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アイリッシュ音楽との接触


アイルランドに行った。そこで見た景色と、ミュージシャンへのインタビューで音楽的に大きな影響を受けたので綴って行きたいと思う。

アイリッシュ音楽とは

アイリッシュ音楽の発祥はイギリス。イギリスの支配下にあったアイルランドが19世紀に独立運動を行なった時期に発展したアイリッシュダンスの伴奏として演奏されるようになったのがはじまり。

フィドル、ハープ、バグパイプ、マンドリン、アコースティックギターあたりが主に用いられる。(アメリカのカントリーミュージックの礎でもある)
リズムも色々。代名詞的なリズムは2つ。
Reel (RPGとかの城下町)https://music.apple.com/jp/album/lord-gordons-reel/266306921?i=266306928
JIG(ザ•ケルト!って感じ)https://music.apple.com/jp/album/the-kesh-jig-give-us-a-drink-of-water-the/287061637?i=287061641

テンプルバー

まず僕が滞在したダブリンにはテンプルバーというパブが密集してる地域があって、昼間から夜遅くまで至る場所でライブをやっている。
どの店もバンドセットではなく、アコギの弾き語りやデュオでの演奏。ミニマムな編成にも関わらず昼間からギネスビールを片手に死ぬほど盛り上がる。
よく演奏されていたのは「Ring of Fire」「Contry Road」とか「whiskey〜♩」ってやつ(曲名わからん)この辺りはカントリーの定番曲。次にoasisとかTylerみたいなROCK/POPS。WonderwallとかLove Storyとかでは大合唱が起こる。

アコースティックな音楽って、盛り上がる音楽というより「聴き入る」ようなイメージがあったけれどそれを根底から変える価値観に出会った。
それがアイルランドの国民性でもあり、古くから築かれてきた慣わしのようなものでもあるように思える。後で聞いた話なんだけど、日本人が雅楽に疎いようにアイルランド人も自国の音楽にそこまで触れる機会はないそう。実際テンプルバーで話した人たちも旅行者が多かった。

間接的に文化が育まれてるみたい…それってすごく素敵な事じゃない!?

コブルストーン

テンプルバーとは逆側の閑静な場所にある。
完全にこの店の虜になってしまった僕は数日通うことになる。
アイリッシュ音楽のジャムセッションが毎晩行われる場所で、セッションスペースの隣のパブには店のキャパを完全に超えた人数が集まってお酒を飲んだり音楽を楽しんだりしている。

そこで繰り広げられるのは地元のミュージシャンによる1番伝統的な形のアイリッシュ音楽の合奏。幸い彼らに1番近い場所を取ることができたので質問攻めしてみた。

Q.セッションはどんな形で行われますか
A.とりあえず聴け

Q.あなたが使っている楽器はなんですか
A.アイリッシュフルートや

Q.曲はジャズのセッションみたいにスタンダードみたいな形はあるんですか
A.よく演奏する曲はあるわな

Q.よくここで演奏するのですか
A.(マスターに向かって)ギネスビール一つ

Q.楽器を始めたきっかけはなんですか
A.…(フルートを吹き始める)

確かに今思うと愚問の数々だったかもしれない…!

アイリッシュセッションはジャズみたいにキーやテンポを決めたりする時間はなく、誰かが弾き始めたメロディにオブリで乗っかり自然発生的に始まる。キーを変える事はあまりなさそう。
尺も別に決まってるわけではなさそうで、最初に始めた人が終わりの合図とかを先導していく形なのかな?
曲と曲がメドレーみたいに繋がっていって見てる方も楽しい。知らない曲があったら楽器を置いてお酒を飲む。なんて自由でいい空間なんだ…!!

コードを奏でる楽器がいない時もしばしばある。
そういう時は全員同じメロディをひたすら繰り返す流れだった。それはある種のグルーヴ感というか、トランスみたいな気持ちよさを孕んでいた。

弦楽器はアコギとマンドリンを多く見た。
アコギが複数本ある時はカポで帯域を変えていた。驚いたのはそのコードとリズムの単調さ。永遠に4度と1度を行ったり来たり。ちょっとしたオカズもなくひたすらリズムを刻んでた。
正直「これやってて楽しいのか…」と思ったけど、合奏として楽しければアリ!といった感じのアンサンブルに対する根本的に大切な事に気付かされた。


まとめ

アイルランドの国土や自然やダンスといった視覚情報から音楽が生まれるのは実際行ってみて非常に納得がいった。
オルタナの文脈でいうと例えばマイブラのケヴィンシールズもそういった影響を受けてシューゲイザーの着想を得たり。
U2はRockの側面に伝統を取り入れたり。
アイルランドに行ってみて土着的な音楽が根底に根付いていて、脈々と正しい形で受け継がれているなあと肌で感じた。次は南や北にも行ってみたい。


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