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社員4人のデザインスタートアップが、オフィスリノベーションに1,000万円かけて目指すこと

こんにちは。井澤卓です。
仲間達と& Supplyというデザイン会社を経営しており、LOBBYという飲食店も運営しています。

最近、LOBBYの2Fにある僕らの事務所をリノベーションし、アトリエ(オフィス)兼コミュニティスペース ”STAFF ONLY”をオープンしました。

解体、再施工の総工費は約900万円、家具や設備費用を加えると総額1,000万円もかかってしまう一大プロジェクトに。

& Supplyは社員4名の小さな会社。まだまだ実績が乏しく、必死に走り回って案件をこなし、なんとか会社を運営している段階です。

そんな僕らにしては、普通はやらない、常識はずれな額を投資してしまいました。笑

リモートワークが叫ばれオフィスの価値自体が再考される中で、資本が少ないスタートアップ、それも身一つで働けるデザインの会社が、オフィスに投じる意味はあるのか。

STAFF ONLYの紹介とともに書いてみたいと思います。

ちょっと長いので、興味があるところだけ読んでくれたら嬉しいです!

STAFF ONLY:アトリエ兼コミュニティスペース

STAFF ONLYは、僕らが経営するストリートバーLOBBYの2Fにあります。
僕らはこの場所を、「アトリエ兼コミュニティスペース」として定義しています。

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通常はスタッフが仕事をしているアトリエでありながら、仲間内で集まって遊んだり、小規模なイベントが開催できるように設備を整えました。

STAFF ONLYという名の通り、楽屋のようなイメージで、僕らと繋がりのある仲間達が集い、面白い何かが生まれる場所にしたいと思っています。

今後この空間を活用し、シークレットレストラン・バーや、パートナーや取引先を招待したイベントを開催し、事務所の空間を拡張していく予定です。


写真で見るSTAFF ONLY

全体設計は、LOBBYと同じくメンバーの土堤内が担当。職人さん達に基本施工をお願いしながら、塗装や壁の設置などは自分達で行いました。
1FのLOBBYとは繋がりを維持しながらも、ガラッと雰囲気を変え、目的が分かれるようにデザインしています。

図面はこちら。
54㎡の空間が、執務エリア、ソファエリア、バーカウンター、キッチンで構成されており、多目的に利用できます。

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僕らが空間を作る時、まず最初にキーカラーを決めています。
キーカラーに基づいて、装飾や家具、置物、植物、ロゴなどのグラフィックデザインを考えていきます。
LOBBYのキーカラー「グリーン」に対し、今回STAFF ONLYのキーカラーは「イエロー」に設定しました。

こちらがLOBBYから階段を上がった入り口部分。ドアはブラックに塗り、イエローの壁のファンタジー感をシックに落ち着かせています。

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メインはアトリエ・事務所となるため、扉を開くとまずは執務エリアが。僕らはいつもこのデスクで仕事しています。

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チェアは長野県塩尻市にあるかねみつ漆器店というメーカーのもの。

伝統的な漆塗りの家具が、ラフな空間を上品にアップデートしてくれています。ここでもブラックをアクセントに。

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STAFF ONLYは店舗としての営業はしませんが、本格的なバーカウンターも作りました。テーブルは、LOBBYと同じくテラゾーという人造大理石の仕様。LOBBYがブラックベースのテラゾーのため、STAFF ONLYはホワイトベースに対比させ、1Fと2Fの繋がりを作っています。

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カウンターはオーク材と麻で。
籐(とう)を使ったチェアと相まり、天然素材の組み合わせが生み出す温もりが心地良い。

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バーカウンター裏の棚は土堤内のDIY。

1月にみんなで行ったシドニーのメキシカンバーから着想しました。
敢えて不自然な段差を作り、アルコールボトルの高さを際立たせる仕組みに。こちらも営業優先ではないため効率を重要視せず、ボトルの形やデザインに視点が向く作りにしています。

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L字に2つのソファが設置されたソファエリア。
カウンターエリアから2段低くなっており、段差にも腰掛けられます。大人数でテーブルを囲める仕様に。

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LOBBYと同じく、段差の多い作り。

同じ空間の中でも、座る場所により目線が変わることで、気持ちも切り替えられる設計にしています。

3人掛けの大きなソファはTRUCK FURNITURE、2人掛けソファはカリモクで、僕が元々所有していたもの。
ローテーブルは、オーストラリアの家具屋JARDANで購入したテーブルを待っているところなので、一時的に天板を塗り分けたDIYテーブルを設置しています。

LOBBYはストリートバーというコンセプトのため、ハイチェアやベンチ席メインの作りですが、STAFF ONLYはソファに加えてバーカウンターのチェアもローチェアのみで構成。

全体的にゆったり過ごせる空間にし、LOBBYで疲れた仲間達が上がってゆっくり飲めるVIPルームのような使い方も想定しています。

壁に掛けたアートワークは僕が大好きなメルボルンのアーティスト、Stephen Bakerによるもの。

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彼の作風が好きすぎて、1月にメルボルンに行った時に連絡してみると、なんと直接会ってくれることに!
意気投合し、バーをハシゴした後アトリエに連れて行ってくれて、この作品をプレゼントしてくれました。

Stephenの展示を4月にLOBBYで開催する予定です。めちゃくちゃ楽しみ。
正式に準備できたら告知するので、ぜひ見に来て下さい!

全て公開!リノベーションにかかった金額

LOBBYのイニシャルコストに続いて、今回もSTAFF ONLYを作るためにかかったコストを全て公開しちゃいます。

結果的に総工費+家具で約970万円!

いやー、いっちゃいましたね。笑
フローリングはLOBBYを作った時に余っていた無垢材を使ったんですが、もしこれも新たに買っていたとなると、ちょうど1,000万円くらいかかってるはず。

以下詳細です。
(記載は税込み価格)

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当初の予定では予算500万円でしたが、またまた理想を追求すると難しく...。

元々の空間を全て解体し、スケルトンからフルリノベーションしたので、かなり金額がかさんでしまいました。

金額がかかったのが自慢のカウンター。総額94万円です。
テラゾーは左官、研磨が必要なので、ここに74万円。
更にカウンター下部分の作り込みで20万円と、見た目のインパクトに比例してコストが掛かっています。

カウンターを空間の顔となるアイコニックなスペースにしたかったので、納得の投資ではあります。これからの使い方で、この投資を回収していかなければ。

※設計・デザインは自社で行っておりますが、施工管理は外部の企業へお願いしています。

STAFF ONLYで目指すこと

ということで、述べ1,000万円も掛けてしまったオフィスリノベーション。
会社の資金のほとんどを使ってしまいました。

ただ、もちろんこの投資は僕らの今後の事業展開・戦略において、大きな意味を持つと考えています。

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STAFF ONLYを作った目的は、「人との繋がりを作ること・繋がりの密度を加速的に濃くすること」です。

デザイン会社の僕らが、LOBBYというバーを開いたのは、空間プロデュースチームとして名乗りを上げるべく、自ら実績を作るため。

ただ、結局仕事は人と人の繋がりの中で発生する。
特に僕らのように、飲食もデザインも空間プロデュースも、事業として取り組む領域を誰一人本業として経験してこなかった立場では、色々な業界に根ざす人々と会い、自分達を知って貰う必要があります。

その中で、STAFF ONLYを作ろうと想起したきっかけは2つ。LOBBYの運営を通して生まれました。

1つ目は、LOBBYで人との繋がりが出来ても、営業中は会話が限定的になってしまい、親交を深めづらいこと。

LOBBYにはクリエイティブ関連のお客様が多く、共通の話題を通して知り合いになることが多々あります。

ただ、あくまで僕らは営業中なので、深い話が出来なくて、せっかく知り合ったのに、繋がりが断片的になってしまう。

親交を深めるために個別で食事や飲みに行くのは時間がかかるので、知り合った人達を集めて一緒に話をして、繋がりを深める機会が作れないかと考えていました。

2つ目に、LOBBYは飲食店として高い完成度を目指しているため、実験的な取り組みを行いづらいこと。

LOBBY開店当初は1日スナックや1日バーのようなイベントで色々な人に場所を使ってもらい、空間用途を拡張する構想を持っていました。

ただ、カクテルに力を入れる方向性に決めると、お店のイメージを簡単には崩せなくなり、誰でもバーに立てるという仕組みが成立しない。

そこで、お店というオフィシャルでパブリックな場所でなく、自分達や周りの仲間達が実験ができる場所が欲しいと思いました。

自分達の仲間が場所を使ってくれたら、彼らの仲間達と僕らも知り合って一緒に遊ぶことが出来て、空間を貸し出す意味が生まれます。

そんな経緯で作ることを決めたSTAFF ONLYは、UnofficialとSemi-closedという、2つのコンセプトを掲げています。

STAFF ONLYの2つのコンセプト

①Unofficial:オフィシャルに世に出す前の実験的な取り組みを行う場

LOBBYで出すメニューの試作を行ったり、ポップアップレストランやバーなど、本業としてはまだ踏み込めてない人や、やりたいこと、アイデアがある人へ実現する機会を与える場。

1日スナックをやってみたかったり、料理やお酒を作っている様な仲間がカジュアルに使える場所として提供したいと思っています。

このアイデアは、目黒のガストロノミーKabiの2Fを参考に。
1Fはファインダイニングのスタイルを維持しながら、2Fでカフェやコラボイベント等実験的な取り組みを行っていて、自分達の可能性を限定しない余地を残しています。

こういう場所がもっとあったら良いなと思ってました。



②Semi-closed居住空間である家ほどクローズドではなく、誰もが入れるほどオープンではないスペース

自分達が共感する仲間達や、親交を深めたい人々だけを招待する特別な空間。
「自分達が働いてサービスを提供する」通常の飲食店としてではなく、自分達も参加して一緒に楽しむ宅飲みスタイルで運営し、繋がりを一気に濃くしたり、参加者同士を繋げる場所にしたいと考えています。

長年シェアハウスをしていた経験から、宅飲みが人を繋げる最も有効な手段だと思っているのですが、家はパーソナルな空間過ぎて、カジュアルに人を招きづらい。
そこで、家じゃないけど、家のようなクローズドな空間が作れないかと考え、職場であるアトリエだったら成り立つだろうと着想しました。

アトリエであれば、取引先やパートナーも、大先輩達も招いて一緒に時間を過ごせるはず。
そんな風にフラットに使える場所になれば最高です。

人と人が交わる場所をもっと作っていきたい

いろいろ書いてしまったけど、シンプルに言うと、「色んな人と一緒に遊んでもっと仲良くなりたい」と作ったのがSTAFF ONLYです。

それで仲良くなって、ゆくゆくは皆と一緒に仕事出来たら最高だなーと思ってます。

仕事って、信頼できる仲間とやってたら何でも楽しいじゃないですか。
僕らは全ての遊びを仕事に、そして仕事を遊びにしたいと思っているので、それをこの場所で自ら作っていきたい。

現在は、STAFF MEAL(賄い)というイベント名で企業を招待したオフィスランチを開催したり、COOの歩(アユム)が2週間に一度朝食イベントを行ったりしています。

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STAFF MEAL初回はクリエイティブエージェンシーのmonopoチームが参加。第二回はご近所ALL YOURSチームが来てくれます。
(遊びに来てくれるチーム募集中です!)


まさにオフィスの価値自体が再考されている昨今ですが、それでもやっぱり、人が集まりコミュニケーションを行う場所は必要だと信じています。

そういう意味では、STAFF ONLYを、「オフィスだから作れる新しい価値」を提示できる場所にして行きたいですね。

色々なことを企画している段階ですので、この場所で何かやりたいという方は是非お声がけ下さい!

STAFF ONLYのアカウントも作りました。
ここに集まる人の模様をポストしていこうと思ってます。

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長い文章読んで頂きありがとうございました。

僕らはデザインチームとして、オフィスや店舗の空間デザイン、家具や植物などの装飾選定等も行っておりますので、興味があれば是非是非お声がけ下さい!

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