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【復刻版!】サッカー数字コラム+短歌一首「8」青レンジャーとしての背番号8

【復刻の理由】
前に「サッカー数字コラム「8」青レンジャーとしての背番号8」を書いてnote公式で「今日の注目記事」と「スポーツ記事まとめ」に選んで頂いた記事が元になっています。
「♯新しい景色を2022」に応募する際に読み返して、当時のサッカー界や世相と今が変わっていたので、大幅に加筆修正して「復刻版」を記事として投稿することにしました!よろしくお願いします。

サッカーについて、数字から連想した内容のコラム書きます。
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【前座の豆知識】
背番号8は基本的にミッドフィルダーの真ん中、センターハーフのポジションの選手が着けることが多い。
由来として、昔のサッカーはポジションごとに背番号を着ていたから。今のように固定制ではなかった。そして、8番は中盤の真ん中の背番号だったのである。

【コラム】
僕は幼い頃から、主役より名脇役が好きだった。ゴレンジャーだったら、赤レンジャーより青レンジャー。ファミレスなら、ハンバーグセットよりネギトロ丼。中学に入ってもJポップの新曲より古い洋楽が好きだった。

最近では乃木坂46が流行っているけれど、卒業前から白石麻衣と西野七瀬という二大巨頭の推しには何故かならなかった。初めての推しは、グループ外の活動が多く合流できないことが多かったため、人気があるのに比較的センター曲の少ない生田絵梨花。ついでに言えば、SMAPならキムタクより香取くん、嵐なら松潤よりニノ派である。

「明日、なにわ男子になれるよ」と言われたら道枝駿佑くんではなく大橋和也くんになって「プリン食べ過ぎて……」の自己紹介で会場を沸かせたい(いや、ジャニーズになれるなら誰にもなってみたいけど)。どうも不動のセンターを張るアイドルには憧れないみたいだ。

この傾向はサッカーにおいても多分にある。背番号10や9を着けたエースや点取り屋より、青レンジャータイプの選手が好きだ。サッカーで言えば背番号8である。

僕の知る限り、セレッソ大阪と清水桜が丘高校(旧・清水商業)のサッカー部以外では、背番号8はエースナンバーでは無い。でも、サッカーの起源を辿ると背番号8はもともと中盤の真ん中の選手にあてがわれていたため、今でもその傾向が強い。

だから、決して主役タイプの選手は少ないけれどセンスの塊のような名手がたくさん背中に8を背負ってきた。

日本代表のW杯における歴代背番号8を調べると一目瞭然だ。

中田英寿(98W杯)、森島寛晃(02同)、小笠原満男(06)、松井大輔(10)、清武弘嗣(14)、原口元気(18)……。僕は、森島から原口まではすべてリアルタイムで見ている。

98年の中田英以外は単独エースでは無い。でも、揃いも揃ってセンスのある選手揃いだ。全員、8番をつけて出場した際には活躍、もしくはそれなり以上に爪痕を残している。何なら10番やエースを超えるくらい活躍しているのだ。

あとは皆、良い意味で渋いセンスの持ち主だ。粗削りだった頃のヒデ、チュニジア戦で鮮やかなゴラッソを決めたモリシ。黄金のカルテットの牙城を崩して出場し、好パスを出したミツオ。攻守に奮闘しながらカメルーン戦のアシストやトリッキーな切り返しで魅せた大ちゃん、本大会では出番が少なかったもののザックジャパンでセンスあふれるパスとドリブルで魅せたキヨ。そして、もの凄い運動量とベルギー相手の先制点が強烈だった元気。

全員、玄人というかサッカーにうるさいファンが喜ぶプレーを見せている。しかも、ただ黒子になるだけでなく、サッカー番組で注目される名シーンをたくさん作った選手だ。

そもそも、セレッソと旧・清水商業の8番も、従来のエース像より特徴的だ。

セレッソの森島寛晃、香川真司、清武弘嗣、柿谷曜一朗、乾貴士。

清水商業の風間八宏、山田隆裕、小野伸二ら。

皆、ボールコントロールに優れ、センスの塊。主役にも脇役にもなれる。

小野や香川はテレビでしかと観てきているが、伝説が一人歩きしてる感がある風間氏も、YouTubeで観た映像に驚かされた。過去の勇姿を片っ端から観たところ、足の裏を使ったフェイントなど凄かった。

風間氏は、サンフレッチェ広島のJリーグ開幕戦もフルで観たことがある。風間氏は日本人初ゴールとなるボレーシュート以上に、ボールごと刈り取るような綺麗なスライディングと守備センスが印象的だった。指導者としても、中村憲剛と大久保嘉人を豹変させたし、思考力と感性は常人離れしている印象だ。「エース」と「8番」をつなぎ止めたのはやはりセンスである。

でも、そんな自分の好みにすぐには気づかなかった。僕がはっきりと背番号8好きを自覚したのは、中学生の頃だ。ACCSのJ SPORTSで観た欧州サッカーである。

その当時、イングランド・プレミアリーグがどんどん強豪化していて、特にチェルシーが台頭していた。

チェルシーのサッカーに惹きつけられた僕は、その中で2人の選手を好きになった。背番号15のドログバと、背番号8のランパード。

サッカー選手には「速い」「強い」「巧い」の3つの能力がある。英語なら「スピード」「パワー」「テクニック」と言い換えられるだろう。

僕はとりわけ「強い」と「巧い」を兼ね備えた選手、特にMFが好きだ。そんな僕にとってランパードの強靭さと確かな技術は瞬く間にツボに入ってしまった。

そして、中学2年の頃見た2006年ドイツワールドカップ。ランパードも応援したけれど、優勝候補の筆頭だったブラジル代表はさらにワクワクして観た。

その中で1番好きだったのは、10番のロナウジーニョでも、9番の「怪物」ロナウドでもなかった。強くて巧い(しかも速い)ながら、先輩方を上手に活かす、ブラジルの貴公子・カカだ。彼の背中にも背番号8があった。やはり8番にはロマンがある。そう思った時には僕はもう8番の沼にハマっていた。

その後、スペイン代表の司令塔・シャビを好きになり、バルセロナのイニエスタに夢中になった。スペイン代表では、シャビ=8番、イニエスタ=6番でバルセロナではその逆である。この2人のセンス溢れるボール捌きは、メッシを引き立てる素晴らしいMFだった。

10番が似合うジダンやロナウジーニョやメッシ、背番号7のカリスマであるクリスティアーノ・ロナウドが「主演男優」なら、シャビやイニエスタは「名助演俳優」と言えるだろう。そんな輝きが、僕は好きだった。

ただの天才じゃない、献身的で、知性も感じられるそんなセンスの塊。エースのそばで銀色(青色?)に輝く陰の主役。

恥を偲んで告白すると、こんな偉そうにサッカーのコラムを書いているのに極度の金欠から値上げに根を上げて、DAZNを辞めていた。
一時期、久しぶりにDAZNの無料体験のトライアルが可能になって、試合とやべっちスタジアムを観ていた。今はAbemaでワールドカップの試合観戦や特集映像の視聴をお世話になっている。

正直、好きなプレーヤーがかなり過去の選手で止まっている。知らない選手もここ最近で増えたし、スタジアムにもコロナ禍でなかなか足を運べない。そんな感じで今年の暮れにはワールドカップを迎える。

それでも僕は心配していない。試合が観れる時にスタジアムや画面を見渡して、背番号8を探せば良いのだ。きっと、その選手は僕好みの渋い輝きを放っているに違いない。

今年のカタールワールドカップで日本代表の背番号8を着けるのは堂安律だ。現時点では伊東純也に次ぐ右サイドハーフの2番手だが、登録メンバー数も交代枠も増えた総力戦にスーパーサブは欠かせない。

堂安が、日韓ワールドカップのヒーロー、森島寛晃のように救世主としてゴールを奪えば、ドイツ、スペインを擁する死の組での争いも混戦に持ち込めるかもしれない。

なんて書いていたら、本当に堂安が先ほどゴールを決めた!とても嬉しい!てか、試合前に推敲を終えて記事上げておけば良かった……。

そして、本大会のサポートメンバーであり、パリ五輪代表では8番を背負う松木玖生にはこのワールドカップでたくさんの発見があってほしい。
次回の北米で行われるワールドカップの主役は彼であって欲しい。松木は「質実剛健」という良い8番になる素質を持っている。

と書いていたら、コロナにかかったメンバーがいたらしく松木のカタール行きは中止。残念だけれど、4年後の主役になってくれ!

スペインのコケ、イングランドのヘンダーソン、クロアチアのコバチッチ、ブラジルのフレッジ……名前は知っていても、恥ずかしながらきちんと観たことのない選手ばかりだ。
だからこそ、彼らに注目しながら好きな選手を現代サッカーにバージョンアップしたい。

これから1ヶ月ほど、僕はAbemaを開いて背番号8をチェックするだろう。幼い日の憧れ、青レンジャーを見るみたいに。

どうですか、皆さん。あなたも背番号8に注目してサッカーを観てみませんか?新たな観戦術かも。

最後に短歌を一首。

青々と輝く人の背中には末広がりが刻まれており

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