ところで(英語のおはなし)

なんですかね、私は全体が見えないのがすごいストレスになるんですよね。

いきなりなんやねんと思うかもしれませんが、前にも書いた通り、目から鱗が落ちて英語の全体像が見えるまで、全体像はクリアには見えないんですよ。話せるというイメージをつかむまでは、イメージがつかめないまま「頑張る」ことはある程度避けて通れないと思います。ストレスはあるんですけどね。
もしあなたが、それを避けた「勉強」をしてるとしたら、単語などの知識は蓄積されるかもしれませんが、それだけでは「話せる・使える」ことにはあーんまり直接は近づけていないんじゃないかなと思います。

じゃあ、私がここで何かを書くだけで、皆さんが「私、英語を使える!」というふうになるための、特効薬的な手助けができるでしょうか?
これはですね、残念ながら読んでもらう「だけ」では無理なんですよ。皆さんが勉強・練習することが絶対必要なんです。
「たくみさんの記事を読むだけで英語が話せるようになるよ!」というような記事が書けるなら、私は今頃テレビで引っ張りダコでしょう。

じゃあ「読んでもらう」ことで私には何ができるでしょうか?有り体のことを書いて、ありきたりの記事以外には何も形に残せないのでしょうか?

そんなことを考えた時、今私がここでまずできることの一つは、私には当たり前なのに皆さんにとっては当たり前ではないかもしれないことを共有したり、私が「はっ!」としたような気付きや衝撃を皆さんと共有することで、皆さんがどこか納得がいっていないことのヒントを得るきっかけを作ることだと思っています。今の文すごい長いですけど、そのまま使わせてください。
そんな「血の通った英語のお話」は、ただ読んで面白いだけでもいいですし、「ふと気づいたら、何かつかめた気がする、そのきっかけはあのお話だった」みたいな瞬間を演出できれば、私はすごく嬉しいです。

三単現のS

さて、そんなことを考えた時にまず思うのが、「三単現のS」というものです。

例文: Well, I don't have a car, but my brother has one. He lets me use his car when he's not using it. He doesn't mind it at all, we're good friends.

なにしろ唐突ですよね。まず、わかったと、人称という考え方があるんやなと。中学1年生の通る道ですね(今はもっと早いのかな)。
「わたし、俺」は一人称。「目の前のあなた」は二人称。「ここにいない、話題の中の登場人物、あの人」は三人称。ふむふむ。

で?三人称の一人の人の、現在形の動詞には、最後にsがつくだって?
どないやねん!そう思いません?あほかと。

あんまりこういう話って、英語学習の範疇ではされないんですよね。そういうものなんですー的な扱いしか受けない。

英語は結構特別

英語って、結構特別な言葉なんですよね。色んな言葉と比較してみても。
日本語もたいがいですけどね笑

何が特別って、動詞について言えば「三人称単数の、現在形の動詞には、最後にsがつく」っていうふうに「しか変わらない」のが特別なんです。
他のヨーロッパの言葉は、一人称単数(英語でいうI)、二人称単数(you)、三人称単数(heとかsheとか)、一人称複数(we)、二人称複数(you)、三人称複数(theyとか)、この6パターン全部動詞の形が違います
しかも、現在だけじゃなくて、過去も、未来も、6パターンの動詞の形があります。
言葉を勉強する中で、動詞がどのように変化するかは結構大事なテーマで、ヨーロッパの言葉には人称によって動詞が変わるものが多いです。

「うわ!マジで!?そんなん覚えること6倍じゃん!」って思うかもしれません。
確かに。でも、英語よりもよっぽど筋が通ってますよね。
「ええか、動詞って言うのは、誰がその動詞の主なのかで形が変わるんじゃ。俺がやるのか、お前がやるのか、お前たちがやるのか、あいつがやるのか云々で、形が変わる。
いつの話をしているのかでも変わる。今俺がやるのか、昨日俺がやったのか、明日お前がやるつもりなのか、でな」
ここまできっちり決まっていたら、ふーん、そういうもんかい、と思えますよね。

で、実は、英語も昔はそうだったんですよ。「三人称単数現在はSがつく」だけじゃなくて、ちゃんと6パターンの変化があったんです。
それこそ6世紀とかの、日本がまだ飛鳥時代とかの英語ですけどね、古英語っていうやつです。
そこから、英語は本当に数奇な運命をたどって、6パターンからあれが抜け、これが抜け、このパターンも離脱してっていうのが積み重なった結果、
「普通の形」と「三人称単数現在の、Sがついた形」の2パターンだけになってしまったんです。
なので、英語はもともとは「誰がその動詞の主なのかで、動詞の形が変わる」言葉の仲間なんです。

じゃあ日本語は?

じゃあですよ、我々が使っているこの日本語はどうだろう、と考えてみましょう。
人称での変化はするでしょうか?誰の動作なのかで、動詞の形は変わるでしょうか?

「俺は今日カレー作る」「かおりさんは明日プリン作る」「俺たちは来週からあげ作る

全部「作る」で変わらないですよね、上の文、変じゃないですよね。ということは、日本語は基本的には、誰の動作なのかで動詞の形は変わらないんですよ。
じゃあ何で変わるか?「作る」という言葉で考えてみましょう。

「明日かおりさんは何作りたいですか?」
「そうですね、クリームコロッケはどうでしょう?作ったことあります?」
「いや、ないですね。作ってみましょうか?」
「そうですね、作りましょう」

そもそも日本語って全部文字くっつけて書くので、単語の切れ目がわかりにくいっていうのもあるんですが。
作る」の「」の部分が「」になったり、「」になったりしていますよね、これが日本語の動詞の変わり方です、わかりにくいですね!笑
じゃあ、何をきっかけにして「作る」が「作り」になったり「作っ」になっているでしょう?
なんか中学校の国語の授業でやったと思いますが、後でテストするわけじゃないですから「ほえー、そうなんか」くらいのリラックスした気持ちで読んでくださいね。

日本語の動詞は、「そのあとに何が来るかで形が変わる」んです。
「作る」という動作の後に、「それをしたい」という気持ちを加えるために「たい」という言葉を付けるとしますよね?

「作るたい」とはなりませんよね。九州弁かっていう感じですよね。

「作『』たい」ですよね?これって、我々日本人は何にも考えずに「作る」を「作り」に変えてますけど、外国の方は習わないとわからないですよね。
もし「はい、わたし、おにぎり作るたいです」って言ってる方がいたら、「『作りたい』ですよ」って教えてあげますよね。

<まとめ>

・「三単現のs」は、英語独特の現象です。
・昔は英語も、もっと多くの動詞の変化がありました。今でもほかのヨーロッパの言葉の多くは6パターンくらいの動詞の変化があります。
・言葉を勉強する上で、動詞がどのように変化するかは、大事なテーマです。英語は、「動作の主が誰なのかによって、動詞の形が変わる言葉」の仲間です。
・じゃあわれらが日本語はどうか?日本語は動作の主ではなく、動詞の後にくる言葉で、動詞の形が変わります。(「作る」の後に「たい」が来たら、「作たい」になる)

いや、わかりますよ。「それがわかったからなんやねん」って思ってる人がいたら、それは自然な気持ちだと思うんです。
これがわかったから「はい英語話せるようになりましたー!やったね!」とはなりませんよ。
でも、少し英語の「姿」が前より少しだけクリアになりませんか?なってるといいんですが :)


もし、「あの、たくみさん、なんというか、〇〇についてクリアじゃない感じがするんだけど、どう?」という〇〇がある人は、是非教えてください。
私も感じるところがあって何かお話しできることであれば、是非記事にしたいです。

とりあえず今日はここまでにしましょう。ありがとうございました :)


*ちなみに、ヨーロッパの言葉って言う時、私はその模範例としてイタリア語を思い浮かべてます、念のため。


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