | 将棋 | Kindleストア | Amazon
9手詰将棋:詰みの鍛錬に最適な202問 将棋パワーアップシリーズ | 高橋 道雄 | 将棋 | Kindleストア | Amazon

全問実戦型!脳トレ7手9手詰 (将棋連盟文庫) | 北浜 健介 | 将棋 | Kindleストア | Amazon

詰みの条件 (マイナビ将棋BOOKS) | 宮田敦史 | 将棋 | Kindleストア | Amazon

詰みか必至か? 196問 | 青野 照市 | 趣味・実用 | Kindleストア | Amazon

5.2 紹介棋書リスト

記号◎:必須・買い得(お釣りがくるレベル)、〇:買って損なし、
△:棋書沼向け
■終盤
◎金子タカシ(2010).『寄せの手筋200』浅川書房
・森けい二(2004). 『寄せが見える本【基礎編】』浅川書房
・北浜健介(2016).『将棋・詰みの基本手筋』マイナビ出版
◎あらきっぺ(2021). 『終盤戦のストラテジー』マイナビ出版
・森けい二(2004). 『寄せが見える本【応用編】』浅川書房
〇羽生善治(2006). 『羽生善治の終盤術【2】基本だけでここまでできる
 浅川書房
・羽生善治(2006). 『羽生善治の終盤術【3】堅さをくずす本』浅川書房

■詰将棋
・遠山雄亮(2020). 『将棋・ひと目の詰み ~実戦形で終盤力アップ~
 マイナビ出版(マイナビ将棋文庫)
・羽生善治(2021). 『羽生善治の将棋「実戦の詰み」問題集3・5・7手
・高橋道雄(2014). 『3手詰将棋 将棋パワーアップシリーズ』創元社
・高橋道雄(2009). 『5手詰将棋 将棋パワーアップシリーズ』創元社
・北浜健介(2018). 『全問実戦型! 3手5手詰トレーニング
 マイナビ出版(将棋連盟文庫)
〇高橋道雄(2015). 『形で覚える寄せ&詰め手筋問題集178問』創元社
〇本間博(2020). 『妙手に俗手、駒余り、持駒制限もあり!実戦詰め筋事典  レベルアップ編』マイナビ出版(マイナビ将棋文庫)
・本間博(2021). 『完全実戦型! 将棋・ひと目の詰めろ
・高橋道雄(2010). 『7手詰将棋 将棋パワーアップシリーズ』創元社
・高橋道雄(2011). 『9手詰将棋 将棋パワーアップシリーズ』創元社
・北浜健介(2016). 『全問実戦型!脳トレ7手9手詰
 マイナビ出版(将棋連盟文庫)
△宮田敦史(2020). 『詰みの条件』マイナビ出版
・青野照市(2013). 『詰みか必至か? 196問』創元社

■序盤
・戸辺誠(2021).『1手ずつ解説する先手中飛車』マイナビ出版
〇鈴木大介(2010). 『相振り中飛車で攻めつぶす本』浅川書房
・鈴木大介(2013). 『中飛車の基本【ゴキゲン中飛車編】』浅川書房
〇石川泰(2020). 『中飛車のポイント すぐ覚えてすぐ勝てる11の戦型
 マイナビ出版
△杉本昌隆(2017). 『これが決定版! 相中飛車徹底ガイド』マイナビ出版
△竹内雄悟(2021). 『中飛車の逆襲 対三間飛車編』マイナビ出版
・戸辺誠(2019). 『戸辺流 こだわりのゴキゲン中飛車』マイナビ出版

■中盤
◎黒沢怜生・杉本和陽(2021). 『中飛車戦記 2009~2020』マイナビ出版
・佐藤天彦(2017). 『天彦流 中盤戦術―「局面の推移」と「形勢」で読みと  
 く
』NHK出版

あとがき

書きたいことを書いていったら長くなってしまった。いかがでしたでしょうか。結局、どこまで行ったらアマ二段なんだよというツッコミを無視したまま後半は棋書紹介のようか形になってしまったが、この記事が棋力上達を目指す皆さんの参考になれば幸いだ。この記事に書いた方法を実践できれば将棋ウォーズで二段を達成することは容易いと自信を持っている。
この記事の裏のテーマとしては15年前の自分に今の自分が将棋を教えるならという思いがあった。何を隠そう私自身が序中盤型のタイプで苦労したため今回このような記事を書いた。高校・大学になって将棋部に入るまで私はほとんど独学で将棋を学んでいたため、悪い例で挙げたような定跡書ばかりに手を出し、序中盤でリードを奪って何とか勝つスタイルだったのだ。そのため、高校の県大会の決勝で終盤競り負けることが何度もあったし、大学に入ってからも中終盤が課題だった。
終盤を重視するようになったのは本当に最近のことである。本記事を読んだ皆さんは私のように色々な戦法の定跡書を買い漁って迷走せず、まずは終盤の基礎を固めていただきたい。
最後に様々な上達に役立つ棋書を書いてくださった棋士・アマ強豪の方々、いつも棋書を探す際、参考にさせていただいているサイト将棋棋書ミシュランに感謝を述べさせていただきたい。

将棋 棋書ミシュラン!-将棋本のレビューサイト (sakura.ne.jp)

今回のヘッダ画像はswkk(すわけいこ)さんのものを使わせていただきました。ありがとうございます。

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