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プレミアリーグ第11節 エヴァートン対スパーズ

こんにちは。今回もコンテのスパーズを、ということでリーグ戦では初戦となったエヴァートン戦。ミッドウィークのカンファレンスリーグ、フィテッセ戦を勝利で飾ったスパーズが敵地グディソン・パークに乗り込んだ。

※エヴァートンのポジジョンを太文字にしている

スタメン

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エヴァートンはデルフがアンカーの4-1-4-1。アランとタウンゼントの高さには違いがあるものの、2センターというよりかはアランはIH。スパーズはフィテッセ戦と同じ11人。違うのはCHの左右で、スキップが左になった。

エヴァートンのプレッシング

一方的に、とまではいかないもののスパーズがボールを持つ時間が長かったこの試合。特に前半の早い時間帯は70%を超えているときもあった。この情報からだとエヴァートンは最初から構える姿勢で入ったようにも思われるが、実際はそんなことはなかった。試合が始まってすぐは積極的なプレッシングを行った。

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基本的にはグレイとゴードンは外切りのアプローチをかける。スパーズのCH経由で外にボールが出るとSBの前進かIHのスライド。リチャーリソンはロリスにまで出ていく。デルフはスパーズのシャドーをマークするなどで最終ラインをプロテクト。このプレッシングは開始直後でのみだったが、3分には引っかけてショートカウンターに持ち込みかけるシーンも作れた。シュートまでは繋がらなかったが、デルフのヘディング技術が高ければフィニッシュまでいけたかも、という場面だった。

エヴァートンは時間が経つと引く意識がつよくなった。具体的にはSHがスパーズのCBに出ていくよりもWBに対応する意識が高まっていった。完全に最終ラインに吸収されるほどではなかったが、このSHの役割のおかげで4バックはサイドを気にする必要が薄くなるのでライン間に入ってくるボールにアタックしやすくなる。

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奪いに出るよりも構える色合いが強まったのは間違いない。けれども完全に引いてロングカウンターを狙うというほどではなかったエヴァートン。SHの代わりにIHがデイビスやロメロにアプローチするようになる。この時に空いてくるのが当然スパーズのCH。ここをうまく使えるかはポイントの一つだったと思う。が、上手く使える場面はそこまで多くなかった。理由としてはタウンゼントなどのアプローチの質が高かったり、ゴードンが外に初めから釣られすぎずボールが出るのを待ってから動けていたり。(外に出るのが早いとデイビスからソンフンミン経由のラインが生まれる)またスパーズ側にも理由があって、CBとCHの経由点となるレギロンのポジショニングが良くないこともあった。

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このようにデイビスに寄ることでスキップに繋げることが出来れば良かった。デルフがCHまで来ることもないわけではなかったが、主にCBの前にいることがタスクだったのでこの位置でCHがボールをもらえると前を向けて、背後を狙う、楔を打つ、サイドを変えるなど色々な可能性があったと思う。

空いたスキップを使うのとは別の狙いのプレーになるが、デイビスから最終ラインの裏を狙うボールはもっと多くてよかったはず。コールマンがレギロンまで出たときはソンフンミンが飛び出したり、コールマンがソンをマークしているときはレギロンが走りこんだりというプレーは少なかった。

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こんな風にレギロンがSBの背後を突くと、反転することになるエヴァートンの選手よりも勢いのある走りになる。これの対策でコールマンがレギロンへの意識を強めると、ライン間でソンフンミンがプレーしやすくなることにも繫がったかもしれない。さらに、この試合で最も質の高いシュートチャンスはボールを奪われてからのプレッシングで蹴らせて回収し、そこからのカウンターによって作ったものだった。つまりボールを奪われることにポジティブな意味を持たせることが出来たシーンである。(この時は裏ではなく、狭いスペースを狙ってのボール損失ではあったが。)これを踏まえても通る確率は低くても裏を狙うことによってボールを奪われる機会を自分たちから作りにいってもよかったと感じる。

セットした状態~脆さか強さか~

ロリスにまで出るような高い位置でのプレッシングや、IHがスパーズCHを消しながら出ていくような位置が下がったプレッシングでは良さを見せていた。が、ボールにプレッシャーがかかっていない状態でのエヴァートンには脆さがあった。何をもってもろいというかは人それぞれになってしまうだろうが、ここでは最終ラインが剝き出しになっていたという意味。

エヴァートンのIHはスパーズのCHとの距離を近かくしていた。なのでスパーズは前線にグラウンダーのパスを入れやすい状況で、実際にそんな場面はたくさんあった。ただしここで強さを見せたエヴァートンの最終ライン。特にゴッドフリーが印象深いが全体的に相手を迎撃して食い止める能力をこの試合では発揮した。スパーズとしてはソンフンミンのコンディションは良くないのかな、という気はかなりしたもののエヴァートンの4バックの防御には目を見張るものがあったと感じる。シュートまではなかなかたどり着けず、打ててもピックフォードのところまで届くことはなかった。

エヴァートンは最終ラインが剝き出しになりやすいことが脆いと書いたが、この試合においてはそれが強さを出す要因になっていた。なので個人的にもう少し試合をみてこの現象がほかの相手とやった時にどうなるかは確認していきたいところである。

スパーズが乏しかったこと

相手がセットした局面、つまりボールにプレッシャーがかかっていないときにスパーズに物足りなさを感じたことを書いていく。ボールにプレッシャーが無いという事は自分たちでポジジョンを決められるという事。やはりここで見たいのはデイビスのSB化。パスを出してから前に出ていくことはあったが、あらかじめ高い位置取りをすることは無かったはず。3バックのまま始めるのではなく、ダイアーとロメロの2CBにして左サイドの人数を多くする形は期待していた。が、まだそこまでの仕込みはさすがにないようだった。

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3バックから左のCBがサイドバック化、WBがインサイドに入るというのはアーセナルがティアニーとサカでやっていた記憶がある。スパーズが同じことをやるかはわからない。が、左WBでベルフワインの起用は個人的に見たいところ。サイドに張って仕掛ける、内に入ってライン間でプレーする、ソンフンミンと入れ替わるなどレギロンよりも色んな形で貢献できそうな気がする。また前回の記事でもかいたように、左CHはロチェルソを希望している。最初の2試合はヌーノの時に主力だったメンバーをそのまま使った可能性もあると思っているので、代表戦明けにどんなメンバーを選ぶのかは楽しみである(3-1-4-2に変更するのかも含めて)。

スパーズの非保持

続いてエヴァートンのポゼッション局面について。

スパーズの振る舞いを見ていると、高い位置からプレッシングをかけれる時(SBの位置が低く、アプローチしやすい時)は出ていきたそうな雰囲気だった。ただエヴァートンのCBにアプローチするのはケイン一枚というのがずっと続いた。ソンとルーカスがCBに出てくることは皆無。なので構造上ボールを奪いに行くという展開にはならないことがほとんどだった。よってエヴァートンも自分たちでポジジョンを決めてプレーすることが出来る状況。そのような中でそのままの4-1-2-3でプレーしていたエヴァートン。サイドに張ったグレイの仕掛けは何度も狙っていたが、ロングパスの精度不足やグレイのクオリティ不足でそこまではスパーズの脅威にはなれず。一度うまくカットインしてボックスまで運んだがフィニッシュまではもっていけなかった。SBが高い位置、SHが内に入ることも何度か見られたがこれも相手を崩す力はなく。後半の後半にはサイドの三枚によるコンビネーションで少し可能性を感じるシーンは作れた。しかしエヴァートン同様、スパーズにも自陣での非保持には強さがあった。エヴァートンはシュート数でこそ上回ったものの、ロメロが止めまくっていたこともあり、ロリスが仕事をする場面はほとんどなかった。ただでさえロリスがゴール前にいるチームでロメロがこれだけ食い止めるのを見ると、押し込まれた状態ではなかなかやられなさそうなスパーズだった。自陣でボールを奪ってからカウンターでゴールを狙う時間が増えるとなると、先に書いたベルフワインのWB起用はウィークになりそうで悲しいところではあるが。これからコンテがどれだけプレッシング志向を強めるかは注目していきたい。

スパーズ右サイドの危うさ

フォーメーション上、デルフを誰がみるかはポイントになる。左サイドではスキップが出ていく、タウンゼントはデイビスが掴む。これで問題なく対応していた。

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ただ右サイドではアランのポジショニングがタウンゼントよりも低かったのがスパーズにとって厄介だった。

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スパーズ保持のところでかいたスキップが浮く現象のようにエヴァートンも左サイドではデルフがフリーなる機会はけっこうあった。リチャーリソンがPKをもらいかけたのはここのデルフを使えた時だったが、このプレーの頻度を高くすることは出来ず。なのでこの試合ではスパーズにとって繰り返し怖いシーンを作られるという事は無かった。

おわり

以上。お互いの最終ラインが崩れず質の高いシュートチャンスはほとんどなかった試合だった。押し込まれたときに崩れない強さは両チームともにあるが、逆に押し込んだ状態で相手から点を取る力はそこまでないようだった。

エヴァートンはやはりカルヴァ―ト・ルーウィンの不在は大きいだろうか。ベンチにイウォビはいたので彼の突破力は脅威になりそうだと思っていたが出番はなし。デルフは全体的に悪くはなかったと思う。が、ボールを奪ってからのプレーの精度が高まるとカウンターでチームのチャンスは増えそう。

スパーズはまだコンテ体制2試合目ということでこれから出来ていくチームであることは間違いない。ただ、それでも内容云々よりも勝ち点を積み重ねていけないと来シーズンの欧州での戦いは約束されないだろう。


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