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見当違いなケアマネの成り手不足対策

ケアマネジャーの成り手不足が問題となっています。

「中央福祉人材センター」の調査結果によりますと、ケアマネジャーの有効求人倍率は昨年12月の時点で4.04倍と4倍を超えているとのことです。

ケアマネジャー不足は、今後ますます深刻化していくと指摘されています。
このケアマネジャーの成り手不足問題を改善するために、介護支援専門員試験の受験資格を緩和して不足を補おうとする声が、一部の有識者から上がっています。
さらに、関東の10都県の知事からなる「関東知事会」は、介護支援専門員試験の受験要件を緩和するよう国に求める方針を固めたようです。

このように、ケアマネジャーの成り手を増やすために介護支援専門員試験の受験資格を緩和する動きが起きていますが、受験資格を緩和すれば本当にケアマネジャーの成り手は増えるのでしょうか。
わたしは、この発想に疑問を覚えます。

ケアマネジャーの成り手が増えない原因は、ケアマネジャーに対する処遇が改善されないからです。
処遇改善加算等により、介護職員には処遇改善をすすめる一方で、ケアマネジャーには処遇改善加算等がなく、業界内で冷遇されています。
ですから、いくら受験資格を緩和したところで、ケアマネジャーの処遇にメスを入れない限り、ケアマネジャーの成り手が増えることはないでしょう。

ところで、介護支援専門員試験の受験資格が今のように厳格化されたのは、2018年のことです。
第21回目の試験から、「(法定資格保有者ではない)介護等の業務従事者」が受験資格から外され、受験資格は実務経験が5年以上の法定国家資格所有者や相談援助業務従事者のみとなり、厳格化されました。

受験資格を厳格化した理由は、ケアマネジャーの質を高めるためであると言われています。
せっかく専門性を高めるために厳格化した受験資格を、成り手がいなくなるという理由で緩和しようとするわけです。
受験資格の緩和を推奨する方々は、ケアマネジャーの専門性をいったい何だと思っているのでしょう。

その程度の専門性しか求められない専門職なのであれば、ケアマネジャーという専門職の必要性に対し疑問を抱いてしまいます。
だったら、別にケアマネジャーがケアマネジメントをしなくてもいいのではないでしょうか。

「ケアマネジャーの受験資格緩和」と安易に発言
する方々に対しては、残念ながらケアマネジャーに対する無理解や侮辱を感じてしまいます。

本当に大切なものは、失ってはじめて気付くものです。手遅れにならないよう、もっとしっかりケアマネジャーへ投資する必要があるのではないでしょうか。

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