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詩まとめ
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#夜

【詩】雪降る夜の群像

振れる袖口 いつかの君よ 凍える指先 風邪をひくなよ 赤らむ鼻はマフラーで隠して 元の場所へと帰っていく 予感は外れ 予報は当たり 犇めく足跡 異なる家路 重なるそれらを踏みしめながら 幾つもの一つに紛れていく 雪降る夜は少し遅れて 雫は流れて線になる 今日も行き交う東京の夜に 等しく雪は降り積もる ・ ・ ・ 東京でも年に1回くらいは雪が降りますよね。早めに帰ってぬくぬくしよう。 詩集『追憶』を公開しました。大切な時間を失って、向き合って、前に進む物語です。よ

【詩】月に舞って花霞

滴る雫は姿を消して 咲かない蕾に砂時計 花を羨む偽証の眼 返す刀は空を切る 鏡の奥の獣を愛して 今宵月に舞って花霞 踊れ 踊れ 夜はありありと 愚者の祭りは蚊帳の外 共謀の果てで散って逝け ・ ・ ・ 実際には獣を宥めて生きていくしかないですね。想像上の一夜です。 詩集『追憶』を公開しました。大切な時間を失って、向き合って、前に進む物語です。よかったら見ていただけると嬉しいです。

【詩】煌めきの夜

ドアを後ろ手に閉めて 突き刺す冷気に目が冴える ヘッドライトを消すと見える 暗闇 ああ、そうか 暗闇は輝くためにそこにいる 世界中の煌めきをばら撒いた そんな夜と 波の音だけ ・ ・ ・ 中学生の頃、ホームステイ先のオーストラリアで初めて本物の星空を見ました。暗闇と星空と波の音。今でも忘れられません。 詩を毎日投稿しています。 スキ、フォローしてもらえると嬉しいです。 感想も気軽に聞かせてください。

【詩】一人夜行

言葉なんて過ぎれば全て嘘に変わる 命なんて放り投げたら簡単に終わる 意味なんて初めから何一つ無いんだ どうだっていい 快だけが解だ 今ならなんだってできそうだ 高速トラックも軽く受け止められる 欄干から飛び出して月くらい掴める なんだってできる 端から一人だろう 上着を脱ぎ捨て吹き荒ぶ風に高笑い そうだ 夜はこんなにも輝いていた 唸る工場をBGMに 野良猫たちを引き連れて征く 世界に座席がないのなら 僕は一人で夜になる . . . 詩を毎日投稿しています。 スキ