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【映画感想】「THE FIRST SLAM DUNK」をバスケ経験者視点で

観てきました。

圧倒的なリアリティで描かれた山王戦でした。

本当に目の前でバスケしてる!!
って感じを強くもちました。

バスケ経験者だからこそ、感じられた
すげーと思ったところをご紹介していきます。

今回は「パス」と「ドリブル」の側面から。

リアルなパス

パスが映像になったことで、

・どんなボール捌きでパスを出したか
・どれくらいの速さか
・どんな軌道で通ったか
・キャッチはどんな感じか

が、リアルに感じることができます。

漫画ではどうしても表現が難しいものです。
映像でしかできません。

とくにすごかったのはこのシーン。

©︎集英社

リョータが綾子さんに「NO1.ガード」と書かれた手のひらを見て奮起するところです。ボール運びに苦戦していたところを打開する場面でもあります。

これはビハインドパスと言って、自分の背中の後ろを通すパスで、
めちゃくちゃ難しい技術です。
やってみればわかりますが、全然まっすぐ投げられない。

リョータもこの時、少しパスコースがずれて流川に渡ってます。
普通だと胸の前にパスを出すのがセオリーなんですが、
左に逸れているので、流川も少し受けにくそうです。

さらにパスを出す直前、山王の6番がリョータの右手目指してボールを取りに来ている動作を見せています。
リョータはこれを察知して、逆方向の流川にパスを選択する。

その一瞬のやりとりを、文字通り一瞬で見せている。
ボールの速さ、ギューン!って移動するボールの感じが
とくにうまく表現されていました。


命のドリブルの音

ドリブルを表現する上で「音」は欠かせない要素です。

こちらの予告編をご覧いただくと、
冒頭の7秒までは真っ暗な映像で
ドリブルの「音」だけが響きます。

この音だけで、「誰かがドリブルをついている」というのがわかります。

バスケットボールは、思ったより大きな音をたてます。
原作でも、花道のシュート合宿を終えた後のシーンで
「この音って主がいねーとすごく響くんだな」みたいなセリフがあったと思いますが、
映画では、この「音」をフルに使って表現がされています。

後で触れますが、
あるクライマックスのシーンでは、「音」が完全に消えてしまうというドラスティックな演出もされます。

宮城リョータの生きる道であるドリブルの「音」が要所で響いて、聞いている人の胸に刺さります。

©️集英社

山王の伝家の宝刀、ゾーンプレスという作戦に嵌って、
リョータがボールを運びに苦戦しているシーン。

全国クラスのディフェンダー二人を前に、打開するところですが、
ここもかなり鮮やかに精密に表現されていました。

このあと、この屈強なディフェンダー2人の間を
超低位置の達人的なドリブルによって抜き去ります。

漫画ではもちろん絵での表現なので、
抜き去る瞬間の画像しか描かれないですが、
映像では、体をすり抜ける感じ、リョータの目線、
ドリブルの細かさ、その「音」がリアルに感じられるのです。

今回映画化にあたって新しく追加されたシーンは、
「宮城リョータの過去」の話です。(未来も少しある!)

ネタバレにならないように注意しつつですが、
過去が明らかになることで、
宮城リョータがなぜバスケをするのか、という核心部分にまで触れます。

その回想シーンでは、少年の頃のリョータは
やたらとドリブルします。

ひとり練習でもずっとドリブルしてるし
試合中であっても、監督に怒られるレベルでドリブルしまくります。

ポイントそれぞれでドリブルの音が刻まれてくるので、
観ているうちに、
宮城リョータとしての生きる意味とか、
生命力とかと重なってきて、
まるで彼の「鼓動」にも聞こえてくる。
音に命が通ってくる。

リョータのドリブルを咎める人は一人もいません。

リアルな視点でいうと、ドリブルのしすぎはボールが不安定になるし、
パスの選択肢が消えるし、ディフェンスが対応しやすいし、
デメリットも多くあるため、ドリブルは最小限にすべきです。

もし試合中にリョータのようにドリブルしていたら、チームメイトや監督からは止められてもおかしくないはず。

でも誰も止めない。

それはリョータにとって「ドリブル」は
生きる道そのものだから。

三井ともゴリとも、過去にはバスケについて喧嘩していましたが、
ドリブルについては、絶対に触れていません。

それが生きる道であることを、
仲間はわかっていたのではないでしょうか。

まとめ

バスケ経験者の視点で
「パス」と「ドリブル」の表現についてご紹介しましたが
見所はまだまだあります。

原作読んだけど覚えてないって人でも大丈夫です。
原作ストーリーを知らないとダメってわけでもないです。

圧倒的な映像表現で味わうバスケの試合を見に行くつもりで
映画館に行ってみてはいかがでしょうか?


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