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#HALFTIMEアカデミー NBAキャバリアーズのチケット戦略

皆さまこんにちは。琢磨です。 タイトル講義に参加し、その備忘録と考えをまとめる。

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本日はジムカーラーさん。NBAのチケットセールスについて深ぼっていく。
過去、クリーブランド・キャバリアーズのセールス&マーケティングのヴァイスプレジデントをされていた大物。

アメリカスポーツビジネスの変遷

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2013年→2019年で放映権の力が台頭。(メディア/OTT)個人的にはスポンサーセールスの方がチケットセールスより高いと思っていたので、このあたり日本の収益構造とは異なる。ちなみにBリーグは以下。スポンサー様様である。

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※2019年データ@SPODIGIより(イシさんありがとうございますmm)
https://spodigi.com/sports-business/b-league-club-financial-settlement/


アメリカスポーツのBIG4

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MLBは試合数が多いのでチケット単価が低い傾向にある。
NFLは8試合しかホームゲームがないので、試合の頻度が低い=シーチケホルダーになってくれる確率が高まる。※忙しい人でも8試合なら来れる確率が高いため。(NBAシーチケホルダーだと20試合前後になるため、忙しい人だときつい)


シーズンチケットの読み値

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シーズンチケットホルダー向けにアンケートを実施。
「来シーズン契約更新しますか?」
→「Maybe」と答えた人の66%くらいが更新してくれるらしい。

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上記がアンケート結果から読めるシーズンチケットの売上予測。
ちなみにキャバリアーズの場合、シーズンチケットホルダーは平均8年間継続してくれる。※8年目以降は「他のことに金使おか」となるひとつの節目。
またシーチケ訴求の広告費は通常の6倍の予算がかかると。
結構具体的な数字をありがとうございますmm

5つのチケットセールス

①個人セールス:年間1~3回見に来る方。カジュアルチケット。
→一番悪い席に座らせられる。(一番上の後ろ)

②グループセールス:20名以上。20%のグループディスカウントを設定。
→中列の席に座らせられる。初めて見に来る人が多い傾向がある。

③ミニプラン:複数試合のパッケージプラン。エスカレーター(後述)に載せて最終的にはシーチケホルダーにアップセルさせる。コートの真裏の席が多い。ブルーカラーが多く、忙しい人たち。

④シーズンチケット:8年経つと次のことに払おうとなるひとつのサイクルになっている。1階のコートに近いあたりに座れる。

⑤スイート:コートに一番近い位置にしたかった(セールスポイントになるから)。15列の差で100$差が出る。


「ミニプランの試合数の設定はどうしているか?」
なるべく多くの試合数を売り切ることが大事。ポテンシャルのある試合は接客的に売るが、見込みのない試合にはパワーをかけない。

「チケット戦略にセカンダリーマーケットのことは考慮しているか?」
セカンダリーマーケットはチーム側でコントロールできない。チケットセールスとは別で戦略を持っている。MLBの約40%のチケットをブローカーが握っていたりする。ブローカーとの調整が戦略のカギを握る。

「ビジターは?」
アメリカでは距離が離れているのでビジターは基本来ないことが多い。ただブルズのマイケルジョーダンを見に来るときにはグループシートを確保しなくてはならなかった。

「アップセルのCV率はどの程度?その数字はモニタリングしていたか?」
リーグの中で一番データ解析に金をかけていたと思う。お客様のことを理解しなくてはならない。「ゆりかごから墓場まで」という言葉があるが、ファンを育成していく、という観点が必要。会社で偉くなる=アリーナのVIPを活用してビジネスという成長ペルソナを描いている。

「ゆりかごから墓場まで」という言葉にクラブにCX戦略が垣間見える。
新規の間口をどうするか、新規で入ってきたお客様をどうリテンションし、ナーチャリングしていくか。①/②→③→④の全体像が体系化されているのだろう。※下図参照

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売上構造はよくある2:8 の法則。上図の四角で囲われている2割の領域で、8割の収益を稼いでいる。


NBAのチケットソールドアウトモデル

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各チケットセールスにおける販売割合。
なかでも興味深かったのがグループセールスの重要性。上述の通り新規層が多く、このレイヤーの取り扱いは必ず枠を設けるようにしていると。
なぜなら、フェニックスサンズがグループセールスをやめてしまった時があったのだが(シーチケ割合を増やした)、後々チケットが売れなくなる事態に陥る。通常チケットを買ってくれるはずの人がいなくなってしまったのだ。なので、グループセールスで新規層を抱えるのは必須と。


チケットセールスの未来

顧客目線でシーズンチケットホルダーの方々を一人ずつ深く分析し理解していく必要がある。まさに顧客起点マーケティングが求められる部分である。

で、私から「グループセールスで獲得した新規層はコロナによってリテンションできているのか?」という質問に対し、

まずは優先して、フルシーズンホルダーの確保に動いており、個人、グループセールスの方は後回しとなってしまっている、と返答が。
またコロナによって、会場に行かずとも「大型テレビ越しに家でゆったり座りながら見られれば充分!」とシーチケホルダーに思われることを恐れていると。

これまでスポーツポートフォリオの基盤を築いてきたチケットセールス。その基盤がコロナによって崩れた事実は誰もが思うところ。
で私の仮説も込みだが、現状の各クラブが取り組んでいるバーチャルスタジアムや投げ銭、オンライントークイベントはあくまでコアファンのリテンション。

今回の講義で言うグループセールス(新規層1~2回)層のリテンション、またはエスカレーターに乗せ直す施策や戦略が求められるように思う。

JリーグでもF2層(1~2回)が戻ってきていないとデータが示している。

また若年層を取るためのエンタメは競合揃い。レジャー白書2020が出している余暇活動ランキングでスポーツ観戦はTop20圏外だ。

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※レジャー白書2020より
https://www.jpc-net.jp/research/detail/004580.html

改めて顧客目線で「スポーツ観戦をなぜするのか?」と向き合う必要性を感じずにはいられない。コロナ禍によるCXの変化に対して、どう新規顧客と接点を持って、来場orオンライン観戦をしてもらい、ファン化させていくか。

「ゆりかごから墓場まで」。単発企画に終わらないよう、各フェーズにおける深い顧客理解と仮説を通したCX戦略を設計し、エレベーター理論のように新規顧客をナーチャリングしていけるかがより重要と感じる。

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