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即興スピーチ術

タイトルに惹かれてこの本を購入した。

即興スピーチ術 大嶋友秀著

「即興スピーチ」なる言葉をみて、ああこれは自分の弱点だなと直感したのだった。

例えば、仕事やプライベートの場面で、とつぜんこんなふうに話をふられることがある。

「これについてどう思いますか?」
「では、自己紹介をしてください!」
「ここで一言、ご挨拶をお願いします!」


私は、この「いきなりの発言」がずっと苦手だった。
うまく喋れたためしがない。
きっとこれは、自分の性格の問題なのだろうなと漠然と考えていた。

著者自身もかつては、「いきなりの発言は大の苦手」だったそうだ。
ただ、根気強く学び実践することで、営業マンとしての成績をぐんぐん伸ばし、即興スピーチの全日本コンテストで過去5回も優勝するほどにスピーチ力は向上し、今では、スピーチやプレゼンテーションのコーチも務められているという。

性格のせいにしている私とは、えらいちがいである。
そう、本書の結論を言うならば、「即興スピーチ」はいつでも学べるものであるということ、そして、その鍵を握っているのは、「自信」であるということだ。


即興スピーチは、相手の質問や求めをきっかけとして自分の考えを自由に述べるものです。思いがけないことを尋ねられても、自由な感覚で「面白い質問だな!」と受け止めれば、自分なりの言葉が浮かんできます。こういう主体的で自由な姿勢と発想、そしてそれをすぐに言葉にできるスキルが身についていれば、どんな場面でも自分の個性や感想を表現し、アピールすることができるのです

「自信」があれば主体的で柔軟な発想ができ、どんな場面でも自分の言葉でアピールすることができる、という。たしかに、自信がない私は、「変なこと言ってしまったらどうしよう」とか「面白いことを言わなければ」などとガチガチの頭になってしまう。これでは柔軟な発想ができるわけがなく、スピーチがうまくいくわけがない。

では、その「自信」を身につけるために何をすればいいのか。
本書には、マインド編、基本スキル編1~2、実践スキル編1~3の計6章にわたって、具体的な方法が書かれている。その中から3つの良かった方法・考え方をメモしておきたい。


日常の過ごし方

まずはマインド編から。

即興スピーチはそもそも準備している時間などない。
したがって、日頃からスピーチについての準備をしておく必要がある、と著者は言う。

日頃から話の材料を仕込んでいなければ、どんなに時間があったとしてもいいスピーチはできません。言い換えれば、いつでもものごとに関心、好奇心を持って取り組み、積極的に知識や経験を増やしていれば、それを話の材料として内容豊かなスピーチができるようになります。

私は、日常生活で「スピーチのための準備」を意識したことはなかった。
もともと自分の意見や考えを言うのが苦手なので、特に必要もなければ、積極的に発言することも控えてきた。
つまり、そうした「日頃の訓練」が全くされていないことが問題だったのだ。
スピーチのためのネタを蓄えるためには、日頃から情報を仕入れ、意見や感想を発信していることが大切なのだと気づかされた。

著者は、スピーチ力を上げる3つの心構えとして、インプット(情報収集)、アウトプット(情報発信)、メンタル強化を挙げ、日々の具体的な行動としては、「読む」「書く」「学ぶ」「鍛える」の4つが大切と述べている。


「読む」は、とにかく読むこと。本を読む、新聞を読む、古典を読む。これがスピーチの基本であると。
ただ読むだけではダメで、その本から最低1つ、できたら3つ何かを学ぶことが大切と言っている。
最近の私は「耳読」にはまっていて、朝夕の通勤時間にYou Tubeを2倍速で聞いているが、これなんかも、話の進め方を学べるし、スピーチに役立つのかもしれない。

「書く」は、いつでも書くこと。今、このnoteを書いたり、職場で報告書や会議録などを書く、SNSで発信することなどを指す。
私は月に3冊の読書感想をこのnoteに書いていくことを目標にしているが、それを継続しつつ、日々のちょっとした感想や意見をTwitterなどでつぶやいておくことも効果的か。

「学ぶ」は、話のプロに学ぶということ。
この発想はなかった。漫才、落語、アナウンサーなどから学べることが書かれているが、一番大事なのは、「この人のような話し方をしたい」という自分の理想像をはっきりさせるのがいいという。
私の場合、まず上司のように話せるようになりたいので、上司をメンターとして、観察していこうと思う。

「鍛える」は、スポーツや筋トレをすること。
これまた意外である。関係あるのかとツッコミたくなるが、著者いわく、鍛えることで姿勢や体格が良くなり、心肺機能も高まって、大きく通りのいい声が出せるようになるのだとか。
たしかに、スピーチで大事な「自信」を養うためにも、筋トレなどはいいのかもしれない。

「学ぶ」以外の3つは、今私が意識してやっていることでもある。
ただ、「スピーチのための準備」の意識はなかった。
人前で話すことを前提において、自分なりの意見、感想、ものの見方等を養っていく必要がありそうだ。

見た目と声


続いて基本スキル編。

即興スピーチは何がいちばん大事か。
話の内容がいちばん大事なのでは?と考えていたが、著者に言わせると、そうではないらしい。

話をしている人の姿勢や態度、表情、それに声の大きさや調子など、言葉以外の印象が聞き手に大きな影響を与えます。


内容よりも印象が大切であると。
ここは、うーん、そうなのかなぁと半信半疑に読んでいたが、「メラビアンの法則」という、とても興味深い心理学の説が紹介されている。それによると、

わたしたちがコミュニケーションで影響を受ける割合は、ある判断を100%だとすると、言葉が7%、聴覚が38%、視覚は55%だそうです。

思わず目を見張った。
言葉7%?少なすぎる。
そして、見た目と声で93%とは‼︎

意外だが、スピーチの上手い人の身なりや声を想像するとわからなくもない。

このパーセンテージを見てまず思うのは、身なりを過小評価すべきではないなということ。
私はスタイリストの大山旬さんのファンである。大山さんの書籍やYouTubeから学び、清潔感のある、実年齢に合った身なりとヘアスタイルを意識しているので、その辺はあまり心配していない。

ただ、声は自信がない。
よく声が小さいと言われる。
これは場数の少なさと自信のなさからきているのだろうなと思う。

一つ本から学んだのは、話の途中ではさむ、「えぇーと」や「あのー」(これを私は連発している)は意味のない言葉だから、それを間に変えてみよう、という話。

その沈黙が効果的な間となって聞き手の関心を惹きつけるのだという。
私にとっては高度なテクニックのような気がするが、職場のミーティングなどで試してみようかなと思っている。

フレームワーク

最後に第4章の実戦スキル編

「即興スピーチの構成はフレームワークに当てはめよう」について、触れておきたい。

著者は例えば、お弁当箱を思い浮かべてみてほいしという。
「ここにはご飯」「ここにはおかず」「この枠にはサラダ」と決めておけば、お弁当作りが楽になると。

なるほど、毎回内容の違うスピーチになったとしても、フレームを決めておけば、分かりやすく相手に伝えることができるのだ。

本書では「PREP法」「ホールパート法」「箇条書き法」「時系列法」の4つが紹介されているが、ここではこのうちの「PREP法」(プレップ法)について触れたい。

P…Point 要点(もっとも言いたいこと)
R…Reason 理由(それを言いたい理由)
E…Example 事例(裏付けや具体的内容)
P…Pint 結論(要点の繰り返し)

著者の言葉を借りると、自分の意見や主張を、論理的に説得力をもって述べたい時に効果的な構成法とのこと。

You Tubeで話がうまいなぁと感じる人は、だいたいこのPREP法を用いていると感じる。

〇〇で、△△で、☓☓だから、私はA案に賛成です。

というのではなくて、

私はA案に賛成です。なぜなら〇〇だからです。具体的にいいますと、B案と比べてA案は△△の面で効果的です。ですから私はA案を採用すべきと考えます。

確かに後者のほうが断然伝わりやすい。
また、なるほどと思ったのは、理由とか具体例というのはあとから考えればいいんだということ。「A案に賛成です」と答えを一つに絞ることで、あれもこれもとならず、一つのことに集中して考えられる。

例えば好きな動物は何ですか?と聞かれたら。まず「犬です」と答えてしまう。理由とか具体例はこの時点で浮かんでいない。答えたあとに理由は何かな?と考えて「かわいいからです。それに頭もいいですよね」などと述べる。

あれもこれもと、言いたいことをいろいろと思い出してしまう状態が、即興スピーチを失敗させるもとと著者は言う。
まさに私はこの状態にはまってしまっていたのだ。
コツは、「1回の発言でひとつの内容を話す」「ワンテンスを短くする」「つなぎの言葉を使う」の3つ。

これは何度もトライ・アンド・エラーを繰り返して身につけていくしかないのだろう。

そもそもフレームを先に決めてしまうという発想がなかったので、ここは大きな学びとなった。

まとめ

・即興スピーチとは、自信が大切ということ。

・その自信を養うために、日頃から読書などのインプット、自分なりの意見や感想をしっかりとアウトプットする。プロから学び、身体も鍛える。

・身だしなみを整え、声の表現力を向上させる。メラビアンの法則=言葉7%、聴覚38%、視覚55%。

・スピーチの構成はフレームワークにあてはめる。特にPREP法を意識する。

この本を読み終えて、まず自分がスピーチをうまくなりたいと願うことがもっとも大切と感じた。
すぐにうまくなることはないかもしれないが、上記の学んだ点を取り入れながら、日々行動していけば、必ず向上するはずだ。
今年の目標としてやっていきたい。

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