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庭でバナナを育ててみた

これは、僕とバナナの1年間を綴ったものだ。

余裕のある人はどうかゆっくり読んでほしい。

さて、コロナで自宅待機していたみんな。

やることがなさすぎて、野菜やら育ててしまってはいないだろうか。

いざ家庭菜園!ビバ!園芸ライフ!!と意気込んでも、プランター、土、苗...色々と園芸資材を集めると、意外とお金がかかってしまう。時間が増えたからといって気軽に手を出して後悔している人も多いのではないか。

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家庭菜園はブルジョワの遊び

#グリーンのある暮らし でも、グリーンは稼いでくれない。金のなる木は、ゲーム作中では魔法のアイテムだがあんなのはデタラメだ。事実として、僕はベランダに二株も置いているのに、銀行残高はすでに20,000円を切ってしまっている。

とにかく、家庭菜園はプロの世界なのだ。
素人知識では、かけたお金に見合わない金額の草が生えるだけ。気にかけるあまり、野菜の萌芽を雑草と勘違いして引き抜いてしまうこともザラだ。優しいだけじゃ人は救えないとは、まさにこのことだ。

ちなみに、僕は3年ほど前から家庭菜園をしている
近所に住む知人から「庭をなんとかしたいから手伝ってほしい」という話をいただいてから、持てる知識を総動員して、せっせと土を起こしては植物が育つよう土壌改良してきた。

貯めていたお金も、ほとんど苗や資材に消えてしまったんだなも。クリスマスに、彼女へのプレゼントとしてさつまいもを選んだのは、それが原因ではないんです。この件についてはまたまとめさせてほしい。

家庭菜園はじめ

好きにいじってよ~と言ってもらった知人庭は、セメントのような固い岩がむき出しで雑草も何も生えていない場所だった。

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全体図と、孤独なレモンの木(手前)

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水も通らない、ガチガチ土

僕は、けっこうな農業っこだ。実家は農家ではないが、農家のもとで育ち、彼らの考え方、農法を学んできた。いつでも頼られる「農家の息子」になるため研修生として農場に週3日通ったり、繁忙期にあちこちの農家さんを手伝ったりしてきた。

でもいざ親方のもとで習ったことをもとにやってみると、試行錯誤の連続。

水捌けをよくするために溝を掘って、緑肥にクローバーを撒き、それが茂ったら鶏糞と石灰と一緒にすきこんで、、あれよあれよとしていたらなんとか作物が育つようになったのは嬉しかった。

えんどう豆、ルッコラ、いちごやらが茂ってたよ

珍しいハーブや野菜がせっせこ育つ。
それにやりがいを感じるにつれ、少ない貯金も時間も消えていった。

バナナとの出会い

その出会いは、本当に偶然だった。
庭がわさわさと賑やかになってきた2年目の、2019年春頃。

ある日、家主がバナナ苗を通販でポチっていたのだ。

大まかな方向としては、きっとおしゃれなハーブガーデンにするかと思ってた。ぶどうもブルーベリーも植えたいなんて言うから、むちゃくちゃだ。ふつうバナナの育つ場所でブルーベリーは育たないだろ。

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そんなバナナ

植えても育つのだろうか。うーーん、、

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根付いてしまった。

ものすごい勢いで育っている。

蕾もできてしまった。

実はこのバナナ、調べたところ「アイスクリームバナナ」という品種で寒さに強く、本土でも育ってくれるという気概の持ち主らしい。植えてから15~24ヶ月ほどで実ができるとか。家主がネットで簡単に買えたよ〜というくらいだが、苗一つで4,000~5,000円もする。植物の苗ではかなり高価...

2年かけて収穫したバナナを、一本いくらにしたら生活できるのか。
考えると、農家という職業は本当にすごい。

このバナナスレは、遠出が重なったりして更新が不定期になっているが、あくまで趣味の範囲なのでご了承いただきたい。

房がついた

このとき、2019年9月30日(植えてから半年ほど?)

どんどん様になってきたぞ...

遠出が重なって時間が空いたが、久しぶりに見たら蕾が取れてしまっていた。どうやら風でポキっと折れてしまっていたみたい。。

この花の先端の中にちょろっと見える黄色いのが、大きくなるとバナナの可食部になるのだ。もったいないことをしたなあと思いながら、残りの房がちゃんと育つよう見守る。

2019.12.24.クリスマス

街全体がイベントムードで浮かれている中、
「ごめん、寒かったよね」と、声を掛ける。
バナナに

もうすこし色づいてくれないかな。

そしてあっという間に、年が明けた。

初詣で引くおみくじはここ二年間ずっと末吉。なにが末っているのかわからないが、バナナはそんな僕を癒してくれる。

キレイなシアンブルー色が、アイスクリームバナナっぽい!

さらっと先述したが、神戸で農業を教えてくれた親方農家に食べてみてもらおうと思う。一本もいで持っていったけど、毒味してお渡しするべきだったなと反省している。美味しかったともきかなかったな...

加えて、バナナの小さい株を分けて、親方に献上。
親方の奥さまが珍奇植物を育てるのが好きなので、いつかの研修生からの逆バレンタインプレゼント。

早朝からスコップで株分けして、そのまま新快速に乗り込む。

車内で周りの人の顔をファサァッ..と葉っぱが撫でていくの、いたたまれなかったけど、同じくらい気持ちよかったのを覚えている。

神戸では毎週末ファーマーズマーケットが開催されていて、そこに親方夫妻が出店しているので、そこへ突撃する。

めっちゃ喜んでくれた。

そこまで喜んでもらえるとは思わなかったけど、なんだか誇らしい気分に。

農家は稼げないしんどい、というけど、それでもみなさんが農家をつづけるのは、この瞬間のためなのかと感じる。自分が手塩にかけて育てたもので喜んでもらえたときが、自分も、自分のやってきたことも認めてもらえたように感じる。

バナナの本数を見る限り、実際このバナナを売りに出すと1本あたり1000円は下らなくなるだろう。それを手にとってもらいやすくするために、生産規模や効率をあげたりと日々手を尽くしているのが農家の仕事であって、農業経営なんだ。

家庭菜園は趣味かもしれないが、農業に一歩踏み込むための、一番時間がかかる近道だと思う。コロナ期間で野菜を育てたりしてみた人も、もうちょっと続けてみてはどうだろうか。

追記

気付いたらコロナでバタバタして、2ヶ月ほど時間が空いてしまった。
バナナの様子を覗くと、なんと家主にキレイに刈り倒されていた。自宅勤務になった家主が収穫どきかなと手をかけてくださったようだが、結局は皮算用で、僕はただの小作人だったことを痛感した。

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