祈りが込められた日本語 No.2318


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「行ってらっしゃい」「行ってきます」「おかえり」「ただいま」は循環を意味します。

「行ってらっしゃい」は、「行ったら必ず帰っていらっしゃい」という祈りの言葉。

見送るあいさつというより、相手の無事を祈る気持ちが言葉になったものです。


「行ってきます」は、「行って必ず帰ってきます」という約束の言葉です。

「ただいま」は、「ただ今ここに参上いたしました」とか「ただ今この時間に戻って参りました」ですが、

実は、「ただいま」にはもう一つ、呪文の意味があります。

誰もいない家に帰ってきた時にも玄関で「ただいま」と言うことです。

その瞬間、外で付けてきた「穢(けが)れ」が落ちるんです。

何も悪いことをしてきたとか汚い場所に行ってきたとかではなく、

外でいろんな人と出会うと「氣」が触れ合います。

その時にいろんなものがくっつくんです。

それを玄関でポーンと払い落とせる呪文が「ただいま」です。

「今戻りました」と言った瞬間、外で付けてきた「穢れ」が落ちます。


辻中 公(くみ)(やまとしぐさ伝承師範)

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日本講演新聞(旧みやざき中央新聞)2020年4月20日号からのご紹介です。

日本では特に神道では、穢れを避けるようにしています。

また穢れは「気が枯れ」から来ているとも言われ、気力がなくなる状態だからこれを避けるのです。

それを払う方法の一つが「ただいま」と言うことなのですね。


帽子やコートを玄関で脱ぐのも、家の中に汚れを持ち込まないための精神です。

お洒落よりも優先すべきことですね。

お洒落は自分のため、身嗜みは相手のためですから。


「今日の言葉」 
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