見出し画像

異業種との交流の重要性

製造業とAI企業

わたしの本業は製造業です。その一環で、最近はIoTセンサー事業を進めているのですが、ひょんなことからAI関連の企業とかかわることになりました。
その企業の方とオンラインミーティングをしていたとき、
「製造業の方と話していると、IoTを導入したい理由として、作業の平準化がトップにあげられます。これってそんなに重要なんでしょうか?」
との質問がありました。

IoTを使った作業の平準化

「IoT」という言葉をとよく耳にしますが、これはInternet of Things、モノのインターネット化のことです。
製造業でいえば、生産に使っている機械にインターネットにつながるセンサーを取り付けて、故障予知を行う…ということが多いです。

たとえば、今までは 突然機械が壊れる→メーカーを呼ぶ(数日かかる)→修理する(数日、場合によっては部品がなかなか入ってこなくてさらに遅くなる)…という流れだったものも、
IoTを使って機械の振動や音など故障を事前に検知できる情報を収集して、完全にストップする前に早めにメンテナンスを行うことができるようになる…
というかんじです。
こうすることによって、作業を何日も止めたりせず、スムーズに仕事が行えるわけですね。
これが、「作業の平準化」です。

製造業での作業平準化の価値

「作業の平準化」は、言い換えると、毎日一定の作業を一定にこなすことでもあります。
日常でいえば、毎日同じ時間に同じように洗濯をして、食事をして、お風呂に入って寝る…
簡単に言えばそういうことです。
「簡単そう」とか「つまらなさそう」というイメージにもなるかもしれませんが、これって製造業にとってはとても大事なことなんです。

たとえば、日常生活の例でいえば、
もし、給湯器が壊れてお風呂が沸かせなくなってしまったらどうでしょう?
「銭湯に行く」、「近くの友人の家に行ってお風呂を借りる」、「洗面所で頭だけ洗う」…など、いろいろな選択肢があります。
でも、「洗面所で頭だけ洗う」や、そもそも「お風呂に入らない」という選択をしない限り、お金の面、時間の面でムダが生まれてしまいます
そうすると、いつもなら読書をして自己投資に充てていた時間・お金がなくなります。
あるいは、ストレス解消のNetflixを観る時間がなくなってしまいます。

これは、製造業にとっても同じ。
メーカーに来てもらうために何日も待ったり、修理する部品が足らずに数週間かかることも。
製造業の日常的な作業は、当然ながら売り上げになる製品を作ることです。
その製品を作るための機械が何日も止まってしまったら…?
売上が減っていくことと同じです。
だから、「作業の平準化」はとても重要なんです。

ソフトの仕事とハードの仕事の違い

そんな認識だったので、「作業の平準化ってそんなに重要なんでしょうか?」という質問には、かなり驚きました。
でも、よく考えたらそのはず。

デジタルデータを売っているいわばIT系/ソフト系の仕事は、PCさえあれば(場合によってはスマホさえあれば)、仕事ができる。売り上げが作れます。
しかも現代では、たとえPCが突然壊れても、直前まで行っていた仕事はクラウド上に保存されています。
だから、たとえひとつのPCが壊れても、違うPCがあれば、仕事は続けられる。
デジタルの仕事で生まれるものは、いくらでもバックアップがとれて、コピーペーストも一瞬だから。

でもわたしたちのようなアナログの仕事で生まれるものは、現実のモノ。
カタチのあるハードを作っているわけですから、バックアップもコピーペーストも簡単じゃありません。
このソフトとハードの違いが、ここまでの認識を生んだということです。

認識の違いは、価値を生む

じゃあ、この違いは悪なのか?というと、そうでもありません。
むしろ、"この違いを認識できたこと"は、間違いなくチャンスです。

たとえば、車や電車、馬車さえもないような交通がまだまだ発達していない時代。
マグロが大量に取れる漁港では、マグロの価値は低いでしょう。
でも、そのマグロを山にもっていけば、マグロなんてまったくいないわけなので、マグロは希少=価値が高くなります。

今回の話でいえば、AI企業が「作業の平準化ぐらいすぐできるしカンタンなのに、そんなに重要なことですか?」という認識だったら?
その技術を製造業にもっていくことで製造業の売上が一気に伸びるかもしれません。
※実際に今回お話ししたAI企業がこうだったかは定かではありませんが、近い認識だったはず。

これをさらに俯瞰して考えてみると、どうでしょう?
「センサー事業をはじめている自社(製造業)ではなく、違う製造業なら?」
「Aということがわたしが思っているよりカンタンにできることなら、Bという作業の効率化が図れるのでは?」
「今やっているこの仕事は、作業が平準化されたら不要なのでは?」
・・・

ビジネスオタクとしては、わくわくしてきました(笑)
自分の経験を俯瞰してみること。
そしてそれをまた具体化して当てはめてみること。
これは新しいビジネスを考えるときの基礎になると思っています。
やはりいつも同じ業界の人と話しているより、まったく違う業界の人と話すことは良い刺激になりますね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?