見出し画像

『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』を読んで。

(※本稿は過度なネタバレを含みません。)

先日読んだ著書に『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』というのがあって、
これが、ものすごく興味深かったのでご紹介します!


いや、ヤバいタイトルですが待ってください。真面目な話ですから。

著者の品田遊さんについて

この本の著者は品田 遊さんという方です。
普段、私はこの方のことを、
『オモコロ』というウェブメディアで、ダ・ヴィンチ・恐山という名義でウェブライターをしてる人、という認識を持っています。

You Tubeにも出演されてますよ。

…なんかこの『オモコロ』というメディアは、人に紹介すればするほど、誤解を生むし、なんかこう、掴みづらいんですよね。
でも面白いです。

恐山さんはTwitterでの発信が一番有名かもしれません。あらゆるウェブ媒体で見かけるので、何かしら見てみるといいかもしれませんね。

このnoteでもお見かけします。

中でも、最近ハマられてる“AIのべりすと”の記事はおすすめです、、、が、どうか先に以下レビュー記事をご覧ください。

さて、そんな“ユーモア”の人なのでてっきり著書も、コミカルなのだと思っていましたが、
どうもこの本は哲学書の類なようです。


『反出生主義』

『反出生主義』という言葉を、私はこの著書で初めて認識しました、、、

人は立ち直れないくらいの困難に立ち会ったとき「生まれてこなければよかった」と思いますよね?
…これは、あるあるなのでしょうか?でも少なくとも、私はそう思ったことが少なからずあります。

この本を書店で見かけたときはまず、“あとがき”から読んでみることをおすすめしますが、

品田さんによれば、
2017年にデイヴィッド・べネター氏が発行した『生まれてこないほうがよかったー存在してしまうことの害悪』という著書が、ネットで議論の的になったそうなんです。

この著書は私が前述した、後ろ向きな体験からなる「生まれてこなければよかった」ではなく、あくまで“道徳的”な観点からの最終結論である「生まれてこなければよかった」らしく、その思想を『反出生主義』と名付け、世に知らしめたといいます。

この『反出生主義』に対する見聞は、品田さんの著書で深めていただきたく思います。


『ただしい人類滅亡計画』を読んで。

〈世界人口78億人突破! 〉
どう滅ぼすか、みんなで一緒に考えよう!!!!!!

ダ・ヴィンチ・恐山、小説家として待望の帰還!!
突如降誕した魔王と、集められた10人の人間たち。
読む者の“道徳”を揺さぶる、話し合いの幕が開く。

【あらすじ】
全能の魔王が現れ、10人の人間に「人類を滅ぼすか否か」の議論を強要する。結論が“理”を伴う場合、それが実現されるという。人類存続が前提になると思いきや、1人が「人類は滅亡すべきだ」と主張しはじめ……!?

さて、
本著を読めば読むほど、この『反出生主義』に対する見聞は深まり、果ては納得もさせられてしまう。

一見めちゃくちゃな『反出生主義』を是とすることに、この本の恐ろしさを感じましたがしかし、どこか救われる部分もありました。

私は陶芸家の家系に生まれたものの、ありがたいことに幸せを願ってくれた両親は、私が好きな道を選ぶことを望んでくれました。
でも、世間は違います。

私が陶芸家の道を選んだことを不幸だと言うつもりはありませんが。でもこれが、私の末代まで続くんでしょうか?
世間はそれを望むんでしょう。


この著書には、あらゆる立場の登場人物が『反出生主義』をめぐって議論をします。
それぞれの主張が正しい、正しくないの二通りで区分できるわけでもありませんがそれでも、
議論の末、終いには『反出生主義』が暴論ではなくあらゆる反駁も受付ないことを、痛快に感じてしまいます。


ただこの著書の素敵なところは、
その先の思いがけない結末にまた、救われた気持ちになってしまうところなんです。


その最悪で、素敵な結末を是非ご覧いただきたい。本当はここで、ネタバレしてしまいたいくらいなのですが、品田さんの望むところではないと思いますので。
いつか、皆様と『ただしい人類滅亡計画』を議論できたらなと思います。

辻 拓眞 略歴

1992年 佐賀県有田町に生まれる
2017年 佐賀大学 教育学研究科 教科教育専攻 美術教育 修了
2019年 日本現代工芸美術展 現代工芸新人賞
現代工芸美術九州会展 九州陶磁文化館長賞
日展 初入選 
2022年 現代工芸美術九州会展 佐賀県知事賞

現在、父 聡彦のもとで作陶しながら全国の百貨店で展覧会を開催している。
ー聡窯について

代々、日本磁器発祥の地である佐賀県有田町で作家として活躍している辻家。香蘭社の図案部で活躍していた先代・辻一堂が、1954年に前身である新興古伊万里研究所を設立し、12年後に「聡窯」と改名し、現在に至ります。

絵を得意とする聡窯では、日本や海外の風景・身近にある自然をモチーフを、先代から受け継ぐ線刻技法と呉須(青色の絵具)で描き、日々作陶に励んでおります。


【聡窯・辻 Sohyoh Tsuji】
〒844-0002
佐賀県西松浦郡有田町中樽1-5-14
営業時間:9:00~17:00(土日祝日/定休日)
Tel:0955-42-2653 Mail:artgallery@sohyoh.com



【SNS】
■Facebook:聡窯・辻/Sohyh Tsuji


■Instagram:聡窯・辻󠄀/Sohyoh Tsuji(@sohyoh.kiln)

■You Tube

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?