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中学受験で失敗する親子の勘違いあるある〜中学受験は合格がスタートラインと、本当に分かっていますか?

こんにちは。
元大手進学塾トップクラス担当講師で、
現在はニュージーランド在住の受験&国際教育コンサルタントのTakuです。

この記事を読んで、
以前担当した一人の生徒のことを思い出しました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ab87bbdaa4e8185b96ca329fece3fbaf32751c46

彼女はとても頑張り屋で、
努力に努力を重ねて偏差値よりもかなり上の、
第一志望に見事合格しました。

本人はもちろんご両親の喜びもひとしおで、
親子でその未来にたくさんの希望を見出していました。

その姿を目の当たり当たりにして、
私は達成感と安堵感を感じつつも、
一抹の不安をぬぐえずにいました。

そしてその不安は残念ながら、
1年も経たずに現実化してしまったのです。

彼女は学校を退学しました。

なぜこんなことが起こってしまったのか、
今日はその理由に迫りながら、
中学受験のリスクについて考えてみたいと思います。


中学受験はゴールではない

受験塾の多くが目標としているのは、
1人でも多くの生徒を有名な中学に、
合格させるということです。

もともとの偏差値よりもレベルが高い、
難関校に合格する生徒が増えれば増えるほど、
その教室の評判は高まります。

〇〇君は真ん中のクラスだったのに、
偏差値が10以上も高い〇〇中に合格したそうよ。

そんな噂を聞きつけて、
たくさんの保護者の方が塾の受付に、
足を運んできたものです。

こうした保護者の方を見るにつけ、
もう少し「受験リテラシー」を身に付けてほしいと、
当時からよく思っていたものです。

この塾の「合格至上主義」は、
合格させればそれで良いと言うことです。

もちろん塾の仕事は、
生徒を志望校に合格させるサポートをすることであり、
合格させれば終わりで当然です。

問題なのは保護者の方が、
塾と同じ発想で受験を考えていると言う点にあります。

中学受験での合格は、
決してゴールではなくむしろスタートです。

合格した生徒は入学後6年間、
自分と同じかそれ以上の学力を持つ生徒に囲まれて、
長い競争を続けていく必要があります。

その視点をすっかり忘れて、
合格すれば全て解決したと考えるのは、
あまりにも短絡的な発想と言わざるを得ません。

彼女が退学したワケ

冒頭でお話しした生徒の退学劇は、
まさにこの短絡的な発想が一端となっています。

努力に努力を重ねて、
自分のレベルを遥かに超えた志望校に、
見事合格を果たした彼女。

しかし、入学後に彼女を待っていたのは、
想像はるかに超えたレベルと量の課題と、
高い学力を持ったライバルたちでした。

初めて受けた授業の内容がほぼ理解できず、
出された宿題の量とレベルに圧倒され、
初回の中間テストはほぼ最下位。

必死になって努力を重ねて迎えた、
1学期の期末テストでもまた、
成績はほとんど向上しませんでした。

受験中は努力を重ねることで、
何とか埋め合わせることができていましたが、
中学ではそれも通用しません。

周囲の友達は対して努力もせず、
やすやすと高成績をとっていきます。

結局部活もやめて勉強に専念し、
ようやく成績も中の下まで行きましたが、
1年生が終わる頃には既に燃え尽きていました。

さすがに親も子供の姿に見かねて、
この学校を退学することを決め、
地元の公立中学に転校したとのことです。

こんな例は氷山の一角であり、
今この瞬間にもきっとたくさんの私立中で、
同様のことが起こっていることでしょう。

中学受験は親子で学ぶ環境を選べると言う、
メリットがある事は否定しません。

しかしその選択を誤る保護者が、
あまりにも多いような気がしてなりません。

少しでもレベルの高い学校に入れたい。
少しでも有名な学校に入れたい。
少しでも教育環境の良い学校に入れたい。

そういった「外面的な要素」ばかりに目が行き、
肝心の子供目線での選択ができなくなっている方が、
今も昔も大勢いらっしゃいます。

そしてその結果、傷つくのはいつも、
子供自身であると言うことが痛ましいです。

悲劇を避けるためにできること

ではどうやったらこのような悲劇は、
避けることができるのでしょうか。

それはまず何よりも中学受験の目的を、
親子で明確にすると言うことです。

そして、その目的が表面的なものでなく、
真の意味で子供の成長や幸せに通じるような、
本質的なものであるかを確認しましょう。

明確にその学校でやりたいことがあるのか。
その学校でゆとりを持って学んでいけるのか。
公立中学ではどうしても実現できないのか。

こうした問いを親子で考えることで、
本当に中学受験をすべきかどうかが、
見えてくると思います。

私が1番今懸念しているのは、
首都圏を中心に多くの保護者たちが、
中学受験をファーストチョイスにしていると言うことです。

まず中学受験ありきでものを考えると、
本質的な選択が難しくなります。

そもそも中学受験が必須なのかから始め、
必須であれば、何のために行くのかを明確にして、
その上でどの学校にするのか考える。

そうすれば偏差値なんか関係なくなりますし、
塾の言いなりになることもないでしょう。

そして、何よりもこのように選択することで、
子供が不必要な悲劇に巻き込まれる可能性が、
極めて低くなっていくはずです。

まとめ

さて、いかがだったでしょうか。

中学受験と言う選択肢を考える際に、
合格をゴールにすると言う事はあまりにも端的で、
リスクが多すぎる方法です。

大切なお子さんの未来を守るのは、
ほかならぬ親自身です。

中学受験をするのであれば、
なぜ受験をしなければいけないのかを明確にし、
中学校で何をしたいのかを確認しましょう。

また自分の身の丈に合ったレベルなのかも、
必ず考えることが大切です。

合格は単なるスタートであり、
決してゴールなどではありません。

入学後の6年間をしっかり見据えた上で、
親子でしっかり志望校を決めてほしいと思います。

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