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ほうれん草・豆カレー;料理の記録

 近所のインドカレー屋(SPICE HOUSE)が本当に美味しい。たまに食べに行くし、店長さんとはすっかりお友達だ。最近その店でサーグSaagダールDalというほうれん草・豆カレーを食べたところ、これが非常に美味しかった。ここで、サーグは青菜を、ダールは挽き割った豆を表す(日本のインドカレー屋の文脈では、ほぼ間違いなくサーグはほうれん草で、割られていなくても豆ならサーグと呼ぶような気もする)。
 店長さんに聞いてみたところ、3種類の豆を使っているようで、さらに豆の種類も教えてくれた。秘密もあるだろうから全部は書かないが、ひよこ豆は使われていた。

○○ DAL
□□ DAL
CHANA DAL (HIYOKO MAME)

と紙に書いて渡してくれたのが非常に可愛かった。

うちでもこれが作りたい!!

使ってないものもあるし、ここにないものも使ってるけど、だいたいこれだけ。

そういえばTwitter(Xってなんすか)で
「付き合ってはいけない3C」
・カメラマン
・クリエイター
・カレーをスパイスから作る男
とか言われてて泣ける。全インド人男性を敵に回したと言っても過言ではないぞ。

材料と下準備

材料一覧

  • ひよこ豆1パック

  • 小豆40 g

  • モロッコインゲン5本

  • 百合根ゆりね1玉

  • 玉ねぎ1〜2玉

  • 生姜3 cm程度

  • にんにく5片

  • 鷹の爪5本

  • ほうれん草1〜2袋;ペースト状にするならミキサー必須

  • トマト缶半分(200 g);カットタイプが楽でいい

  • クミンシード10〜20粒程度(入れすぎ注意)

  • サラダ油大さじ6程度(オリーブオイルなど異色な香りのある油での代用は不可)

  • 適当

  • 砂糖適当

  • その他計量してないスパイスたち(ガラムマサラ、パプリカパウダー、チリペッパーパウダー、コリアンダー、ターメリック(入れすぎ真っ黄っ黄注意)フェンネルシードパウダー(癖強い入れすぎ注意)、カルダモンパウダー);パプリカやチリペッパーの香りは超大事。コリアンダーは割とたくさん入れる。

  • 豚肉(ブロック)300 g

  • 白胡椒;肉の味付け用

  • プレーンヨーグルト50 g程度

  • バター2×2×3 cm³程度(ギーが欲しいけど高いね)

豆と百合根ゆりねの下処理

 豆はひよこ豆、モロッコインゲン、小豆を使うことにした。にんにくを買うために入った店で偶然モロッコインゲンが安かったから採用。そこで偶然百合根ゆりねを見つけたからそれも買った(写真右のにんにくのような物体)。百合根って生だとりんごみたいな香りと食感なんだね……。火を通すとシャキシャキからホクホクに、甘くしたメークインのようになる。
 《偶然》、家庭料理はこれが楽しいんだ。そのとき店にあるもの、安いもの、家にあるものを使って、与えられた手札から即興で面白いことをする。上手くコンボが決まると気持ちいいし、新たな発見もある。カレーに小豆を入れてはいけないルールなんてないのさ。

 ひよこ豆はそのまま使えるパックを使ったから下処理要らず。本当はターメリックで茹でたりするらしい。モロッコインゲンは3つまみ程度の塩で2, 3分茹でて、適当に小さく切るだけ。小豆は多めの湯で軽く茹でて20分程度放置、水を換えて40分程度煮る。「砂糖なし 小豆」とかで出てきたやつをそのまんま実行した。百合根は鱗片ごとに分けておがくずを綺麗に洗ったら適当なサイズに切るだけ。

ほうれん草の下処理

 ほうれん草も3つまみ程度の塩で30秒〜2分程度茹でるだけ。色落ちを防ぐため、できるだけ初めに茎の部分を茹でて、後から葉を茹でるようにする。重曹なしでも十分緑が保てたので使わなくてもいいかも。取り出したら、余熱を消すために水で冷やし、適当な長さにカットしてミキサーにポイ。空回りしないために同量程度の水を入れてミキサーにかける。今回はひよこ豆を1/4程度取って一緒にミキサーにかけた。

うーん、書いていて小学生の頃にひよこミキサーなるものが流行っていたのを思い出した。良くない、良くないよ。

肉の下処理

 今回は豚肉ブロックに塩とターメリックとパプリカパウダーと白胡椒を揉み込んだだけ。もちろん鶏肉やマトンを使えばさらにそれっぽくなるだろうし、チキンティッカみたく、さらに他のスパイスやおろしにんにく、おろし生姜、ヨーグルトを加えて揉み込んでも美味しいと思う。

洗い物増やしたくないマンなのでトレーの上でやっちゃう。ヨーグルトに漬け込みたい人はビニール袋でやるといい。

その他準備

 玉ねぎは粗みじん、にんにくと生姜はみじん切りにする。特にカレーに滑らかさを追求したい場合以外はすりおろさなくてもいいと思う。

本調理開始!

ベースを作るぜ!

 鍋に油とクミンシードを入れて加熱。基本的にホールスパイス(=粉でないもの)はこのタイミングで入れていいはず。ジュワパチしてきたらにんにくと生姜、鷹の爪を入れてもう少しだけ加熱。玉ねぎと塩を入れてしんなりするまで炒める。このとき飴色になるまで炒める必要はない。西洋式の煮込みカレーではなく、炒め煮を基本としたカレーを目指しているので、甘い!玉ねぎのコク!みたいなのは特別必要としない。味としてそれを出したいならそうしてもいいと思うけど。

トマト缶を入れる。焦げないように混ぜながら、水分を飛ばすつもりで煮詰めていく。加熱でクエン酸がアコニット酸になるだならないだの論争があるが、この条件下でトマトの酸味が加熱で丸くなるのは間違いない。もしかしたら油との兼ね合いもあるのかな。トマト缶は特にクエン酸が添加されているので、味見しながら酸味が丸くなるまで加熱。かなりしっかり赤くなるはず。

パウダースパイスを加えるぜ!

 割と入れるタイミングは自由な気もするけど、焦げるのが怖いのと、パウダーだからすぐに味出るでしょということで、このタイミングでパウダースパイスを入れた。あと砂糖とバターも。

コリアンダー、パプリカ、チリペッパー、ターメリック、ガラムマサラ、カルダモン、フェンネル、砂糖を入れる錬金術の時間

 火を止めて少し冷ましてからヨーグルトを加える。凝固しないためにそうしたほうがいい気がする(一敗)。よく混ぜ合わせたらベースは完成!

豆と肉をぶち込んで煮込むぜ!

 鍋の底を少し空けて、そこで肉の表面を軽く焼きつけると、肉につけたスパイスがよく肉になじむ……気がする。少し焼いたら、ひよこ豆と小豆、あと百合根を投入して肉がいい感じになるまで煮込む。(本当はこの段階でモロッコインゲンも入れていいんだろけど入れ忘れてた)。粘りが出て焦げやすくなってるはずだから、焦がさないようにかき混ぜながら。
 あと、この後ほうれん草ペーストを入れることも考えて濃いめに塩味を調整する。ベースとペーストの量の比からなんとなくで。

ほうれん草ペーストを入れるぜ!

 入れる。入れ忘れてたモロッコインゲンもここで入れた。まぜまぜ。

ガキのドリンクバーみたいな色にならないか内心不安だった
思ったよりしっかり緑じゃん!よかった〜

味見をして塩分の最終調整を行う。感覚が麻痺しがちだけど、主食と一緒に食べる関係上、塩味は濃いぐらいが美味しい。整ったら食べるときに嬉しい温度まで温めなおす。

完成!

完成!

実食!

うーん、美味しい〜!

 例のインドカレー屋さんが100点だとすれば50点ぐらいはあるんじゃないかな。ほうれん草の優しい味、ひよこ豆の濃厚な旨み……これだよこれ! 百合根も甘いじゃがいものようで不思議で楽しい。旨味の量を上手く増やしてあげれば90点まではいける気がする。
 ひよこ豆で美味しい感じだと、そら豆でも絶対美味しいぞ。
 モロッコインゲンの香りが少し浮いてしまった感じがするから、早めに煮込んで馴染ませるとか、他の青くない豆を使うとか、もう少し工夫はできそう。
 小豆はかなり合う。調べてみると、カレー屋の店長さんから教えてもらった豆のひとつと同じササゲ属の豆で、合うのは必然だった。小豆を「和」から解放することに成功したようでなんだか嬉しい。ひとたび餡子やお汁粉の甘い印象を離れると、こんなにもタンパク質的な食欲をそそる香りで、でもやっぱりそれが小豆の香りであって、「俺……お前のこと分かった気でいたよ。ごめん……」という気持ち。味噌汁の主役が味噌でなく出汁だと知ったときと同じ気持ちだ。

おまけ 推しスパイス「カルダモン」

 前に例のカレー屋さんでラッシーに何が入っているのか聞いた。上品でさっぱりした不思議な香りがあったから気になったんだ。すると「カルダモンが入ってる」と教えてくれた。推しとの出会いの瞬間だった。カルダモンは「スパイスの女王」と言われているらしいが、実に表現が上手いというか、本当に女王らしい気品が感じられる香り。その上品さゆえに、洋風のカレーにも合う。
 誇張なしでシナモンが合う食品なら何にでも合うので、ラッシー、ヨーグルト以外にも、クッキー、アップルパイなどのお菓子に使っても美味しいはず。ぜひ試してほしい!

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