驚くほど快適な「洗える超伸縮マスク」ができました。本業は日本製パンツメーカーです。
このnoteのまとめ
・日本製パンツメーカーが本当に必要な人のために、マスクを作りました。
・驚くほど快適に”ふわピタ"っとフィット。
・さらに耳が痛くない、くり返し洗える、毛羽立たない優れもの。
・秘密は、パンツで使う”トリコット”という特殊な素材。
・繁忙期ですが全員で頑張って作りました。
・こんな状況ですが、できることからやっていきます。
【自己紹介】
はじめまして。TAKUMIBAです。
この文章は、TAKUMIBAの責任者兼何でも屋の藤井が書いております。
私たちは、伝統的な繊維の街、広島県福山市にある、小さなプルオンパンツ専業の一貫工房です。
どのように一貫かというと、デザイナーなどの”企画チーム”、裁断~縫製~仕上げまで行う”工房チーム”、”出荷チーム”まで全て一つの建物の中にいて、日々「楽でキレイな」パンツを作っています。
詳しくは、こちらをご確認ください。
【マスクを作ることになった経緯】
そんな私たちが初めて今回noteを書くに至ったのは、とあるプロダクトが完成したからです。
そのプロダクトとは、タイトルにもある通り「マスク」です。
皆様ご存知の通り、現在コロナウイルスによる混乱で、市場からマスクが消えています。その状況は2009年のSARS流行の時以上だと感じます。
この記事を書いている私も、家には小さな息子がいて、感染が許されない中の新幹線乗車と重度の花粉症の為、マスク無しの生活が考えられない状況でした。
そして思っていた以上の品薄が続き、使い捨てマスクが残り3枚となりかなり焦っていました。
さらに追い打ちをかけるように、全国小中高校が休校の情報、ティッシュ等までが買い占めにより無くなるという、想定を超える状況。
社内にはママも多く、本当に必要な人にモノが届かない状況に、皆憤りを感じていました。そんな中、一人のスタッフが言ってくれた言葉
「じゃあうちでマスク作りましょうよ」
確かにうちにはそれをできる設備があり、スタッフがいました。また、私は前職時代マスクの企画を担当する部門にもいましたので、ある程度のノウハウがありました。
「これは私たちTAKUMIBAがやるべきことじゃないか。」
皆がそう思うには時間は多くかかりませんでした。
そうと決まれば話は早かったです。パタンナーがパターンを引き、工房で仕様を検討し、その日のうちに2ndサンプルまで進行しました。
一貫工房のファクトリーブランドならではのスピーディな動きでした。
ちなみにサンプル進行と並行してSNS調査した結果が以下です。
私のプライベートなinstagramのフォロワーベースですが、見てくれた人の内「20%が欲しい」、気になる人も入れると「30%以上」の方から要望と期待を頂きました。それくらいマスクは不足していました。
また週末にマスクの試作品を見てくれた多くの知り合いから、すぐ作って欲しいと強く要望をいただき、これは急がなくてはならないとますますモチベーションになりました。
【つけてみて良かったところ】
実際に修正を経たサンプルを確認してみると、驚きの仕上がりでした。特筆すべきはその付け心地です。
普段肌に密着するパンツをつくっている私たちは、肌ざわりには特にこだわります。そしてギャザーの無いプルオンパンツには、生地の「ストレッチ性が130%以上必要」という条件があります。
その条件をクリアしている普段使用する生地で作成した、縫製品としてのマスクは、驚きのつけ心地に仕上がっていました。大きな特徴としては、以下です。
・肌ざわり”ふわふわ”
・”ピタっとフィット”して、スキマが無い
・耳が痛くない
・生地縫製品なので、”洗ってくり返し使える”
・不織布と違い、”毛羽立ってこない”
そして、早速この週末金~日までつけっぱなしで活動テストをした感想は、
「なぜもっと早く作らなかったのか・・・」
です。これまで何年も盲目的に不織布の使い捨てマスクを使い続けてきた自分を反省しました。
前職の頃はシェアNo.1マスクを自信を持って販売していましたが正直それを大きく超える出来でした。(もちろんそのマスクにもいいところがたくさんあります。)
しかし多分もうこれからはこれしか使いません。
【フィット感が凄い】
付け心地は上の通りですが、次の高評価ポイントは「フィット感」です。素材自体が驚くほど伸びるので、肌にふんわりフィットして隙間がありません。
顔に大小差がある複数名でテストした様子はこれです。
顔の個人差を超えて、目、頬の横、顎の下など、大き目の不織布マスクで隙間のできやすいポイントをしっかりブロックすることができていました。
とにかくよく伸びるので、高いフィット性がありました。
ちなみに、国民生活センターの調査結果にはこうあります。
「粉塵捕集にはフィット感が重要」
マスク自体の花粉の捕集性能は、素材の違いにかかわらずいずれの銘柄でも高く、それらの性能を生かすには、マスクが顔にフィットしていることが重要である
(国民生活センター)
また、フィットすることで、眼鏡も曇りにくいのは嬉しいポイントでした。
【洗濯について】
使い捨てマスクヘビーユーザーの私は、マスクを洗ったことがありませんでした。
今回のテスト中は、帰宅して、手洗いうがいの際に、一緒にマスクも洗いました。手洗い用せっけんでもみもみ。
その後、手で水滴が出なくなるまできゅっと絞って、ハンカチなどと一緒に干しました。
翌朝には、すっかり乾いて、スッキリ清潔になっており非常に簡単でした。マスクが無くなるたびに買いに行かなくていいのは、非常に楽ですし、エコだなと思います。
【特殊な素材トリコット】
今回の生地は「トリコット」と言われる特殊な素材です。
通常生地は、織物(おりもの)か、編物(あみもの)に分類されます。
一方トリコットは、編み物でありながら、縦方向に複数本(約5000本)を一気に編み立てる、経編(たてあみ)と言われる非常に高い技術を要する手法で作られたその中間に位置するような素材です。
トリコットが作られる様子
結果として、非常に伸縮性が高く、織物のようなしっかり感のある素材に仕上がります。が、扱いが非常に難しく、縫いなれていない工場ではキレイに仕上がらない場合も往々にあります。
TAKUMIBAは普段から多く扱っているため、今回トリコットのマスクを製造することができました。
また、不織布のマスクは一日付け外しをしていると、毛羽立ってきてチクチクしてきますが、全くその心配がありません。これも嬉しいポイントでした。
滑らかですべすべした表面
【生産キャパの壁も超えて】
スペックが確定してからも問題は多くありました。
縫製キャパの問題です。正直、アパレルの工場は現在一年で一番忙しい時期です。その中で、マスクを縫製している時間は正直ありません。
が、まだまだマスクが足りない現状を鑑みて、パートスタッフも含めて相談した結果、今週の内に裁断~縫製まで行うことを決め、全員で一生懸命ミシンを踏みました。
そんな経緯を経て、お届けの準備が整いましたので、スタッフの気持ちも汲み、一日も早いお届けをさせていただきます。商品ページはこのnoteの一番下にご用意しておりますが、ご購入前にいくつかご確認頂ければと思います。
【サイズ・カラー等】
トリコットの非常に伸びる特性を活かして、フリーサイズのみでご用意させて頂きました。子ども用の要望も頂いていますが、もう少々お待ちください。
カラーは、白1色でのご用意です。発売後の販売状況を見て他カラーを検討させて頂きます。
その他詳細・スペックは以下の通りです。
生地組成:ポリエステル ポリウレタン
【ご理解頂きたいこと】
●包装について
緊急の用意で納期を優先したため、しっかりとパッケージを作り込む時間がありませんでした。簡易的な包装になりますが、ご理解頂ける方のみ購入をお願い致します。
清潔な工場で丁寧な検品の上、梱包しています。
●少し生地が内側に巻きます。
トリコット製品の構造上、使用を繰り返すと、生地が内側に巻き込んできますが、使用においては問題ありません。また、洗濯後、形を整えて干していただけるとまたキレイに使って頂けます。
但し、気になる方は、今回のスペック品の購入はお見送り頂ければと思います。この点が改良された際に、改めてご検討ください。
●その他お取り扱いについて
・洗濯機も大丈夫ですが、生地端が傷みやすくなるため手洗い推奨です。また、伸縮糸ポリウレタンが劣化するため、乾燥機はご遠慮ください。
・ウイルスを防ぐ試験は未実施です。現在検査機関が9月までいっぱいという状況です。
●その他お願い
・本当に必要な方にお届けできるよう作られた商品です。お一人での大量購入や転売はご遠慮ください。
・衛生面を考慮して返品交換はお受けできませんので、予めご了承ください。
お願いの方が多く恐縮ですが、少しでも多くのマスクを必要とされる方に届くようご理解の上ご購入をお願い致します。
※3月9日22時50分追記
17日分発送に加えて、20日分、24日分も生産完了を見込んで販売在庫をご用意させて頂きましたが、想定をはるかに超えるご注文を頂き現在完売状態です。改めて生産調整の上、再販売させて頂きますので、しばらくお待ちいただければと思います。
※3月9日16時30分追記:17日発送分の生産目処が立ったため、販売可能数をオンラインショップに追加させて頂きました。初回分の約3倍をご用意できておりますので、必要な数量のみを、安心してお買い求めください。
※3月6日21時追記:誠に申し訳ありません。予定していた1回目ロット分が想定を大きく超える早さで売り切れてしまったため、現在仕掛中分を作業完了を見込んで急遽追加いたしました。
完了次第、3月11日水曜日頃の出荷となりますので、ご了承の上お買い求め下さい。
またこういった活動を重ねることで買い占め等が鎮静化し、一日でも早く、皆様の日常が戻ってくることを微力ながらお祈りしております。
頑張ってくれたスタッフ皆の励みになりますので、良ければいいね!やシェアをお願いします。
文:design&factory TAKUMIBA 藤井
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