【映画感想】「JOKER」弔いの物語
ラストシーンは、世界のJOKERに向けた弔い。
アマプラで配信されていたので、
3度目くらいになりますが、あらためて視聴しました。
何度観ても、新しい発見があります。
今回は、ラストシーンについて。
このシーンがあったことで、
物語全体が、JOKERに向けた弔いだったのではないか、
と思えてくるのです。
とくに印象的なのはこの最後の最後のシーン。
真正面から眩しいほどの光が差し込まれ、
床まで反射して明るい上に壁も天井も真っ白。
しかも構図は左右対称なので、
どこか非日常性も感じさせられる。
ここ、天国じゃないかと思うんです。
この最後の最後のシーンがこれで、
一番最初のタイトルシーンは覚えていらっしゃますか?
悪ガキどもに袋叩きにされて、
勤め先の看板まで壊されてしまって、
倒れているシーンです。
ここから物語は幕をあけます。
これが、さきほどの天国っぽい舞台と
対になっており、地獄のように見えてくるカットです。
最初に地獄で最後は天国。
物語を通して観て見ると、
ジョーカーは最終的にヒーローになったし、
成仏できるストーリーとしても見ることができる。
救われたのはジョーカーだけじゃなくて、
最後のジョーカーデモに参加した人たちや、
ジョーカーと同じような孤独を抱える人たち、
映画を観てる人にとってみても、
弔いとして受け取れるのではないでしょうか?
もちろん私もその一人で、
自分の中のジョーカーっぽいところは
自分だけがもってるんじゃないんだ、
みたいな感じを持てて、少し成仏した気分になれました。
オープニングとエンディングで
対になっているという事実も含め、
この映画では、
妄想と現実の区切りが曖昧になってきます。
極端な話、
映画全編がジョーカーの語っているだけの作り話かもしれません。
逆に、全てが現実に起こったことなのかもしれません。
最後のシーンで印象に残っているこのセリフ
あの不気味な笑い声を上げたあと、
精神科医に、「何がおかしいの?」
と問われこの答え。
「ジョークを・・・思いついて」
「どんな?」
もしこの「ジョーク」がこの映画そのものだとしたら、
私たちには悲劇に見えても、
ジョーカーにとっては、喜劇だった、という意味にも取れます。
ジョークなような人生だろ?みたいな感じで。
それか、「ジョーク」は
これから行う悪事のことで、時系列ではこの後に起きる
「ダークナイト」の夜に行う計画のことかもしれません。
解釈の余地は広く残されている、
そう思わせる仕掛けが多くされた映画です。
見る人によっては、
とても悲しい物語かもしれませんが、
見る人によっては、コメディになる。
人生笑っちゃえば?
みたいなメッセージもうっすら聞こえてくるような気がします。
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