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宅配便の人に気を使う人と徒然草

昨日のTwitterで話題になっていた4コマ漫画があった。

宅配便の人が配達に来て、ドアを閉めた後すぐには鍵をかけず、去ったのを確認してから鍵をかけるという行動についてだ。

私もドアを閉めてすぐ鍵をかけるのがなんとなく嫌で、少し待ってから鍵をかけることが多いが、Twitter上では賛否両論あるようだ。

否定的な意見としては
・配達の人はそんなこと気にしてない
・不審者が入ってくるかもしれないからすぐ鍵をかけた方がいい
こんな感じの意見が相次いだ。

ひとまずそれらの話は置いておいて、
私はこの話を聞いて、高校の時に読んだ古典の文章を思い出した。
兼好法師の随筆、徒然草の「九月二十日の比に」という章段だ。

どのような話かというと、
兼好法師がある夜、知人と共にその知人の知り合いの女性の邸宅を訪れた。
そこで趣深い時間を過ごし、その優雅さに興味を持った兼好法師が辞去した後に物陰からその女性を観察していると女性は彼らが立ち去った後もしばらく扉を開けて月を見ていた。兼好法師はその様子に感動した。
こんなお話だ。

兼好法師は、女性がすぐに扉を閉めてしまっていたら残念だっただろうとも言っている。
今回のTwitterとよく似た状況だなと感じた。

この女性がすぐに扉を閉めてしまうのが客人に対して失礼だと思って、そのような行動をしたのかは分からない。単に月が綺麗だったから寝る前にもう少し見ておこうと思っただけかもしれない。
ただ、振る舞いとしてはとても優雅だ。また優雅さが自然に身についているからこそ、こうしたちょっとした場面にもその気品が垣間見えるとも言えるだろう。

確かに現代社会で鍵を閉めずにいるというのは迂闊な行動なのかもしれない。配達の人からしてもどうでもいいことなのかもしれない。

ただ、私はそのような心遣いができる人はとても清らかな心を持っているなと感じる。また、そうした人の清らかさは他の場面で他の人を感動させているかもしれない。
どうかその清らかさを忘れずに、他人の意見に流されず自分の生き方を貫いてほしいなと思う。

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