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創業間もない会社の資金調達方法

昨今、資金調達の方法が多様化してきていてすごくいい傾向にあるなと常々思っています(特にVCの増加は、今後の日本の産業へのインパクトが大きいと思っています)。

ただ、一部の情報だけを得て、あまり考えずに資金調達をしている会社が増えているのも実情で危険だなと思っています。会社の成長を考える上で資金調達は取り返しがつかないことがほとんどなので、非常に重要です。

なお、できるだけ多くの方に読んでほしいと思っており、シンプルかつわかりやすくまとめてみました。

資金調達の順番

会社を設立する際に資本金として自ら会社に資金を投入することになります。それ以降で、お金の出し手順に考えると以下のような順番になるのではないかなと思っています。

①お客様

②国・地方公共団体

③金融機関

④エンジェル投資家

⑤ベンチャーキャピタル(VC)

① お客様からお金をいただく「営業収益(売上)」

なんといってもまずは「営業収益(売上)」です。お客様に価値を提供して、その対価としてお金を得るということ。当たり前の話ですが。ただ、最初から売上をあげることが難しいビジネスモデルもあるかと思います。その場合は、②→③→④→⑤という順番で考えていきましょう。

② 国・地方公共団体からいただく「補助金・助成金」

次に「補助金・助成金」です。国や自治体が会社を支援してくれます。使わない手はありません。ただ無数にありすぎて探すのが大変だし、それぞれ内容も違うのでキャッチアップと資料作成が大変です。顧問税理士が補助金・助成金に強いところだと非常に助かります。日頃から情報を得るように心がけましょう。ミラサポPLUSを定期的にみるのはオススメです。ちなみに、僕が取締役CFOをしているクアンドでは、社員から「こういうの見つけました!」という声があがってくるのでかなり助かっています。そのような状態になっているのはきっと全体会議で「●●の補助金で●●円受領しましたよ!」という発信をしていることが起因しているからかなと思っています。

③ 金融機関から調達する「融資」 

①②や自己資金では理想の成長ができない、資金が足りない場合に考えるのが「融資(デットファイナンス)」というものです。法人や個人を引き受け先とした社債等もありますが、まずは金融機関からの融資が無難な選択肢です。これまでは受領するのみでしたが、融資の場合は、元本の返済と金利の支払いが前提となる点が違いです。創業してすぐであれば、個人的には「日本政策金融機関公庫 新創業融資制度」の活用をオススメします。金利は2.0%以上と高めではありますが、無担保(何らか資産を差し出す必要がない)・無保証(個人で連帯保証をしなくてよい)で個人としてのリスクを軽減させることができます。その後、各都道府県にある保証協会付、保証協会なしのプロパー融資という順で考えていくべきかなと思います。保証協会付の融資も民間金融機関が窓口となるので日頃から会社の状況については発信しておくことが重要です。これはあまり調べてもでてこないと思いますが、自身の会社の金融機関(メインバンク)とはしっかり信頼関係を構築することをオススメします。僕自身はできる限り、これまでの人脈を活用し、上席の方との接点を持つように心がけるようにしています。このあたりのノウハウについては別機会で詳しく書くかもしれません(知りたい方は連絡ください)。

④応援団たる「エンジェル投資家」からの出資

会社を設立するということは、自身が描きたい未来があったり、到達したい目標があったりするかと思います。その姿をみて、応援したいと思っている人が少なからずいるかと思います。①~③が難しい場合は、当然資金がないわけですから④を考えなければなりません。ほとんどの場合、「第三者割当増資」というもので調達をします。仕組みとしては、会社の株式を発行して、それを引き受けてもらう(割り当てる)ものです(例えば、1株1万円とし1,000株をエンジェル投資家に引き受けてもらう(割り当てる)と、1,000万円が会社に入ってきます)。ただ、注意しなければならないのは、この④からは自社の株式を自身以外に放出することが前提となります。株式を一部放出するという行為は、経営権(議決権が会社法上正しいですが理解を優先するため経営権としています)を一部放出するとほぼ同義です。①~③以上に後戻りができないものになるので注意が必要です。経営権をいつの間にかとられているというケースも昔あったようです。③までは、特にファイナンスの経験がない人でも対応できると思いますが④以降は後々痛い目にあわないためにもファイナンス経験がある人を巻き込むことをオススメします。

※議決権に応じて以下のような制限がかかってきます。ご参考まで

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⑤スタートアップ企業には欠かせない「ベンチャーキャピタル(VC)」からの出資

2020年のIPO(新規上場)は93社、特に成長フェーズにある企業が上場するマザーズでは63社となりました。そのマザーズに上場した会社の大半がここであげるベンチャーキャピタルから資金調達をしていると思います。どうしても急成長を目指す上では欠かせない存在なのです。ただ繰り返しになりますが、①~④を経て、もう資金調達できないとなった場合の手段として活用するべきだと個人的には考えています(もちろん①~⑤が同時並行に起こることは言わずもがなですが)。

「自社の事業特性を見極め、VCからの調達のリスクや失うもの、それによって得るものを天秤にかけ、それでもVCから調達したい、すべきだと腹落ちして、はじめてVCからの調達をすべきです。」と著名なVCの方が語っているくらい非常にリスクのある資金調達なので慎重にいきたいところです。

最初からVCを頼りにしている会社が多いなという印象があるのでそれはさすがに気をつけましょう。

VCからの資金調達でも、普通株式、JKISS、CB、優先株等ありますがあまりに専門的になるので触れませんが④と同様にVCからの提案を鵜呑みにするのではなく経験ある方に相談することをオススメします。

最後に

・自社の資金調達に対するスタンスをきちんと持ち、周囲に振り回されないこと

・経験ある方複数名に相談し、慎重に判断していく

この2点を守って会社を成長させて行きましょう。

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