アフターデジタル時代のマーケティング思考:vol.2 メガトレンドの潮流を感じ取る
「メガトレンドの潮流を感じ取る」
これがどれだけ私達、ビジネスマンにとって重要なことか、否定の使用も無いことだと思う。
しかし実際は、殆どのビジネスマンがこの潮流を、本流が始まってから知る(捉える)ことになる。そう、”捉える”というスタンスでは遅いのだ。
私達はこの潮流の予兆や始まりを感じ取り、それが引き起こす世の中変化、パラダイムシフトを想像し、それらに敏感な仲間と議論しながら、次の目がトレンドの中での生き方(働き方)の策を持って備えねばならない。
インターネット、WEB、スマートフォン、APP、AI、ブロックチェーン、、、大小の潮流が次々と巻き起こり、そのたびに目まぐるしい盛者必衰を目の当たりにしてきた2000年代。
そしてこの中には、確実に”メガトレンド”と、その上で起こる”派生トレンド”と、レイヤー構造に分けて捉えることが出来る。
メガトレンドに乗り遅れることは、旧パラダイムの中に取り残される≒ビジネスマンとしての価値を失うことを意味する。もちろん新パラダイムを感じ取り、その中であえて旧パラダイム的戦い方をすることも正攻法の1つであり、それを否定しているわけではない。
ただ、メガトレンドに無関心で、旧パラダイムの中にしがみついて自分を守ろうとすることは、高速で新陳代謝を繰り返す今のビジネス環境において、自殺行為に近いのだ。
トレンドを構造的に理解し、次のトレンドを予測し、未来の生き方戦略を更新し続けることが重要
トレンドをただ把握するだけでは駄目だ。「次は〇〇がくる!」と騒いでいるだけでは、トレンドを有効に利用した賢い生き方はできない。
過去も含めてトレンドを構造的に把握することで、何がメガトレンドで、何が派生トレンドなのかを理解し、自分自身がどのトレンドの上で生きていくのかを考えることが重要となる。
そして構造的に把握することで、次のトレンドを確度高く予測することが出来るようになる。
具体的に、1990年代から本格的に普及しだしたインターネットによるメガトレンドは、私達の生活やビジネスを一変させる明らかなるメガトレンドだった。この大きなパラダイムシフトの上で、様々な派生トレンドが生じた。
一見すると、ネットが普及した後に、ECの登場、i-modeの登場、スマートフォンの登場、、様々な大中小のトレンドが次々に生まれているように思える。しかし大きなインターネットによる”デジタル化”のメガトレンドの上に、様々なビッグトレンドと、スモールトレンドが構造的に生じているのである。スモールトレンドは消え失せて、次のビッグトレンドから派生するスモールトレンドにとってかわるが、メガトレンドは大きなウネリとなって成長し、存続し続ける。
ここまでくるとお分かりだろうが、広義の意味での”テクノロジー”を理解せずして、このトレンドの流れを捉えることは不可能になりつつある。なぜなら、新しいテクノロジーの登場は、メガトレンドを進化させ、新たな派生トレンドを生み出すことに繋がるからだ。
そして今、次なるメガトレンドがひっそりと、しかし急速に新たなパラダイムシフトを呼び起こそうとしている。
次なるメガトレンドはブロックチェーンによって生じる
先に明記しておくと、ブロックチェーンが次のメガトレンドだとは思っていない。ブロックチェーン技術によって非中央集権的な社会の仕組み・ビジネスの仕組みが巻き起こす、パラダイムシフトこそが次のメガトレンドになる可能性が高いと言える。
そして社会やビジネスの仕組みが変わるとき、新たな”価値”が生まれる。
ソーシャルメディアの登場は、インターネットというデジタル上による情報交換によって新たな”社会の仕組み”を創り出し、「沢山の人に影響を与えられる」「沢山の人と繋がりを持っている」という可視化しにくい価値を創り上げた。そうした価値が具体的なビジネスになっているのが、インフルエンサーやYoutuberといった、ソーシャルインパクトをマネタイズしたモデルである。
では、次のメガトレンドでは何が価値化されるのか?
シンプルに言うと、これまで実体化しにくかった創造・労働行為が可視化されると考える。
先に言っておくと、これから価値化されるものはもっと沢山あると考えている。例えば証券化によって、これまで分割出来なかった(不動産、何かのPJ etc.)ものが分割され、新たに認識される”価値”となる等も考えられる。
しかし、今までの常識外の領域で可視化されるものとして、私は実体化しにくかった創造・労働行為をあげたい。
これまでのメガトレンド上では、価値に対する報酬は、中央集権的な存在が提供していた。具体的には、「GoogleがYoutuberに対して報酬を支払う」といった構造のことだ。しかしこれからは、ブロックチェーンを活用したトークンによって、様々な生活場面で、”ありがとう”という感謝に対して報酬のやりとりが非中央集権的に生み出される世界がやってくる。
分かりやすく言おう。
例えば、私が、「最近自分で副業ビジネスを始めたネット上の誰か」に対して、そのマーケティング戦略のアドバイスをしたとする。2週間に渡って4回のアドバイスをしており、それが記録されている。更にそのアドバイスのやりとりは公開されており、その有用性に対して複数の人から評価を受ける。すると、私はそのアドバイスをした行為と、アドバイスの中身に対する評価によって、仮想通貨によって報酬を得る。その報酬を使って私は自分が不得意とするアニメコンテンツの制作アドバイスをもらう為の支払いに使う。。
このように、これまで価値化しにくかった、クリエイティブな創造行為や労働に対して、”ありがとう”という報酬として仮想通貨を得ることが出来る。このインセンティブによって、”教えあい”や”ありがとう”の輪がどんどん広がり、そこで得られた報酬を使って違う依頼が出来るといった、独自の経済圏が広がっていくのだ。
こうした沢山の経済圏がアメーバのように同時的に存在し、複数の経済圏に所属しながら生きていく時代がやってくると考える。
そんな時代にどう、自分の生き方を探していくか、この戦略作りが楽しくて仕方がない。そして例え予想した未来が訪れなくとも、その前に未来予想を修正し、トレンドを再度予測し直し、自分戦略を更新し続けることこそが、重要なのである。
そしてもちろん、マーケティング思考をしていく上で、上記のメガトレンドを捉えるということは大前提だと断言したい。同時に、このトレンドを構造的に把握しておき、どのメガトレンドの、どの大トレンドのもとにある、どの小トレンドに沿った流れの中で、どんなマーケティング思考をしようとしているのかと、俯瞰的かつ構造的に自身を捉えておきたいものである。
マーケティング思考をする前に、自分自身を、そして取り巻く市場環境を、超客観視すること。これこそがマーケットを見つめる前の、前提ステップであることを、常に忘れないでおきたい。
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