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【映画感想】「ショーシャンクの空に」

何年かに一度は無性に観かえしたくなる作品です。
大ヒットして多くの人に観られ、
今でもファンがいるほどの名作。
どうしてこんなに面白いんだろう。

「モノ」が伝える物語

毎回観ていてすごいと思うのは
映画の中での「モノ」の使い方がめちゃくちゃ上手いってことです。

とくに、
・本
・石
・ポスター

この3つの「モノ」が映画の中でどんな意味を持つのか、考えていきたいと思います。

「本」にこめられた意味

主人公アンディの荷物抜き打ち検査をやりおえて、
最後に所長が聖書を手渡すシーン。

picture copyright: AFLO

本にまつわるものとして、
聖書、図書館、手紙 、台帳…

それぞれが物語のキーとなるポイントで出現します。
穴を掘るために使われたロックハンマーを挟んで隠しこんだモノであり
銀行家としての知識を得た本となるモノであり、
図書館を拡大してまで大事にしてきたモノでもあり、
自由を得るための手がかりとなるモノだったり。

ゲイの囚人にレイプされそうな場面でも、
「本」で得た知識によって、事なきを得ます。

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「石」がもつ意味

石にまつわるモノも多く出現します。

アンディは、
地質の詳しく、趣味で彫刻をする。
アンディがこの物語でうまくパワーを持てた理由の一つです。

「この壁は土壁だから、掘って穴を開けることができる・・・!」

と、脱獄の現実味を発見したシーンで、きっかけは、
ひとかけらの「石」でした。

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自由時間のほとんどをつかって、削り続けたものは、
仲間が集めてくれた、「石」でした。

とくに、チェスの駒を作るために入手の難しい「黒曜石」も、
物語のキーには欠かせません。

仮釈放で出所した相棒のレッドが
アンディと約束したのは、
この「黒曜石」を見つけること。

この長閑な土地に
木の陰の下で、見つけられるのをじっと待っていた黒曜石。

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「この下に自由があるぜ」って語りかけていそうにも思えてしまいます。

また、脱獄で下水管を叩き破るのに使ったのも、「石」だし、
ロックハンマーも「石」を砕くためのものだし。
外の世界との境界である塀も、「石」でできています。

アンディは、この石をうまく使って、
脱獄という大仕事をやってのけたのです。

「ポスター」が持つ意味

囚人達が映画を観ているシーンで、
「なんでも手に入れることができる」調達屋レッドに
アンディはあるモノを依頼します。

「リタ・ヘイワース(女優)を」

印象的なこのシーンですが、
実際に調達できたのが、
リタ・ヘイワースのポスターでした。

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このポスターは、物語が進むにつれて、
大きく意味を変えていくのです。

手に入れるものが困難なものを
調達してやったぜ、というような「自由」を垣間見て、笑顔になっているように思えます。

懲罰房から出られたことのお祝いに、相棒のレッドは
アンディにポスターをプレゼントします。

10年記念で、マリリン・モンローの写真のもの。
その夜、ポスターを張り替えて、この表情です。

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夜には、じーっと見つめています。

そのプレゼントのお返しに、
ハーモニカをレッドに送ります。

レッドも夜になると、
もらったハーモニカをじっと見つめています

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お互いがお互いの贈り物を見つめ、
想い合うことで、この二人の絆は揺るがないものになります。

アンディの部屋にはポスターがいっぱい貼ってあります。

部屋で一人きりでいるときに、
いろいろなポスターを眺めながら
自由を空想していたんじゃないでしょうか?

・・・そんなポスターが実は
秘密を隠す道具だったことが明らかになります。

どうやって脱獄したのか特定できかねているところで

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「石」が貫通したことで、真実を知ります。

ポスターに開いた穴に腕を突っ込み広げてみると、
暗くて長いトンネルがあったのです。

何年ものあいだ、このポスターに身を隠しながら
地道に掘り続けた穴。

まとめ

この映画の物語がもつパワーはなにかというと、
モノがうまく物語を伝えているからだと思います。

巧みな演出と脚本力によって、
ただのモノに命が吹き込まれたようにも見えてしまうのです。

しかし、レッドも言っていたように、

「ロックハンマーは、人の頭蓋骨も割れるし、穴も掘れる」

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モノは、使い方によって、危険な側面もあるのです。

次回は、そのモノと「人間」との関係について、
この映画から探っていきます。


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