iPad買うならやっぱり13インチだし、M4 iPad Pro セルラーモデルでしょ
2022年4月からちょうど2年間お世話になった12.9インチのM1 iPad Proのセルラーモデルを更新し、13インチ M4 iPad Pro セルラーモデル・Apple Pencil Pro・新型Magic Keyboardを購入しました。
折からの円安でめちゃくちゃ高くなってしまっているApple製品ですが、お値段ほぼ据え置きのモデルも用意された中でなぜこんなにも高いiPad Proを購入したのか。理由と感想を書き残しておこうと思います。
私がiPadを買い続けているワケ
私は2012年の第2世代機からiPadを買い続けてきました。その理由は、会社のPCではできない(使用が禁止されている)、
プライベートの勉強
副業(アプリ関連業界団体業務/書籍等執筆)
に使うためのデジタルデバイスが必要だったからです。
この間、MacBook Proをメイン端末に、iPadは小さめの11インチ(旧世代の9.7/10.5インチ)をサブ端末として使っていた時期もありました。
しかし、13インチiPad Pro を初めて購入した2019年以降、中でも直近2年間に絞って振り返ってみると、プライベート用MacBook Proを立ち上げることはほぼなく(数ヶ月に1回程度)、iPad Proしか使わなかったと言っても過言ではありません。
本業や家事から解放されている隙間時間にこなす副業やプライベートの勉強シーンでは、家の外でも中でもサッと持ち運べて、すぐにインターネットに接続でき、立ったままでも作業が開始・終了できる機動性が重要です。さらに、
思いついた時に、留めておきたいキーワードをサッとメモする
アイデア出しのために、ラフな絵を作図しながら考える
原稿ゲラ等のPDF書類に、修正指示やコメントをわかりやすく書き込む
といった場面では、机・イス・キーボードにとらわれず、画面に直接・直感的に手書き(ペンシル)で自由に書き込み・描画できることは、PCにはない大きなアドバンテージがあります。
こうして日々の自分を支えてくれているマシンだけに、2年経った劣化に伴うストレスはできるだけ抑えたいですし、何より、iPad以外にこれらのニーズを満たす端末に出会えてません。
なぜ11インチではなく、13インチを買ったのか
大多数のiPadユーザーが支持する11インチではなく、13インチを買うのはなぜか?
それは、「手帳」としてのiPadではなく、「ノート」としてのiPadが必要だと気づいたから。この点については、2019年に初めて12.9インチiPad Proを購入した際にも書きました。
この点に関し、2024年のiPadには大きな変化が起きました。廉価版のiPad Airに、これまでなかった13インチサイズが追加されたのです。
これを見て、一瞬だけ「Proよりも10万円以上安く買えるし、Airの13インチでもいいかな…」と考えましたが、後述する理由でその妥協はNGと判断しました。
なぜAirの13インチではなく、Proの13インチなのか
①13インチには、120Mhzのリフレッシュレートが必要
リフレッシュレートとは、画面の表示更新頻度(速度)のことです。一般的には「動画をスムーズに・ぬるぬると動かす」ための機能と言われますが、iPadにおいては、ペンを使った筆記・描画の性能にも大きく影響します。
「Pro」を名乗り出し、初代Apple Pencil対応した最初のiPad Proは2017年発売の9.7インチサイズでしたが、この頃からずっとProモデルは120MHzのリフレッシュレートをしっかりと堅持しています。一方、無印iPad・Air・miniのシリーズは60Mhzのままです。
iPad mini 6ぐらいの小さな画面なら気にならなくても、13インチの広いキャンバスに自由に文字や絵をかきなぐろうとすると、Airの60Mhzのリフレッシュレートはストレス源です。一回ゞは小さなストレスでも、文字を書くたびに積み重なっていくとなると、どうしても見過ごせません。
インフルエンサーのiPad Airレビューを見ていると、「スロー再生して見比べても大差はない」などと評価されていますが、実のところ、数時間アプリを起動していると書き心地が段々ぎこちなくなっていくことは、ヘビーユーザーでないと気づきません。大画面においても常時ペンの書き味をスムーズに保つためには、120MHzのリフレッシュレートが必要です。
②13インチだからこそ、軽さを追求したい
2021モデルのM1 iPad Pro唯一の不満が「重さ」でした。2018モデルから2021モデルに買い替えた当時の私のnoteには、こんな怨嗟が記してあります。
ところが今回の2024年モデルは、2018年モデルの重さをも下回る約580gへと大幅スリム化しました。100gの差はどんな人でもはっきりと体感できる軽さです。この唯一の不満点が解消され、もはや文句のつけようがなくなりました。
新しいAir 13インチは618gと、あと一歩で残念なところです。
③ iPadはTouch IDよりFace IDが正義
2021年に「デジタル手帳」として割り切って購入したiPad mini 6も、それはそれで気にいっています。
ところが、これをしばらく使い込んだ結果、一つだけ残念な部分に気付かされました。iPadのようなタブレットには、Touch IDは合わないということを。
iPhoneのような小さな端末であれば、ポケットから取り出す動作の過程で指紋認証というフローも自然な動きです。一方、iPadのようなそれなりのサイズの端末を鞄から取り出したあと、側面(画面上部)にある電源ボタンを指の腹で触るという動作は、日常生活における身体的な動きにはなく、想像以上に不自然なものです。Magic Keyboardに取り付けて利用する際の認証ストレスは、これ以上に高くなります。
そして、誰もがマスクをしていた時代も終わりました。
2018年にiPadで導入された当初は不満も感じていたFace IDでしたが、今回カメラの位置が変わったことも大きな改善につながっており、いまや、Touch IDに束縛されるAirではなく、Face IDを搭載したProに軍配が上がります。
なぜWiFiモデルではなく、セルラーモデルなのか
セルラーモデルを選ぶと、WiFiモデルと比較して3万円UPになります。これは決して小さな金額差ではありません。
しかし、いちいちiPhoneや公衆WiFiに繋いでインターネットするなら、MacBookと変わらなくなってしまいます。
iPad用にiPhoneとは違う通信キャリアと契約しておけば、回線がダウンしている時にバックアップの役目も果たしてくれます。実際にこの恩恵を感じることは、この1年で少なくとも5〜6回はありました。
OLEDで輝度のムラがなくなった
さて、これまで利用していた旧世代のM1 iPad ProにはXDRディスプレイ(ミニLED)が搭載されており、これがタブレット界最高の高画質と言われていました。
一方で、バックライトを必要とする構造上、画面のエッジ(端)に発生する明るさのムラは、購入直後の私でもすぐ気づくほど気になるポイントでした。
このエッジの輝度ムラが、今回のOLED(有機ELディスプレイ)化によって完全に解消されました。バックライトがないことによって黒がどこまでも黒として表現できていることも、すぐ体感できます。
Magic Keyboardはキーボードとしてではなく、「充電スタンド」として必要
iPad Proを買おうとするとやけに高くつく、その原因の最たるものが、高額な専用キーボード「Magic Keyboard」の存在です。13インチ版はこれだけでプラス6万円となり、価格に関してはユーザの不満の声が最も集まっている周辺機器といえます。
しかし、誠に残念ながら、Magic KeyboardはiPad Proユーザーにとっての必須アイテムと断言せざるを得ません。その理由は、「キーボードが打ちやすいから」以上に、Magic Keyboardが母艦となることで「毎日の充電作業が楽になるから」です。
充電フローに関しては、以前からiPadにもMag Safeを望む声が根強くありますが、残念ながら、Appleは今後もiPadに関してはMag Safe対応はしないと思います。
今回、新しいMagic Keyboardのラインナップが拡充されたことからも、そのことを確信しています。これを買わない限り、毎日USB-Cケーブルを抜き差しすることになるでしょう(端子だけマグネットで着脱できるUSB-Cケーブルを買うという代替手段もあるにはありますが)。
実のところ、装着するだけで給電ができ、着脱もマグネットで手間なく便利なMagic Keyboardは、キーボードという機能以上に、充電スタンド(クレードル)なのです。「家に帰ってiPadをサッと充電したい?なら高級なMagic Keyboardがあるじゃろ?」ここにAppleのアコギな体質が現れていると言って良いでしょう。
ただし持ち運びには向かない重さ(キーボードだけで640g)なので、私は少し厚手なサードパーティ製レザースリーブを使います。第2世代までは純正レザースリーブも販売されてたんですけどね。
Apple Pencil Proによる機能向上の恩恵は想像以上に大きい
①新機能「スクイーズ」でのペン先・消しゴム切り替えは正義
さて、毎度iPadが新しくなって買い替えても、家族や知人友人から「で、具体的に何が便利になったの?」と聞かれると、回答に窮するときがあります。
でも、今回ははっきりと言えます。デジタルペン(スタイラス)が使いやすくなったよ、と。
中でも、新しいApple Pencil Proに実装された「スクイーズ」機能は、期待を上回るものでした。これまで、エンピツから消しゴムや蛍光マーカーに持ち変える(デジタルペンの先を変える)際、その度に画面の隅っこに表示されるツールボックスまでペン先を運ばなければならなかったのが、その場合で「ペンを強く握る・つまむ」だけで、手間なく入れ替えることができるようになりました。
聞いた話によると、Appleではない他社が持っていた特許の権利存続期間(有効期間)が切れたために、ようやく実現できるようになったそうですね。
②触覚フィードバックが生む安心
加えて、ペンに小さなモーターが仕込まれたことで、微妙な振動を利用した触覚フィードバックが返ってくるようになりました。
エンピツで文字を書き足すつもりが、消しゴムツールが選択されていて画面上の文字を消してしまった、というような、ペンを使って画面に対して行おうとしているアクションが意図しないものになってしまう事故を防げます。
③画面にペン先・消しゴムの影が3Dレンダリングされる!
さらにさらに、これはやりすぎでしょ!と思わず驚いたのが、今選んでいるペンツールが何であるかにビジュアルでも気づけるように、画面上にうっすら「影」が表示されるようになった点です。
消しゴムツールを選択している時には消しゴムの影が、万年筆なら万年筆のペン先の影が表示され、ペンを回すと影も3Dレンダリングのように回ります。作り込みがすごいし、選択しているツールがビジュアルにわかる点で極めて実用的です。
これらの3つの新機能要素は、これまでスタイラスに否定的でキーボードによる入力を捨てられなかった人をも改宗させる力を秘めているのではないでしょうか。
「本体を薄くするなら、バッテリーを増やして使用可能時間を優先すべき」は間違い
先行レビュアーの中でも、特にギーク(オタク)系のレビュアーが13インチ M4 iPad Proに対して述べている批判に、「5.1mmにする必要があったのか?」「薄くできるなら、その分バッテリーを増やすべきだったのでは?」というものがあります。
しかしこれは大きな見当違いです。
確かに、Appleは5.1mm・史上最薄をマーケティングワードとして打ち出していますし、実際に13インチの薄っぺらいiPad Proを目の前にすると、誰もがワオ!と驚きます。
しかし、iPad Proの設計者たちは、「薄くする」ことを目標としていたのではなく、「軽くする」ことを目標に、ミニLEDをやめて有機ELに変更し(同時にタンデム構造による有機ELの省電力化や長寿命化も実現し)、M4チップによる省電力化によって搭載バッテリー容量を減らし、その副産物として薄くなっただけだと私は思っています。
もし、ギーク達がいうように6mmの厚さを維持し、余った隙間を埋めるだけのバッテリー容量を積み増していたら、先代の700gを超えていたかもしれません。そんな重い鉄の板を持ち歩きたいと思う人は少ないはずです。
搭載バッテリー容量が少なくて済んだということは、同じワット数でフル充電に達するまでの時間が短くなるということも、メリットの一つのはずです。
もはやパッと見はMacBook、でもMacOSはきっと来ない
ところで、「iPad ProにM4を積んだのは、6月のWWDCでMacOSへの対応を発表する布石に違いない」と嘯く人たちがいます。アルミニウムに輝くMagic Keyboardを装着したiPad ProがMacBook Airに見間違えられる様子を見ても、その噂を信じたくもなります。
しかし、そんな未来はきっと来ません。これまでデスクトップ・ノートブックマシンを動かすために磨き上げられてきたMac OSが、ここまでの独自の進化を遂げてしまったタブレット端末であるiPad・Apple Pencilをサポートするはずがないからです。
万が一Mac OSがバーチャルに動いたとしても、Apple Pencilが使えない状態のタブレットなど、もはやiPad Proとは呼ぶべきではありませんし、Appleも、その状態で「iPadがMacOSに対応した」とは、口が裂けても言わないでしょう。
少し残念な気もしますが、iPadのOSには、iPadのOSらしい進化を追求してもらえればと思っています。
サポートをご検討くださるなんて、神様のような方ですね…。