見出し画像

【ネタバレあり】夏の終わりに『サマータイムマシン・ブルース』!

今回は『サマータイムマシン・ブルース』という邦画を視聴したので、その感想を書きたいと思います!

『サマータイムマシン・ブルース』は、踊る大捜査線シリーズなどで知られる本広克行監督が、上田誠主宰の劇団ヨーロッパ企画の舞台『サマータイムマシン・ブルース』に惚れ込み映画化したという製作背景を持っています。2005年の邦画で、若かりし頃の永山瑛太(当時は瑛太)や上野樹里、佐々木蔵之介などの今も第一線で活躍する俳優陣が見られる他、ムロツヨシは実はこの映画が映画デビュー作なのです!

あらすじをYahoo!映画から引用します

とある大学のSF研究会の部室には、前日にクーラーのリモコンが壊れ、猛暑に悩む部員たちがいた。ところが彼らは部屋の隅にタイムマシンがあることを発見、「昨日に戻ってリモコンを取ってこよう」ということになり、乗り込んでみるが……。


この映画は評価が大変高く、自分は少々期待して見ていました。が、その期待のラインをほんの少しだけ上回る面白さ。正直期待し過ぎていたのもあるかもしれませんが、面白いんだけど「なるほどな〜こんな感じか〜」といった感じでした。

〈良かった点〉
・タイムパラドクス的な問題点が(おそらく)ないです。(この手の問題が正直苦手な私も、劇中に解説が時折入るため理解は出来ました)


・そのタイムパラドクスとかわからなくても、登場人物たち大学生のノリ(大学生というより男子高校生に近いかも)が見ていて愛くるしい。大学生のノリというと「飲みサー」や「コンパ」みたいな感じですが、そういうイヤ〜な陽のノリはありません。痴情のもつれなども一切なく、安心して見てられます。


・先ほどのイヤ〜な陽のノリを羨望や嫉妬の目で見るみたいなマイナスなシーンもなく、登場人物たちは自分たちのステータスなどを全く気にせず、自分の目の前のことに一生懸命に生きています。こういう心無くしてたな……。

舞台はクーラーの壊れた部室という暑苦しい空間ですが、役者さんたちのおかげで爽やかさすら感じます。悪役がいないのも良いですね。


・「タイムマシンは結局誰が作ったのか」、「田村の父親は誰なのか」など、余白が残っている点にノスタルジーを感じました。季節が夏っていうのもそれにマッチしていましたね。


〈悪かった点〉
・ハラハラドキドキする展開や演出が少なかったように感じます。タイムスリップものでありがちな、過去の人物に会ってしまい誤魔化すシーンがあるのですが、もうちょっと慌てたり展開的にギリギリバレそうになってしまうなどがあっても良いかなと思いました。悪い意味で落ち着いて見てられちゃう感じです。


・過去の世界に合わせて行動するシーン(例えば、"過去の自分"が扉の近くまで来ていて、鉢合わせを防ぐために急いでロッカーの中に隠れるなど)があるのですが、そういったシーンの時だけ登場人物たちがめちゃくちゃ賢いんです! 「1日前の自分はこうしていた」みたいな記憶力が凄まじくあって、脳内で瞬時に判断して「ってことはこうしなきゃ」と都合よく行動しているように感じる場面(机の下からリモコンを置くシーンなど)がいくつかありました。

少しでも「あれ、昨日の俺って今何してたっけ……やべ、部屋に入ってくるんだ!」といった感情の流れが見えれば良かったのですが、それがありませんでした。

本筋のギミックが大変面白いため、それをテンポ良く進めることに注力したのでしょうが、それをやるあまりそれ以外の小さな要素のシーンが不自然にご都合よく進んでいく感じがしました。


〈まとめ〉
SF研の男子大学生がタイムマシンに出会う一夏の思い出っていう、のほほんとした感じがこの映画の魅力なんだと思います。それでいて、脚本におけるタイムスリップのギミックは計算し尽くされており、申し分なし。

9月に入り、夏も終わりに近づいてきてます。夏が終わる前に是非見てみてください! 観て損はしません!

79点/100点

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?