見出し画像

「出来る親」の子どもが受験で失敗しやすいワケとは?

こんにちは。
元大手進学塾トップクラス担当講師で、現在はニュージーランド在住の受験&国際教育コンサルタントのTakuです。

高学歴な上に何でもそつなくこなせて、
子供のこともきちんと管理できている。

あんな親に育てられればさぞ、
子供は立派に育つだろうな。

あなたはそんな風に見える「できる親」を、
身近で見た事はありませんか?

端から見るとそんなスーパーペアレントは、
憧れの的になることでしょう。

でも、そんな「できる親」が逆に、
子供の大切なスキルを奪ってしまうことがあるのを、
あなたはご存知でしょうか。

今日は高学歴で何でもできる「できる親」が、
陥りがちな罠についてお話ししてみたいと思います。

よくある2つの「悪いパターン」

私がこれまで接してきた「できる親」が陥っていた、
悪いパターンが以下の2つです。

自分ができすぎて、子供ができないことが理解できない
何でも汲み取って先回りしてしまう

他にももちろんあるのですが、
この2つのパターンに当てはまる方が多かったので、
今日はこの2つに限定してお話しします。

自分ができすぎて、子供が理解できない

学歴で「できる親」にとっては、
子供が基本的なところでつまずくのが、
理解できないことが多いものです。

それは自分自身が学生時代、
何の問題もなく理解できていたことなので、
わからないということ自体が理解できないのです。

どうしてこんなに簡単なことがわからないのか。
単純にやる気がないだけではないのか。
あるいは、練習量が足りないだけだ。

そのようにできない理由を決めつけてしまい、
子供に対してより多くの勉強を強いてしまいがちです。

でも言うまでもないことですが、
親子といえど別の人間なのですから、
同じようにできるはずがありません。

しかし、優秀になればなるほど、
自分にとって簡単にできることが、
子供にできないことがわからないのです。

先生、本当にお恥ずかしいです。
こんな簡単なことも理解できなくて。

最低でも〇〇中(大抵難関校)入れたいので、
こんな基本問題さえできないなんて、
やる気がないとしか思えません。

本人にもっとやる気が出してやるよう、
家でも厳しく言い聞かせますので、
どんどん宿題を出してください。

こうおっしゃる「できる親」をこれまで、
一体どれほどたくさん見てきたことでしょう。

でも、彼らは1番大切なことを、
完全に見落としているのです。

それは彼らの子供がやる気がないのではなく、
純粋にその基礎レベルを理解するだけの学力が、
まだ身についていない
ということです。

あるいは彼らが言う「基礎レベル」が、
そもそも客観的に見て基礎レベルではないと言うことも、
往々にして起こっているものです。

「できる親」は自分ができすぎるため、
自分の中にあるスタンダードが高すぎて、
客観的な視点を見失っていることもあります。

さらに問題なのはそのような思考が、
子供の言動や能力に対する否定の方向に、
無意識に働いてしまうことがあるということです。

こんなことも理解できないなんて、
うちの子は大丈夫だろうか?

親がしっかり管理して、
もっとやらせなければまずい。

こんな方向に、思考が向いていけば向いていくほど、
子供に対して厳しく接するようになり、
子供は親から否定されていると感じるようになります。

そしてけなげげな子供たちは、
そんな親に認められようと必死に学習します。

少しでも親の言うことを聞いて、
親の期待に応えようと努力する。

そのプロセスの中で子供たちは、
自分の頭で考えて行動すると言う大切なスキルを、
どこかに置き忘れてしまうこともあるのです。


子供に厳しく勉強させようとして、
「あくまで子供のためなのだ」と言う発想が出てきていたら、
要注意のサインかもしれません。

何でも汲み取って先回りしてしまう

2つ目のパターンは1つ目とは異なり、
表向きはとてもソフトな対応をするので、
一見理想的に見える親子関係なことが多いです。

一生懸命子供の話を聞こうとし、
子供の感情をしっかりと理解た上で、
やりたいことや言いたいことをきちんと汲み取る親。

ちょっと待ってください。
そんな親の何がまずいんですか!

あなたがそう言いたくなる気持ちもよくわかります。

もちろんここまでは全く問題ありません。
問題が起こるのはこの親の言動が度を越して、
何でも先回りするようになってからです。

何でも子供のことがわかってしまうので、
子供がつまずかないように親が先回りをして、
子供の代わりに何でもやってあげてしまう。


親子面談を行っている時も、
こうした親がよく行ってしまう言動があります。

講師が子供に対して何か質問した時、
子供がうまく答えられないでいると、
すかさず親が子供の代わりに答えるのです。

例えば、こんな感じです。

講師
A君、前回の模試の算数、ちょっと苦戦したね。
図形問題、難しかったかい?

A君
え、あの一応途中までは分かったんですけど

「できる親」
息子は家で一生懸命形問題はやったんですが、
今回はたまたま悪く練習量が足りなかったところが出てしまい、
途中までしかできなかったんです。

でも、きちんと家で一緒に復習しましたし、
解き方もきちんと理解できたので、
次回からはきちんとできると思います。

講師(内心)
あの、お母さんに聞いてるワケじゃないんですけど…

とまぁ、こんな感じです。

一事が万事この調子で子供の先回りを続ける親は、
もちろん良かれと思ってやっているのですが、
子供に深刻な影響を与えていることを理解していません。

それは子供が自分で考える機会を奪い、
何でも困ったら親が助けてくれると言う甘えを、
子供に植え付けてしまう
ということです。

このような親を持つ子供が中学受験で、
特に難関校に合格と言う成功を手にするのは、
残念ながら極めて難しいです。

甘やかされて育った子供は、
厳しい競争で勝ち抜く力を鍛えることができず、
入試で脱落していくからです。

できる親が奪ってしまう子供の自主性

言うまでもないことですが、
子供はいずれ親から独立して、
1人で生きていかなければなりません。

その視点から考えれば親の仕事とは、
自主性を育てて子供を独立させるスキルを、
授けること
と言っていいと思います。

しかし、親ができすぎてしまうことで、
親が過剰に子供に干渉してしまう自体が起こり、
子供の実践を奪ってしまう結果になる。

この弊害の実例は、
私の30年経験の中で枚挙に暇がありません。

ご両親が超一流大学卒のパワーカップルの子供で、
6年間塾に通ったにもかかわらず、
最下位クラスから脱出できなかった生徒がいます。

父親が弁護士、母親が医者の子供で、
入塾から徐々にクラスが下がり、
志望校に全て落ちた生徒もいます。

親の学歴が高いからといって、
子供が良い学校に入れるとは限りません。

それは当たり前のことなのですが、
私が見ていて、1番残念だと思うのは、
親の好意が子供をつぶしていることがあるということです。

何度もお伝えしている通りですが、
受験で子供を成功させたいと思うのなら、
親はできるだけ手を引くことが大切です。


水をあげすぎれば植物が枯れてしまうように、
親の行為も与えすぎれば、子供をつぶしてしまいます。

子供を信じて1歩引く勇気こそ、
「できる親」の皆さんにぜひ持ってもらいたいものです。

まとめ

さて、いかがだったでしょうか。

今日は私が見てきた「できる親」が、
子供を失敗させてしまうパターンについてお話ししました。

このブログを読んでくださっている方の中には、
よもやそんな考えを持つ人はいないと思いますが、
念のためお断りしておきます。

私は「できる親」が皆子供を潰すなどとは、
夢にも思っていません。

実際に「できる親」の子供で受験に成功したケースは、
星の数ほど存在します。

しかし一方でその「できる親」が、
今日お話ししたような視点を忘れてしまうことで、
逆の結果を招いてしまうことをお伝えしたかっただけです。

もしあなたが「できる親」あるのなら、
子供をあくまで客観的に観察して、
1歩引いたサポートをしてあげてください。

繰り返しになりますが親にとって1番大切なのは、
子供の個性と自主性を育てることです。

親の価値観を子供に押し付けることで、
逆に子供を追い込むことがないように、
親として気をつけていきたいものですね。

【音声配信やってます】

スタンドFMで音声配信もやってます!
よかったらそっちも聞きに来て下さい。

https://stand.fm/channels/65db0f3d53b400abe217ba9c

【質問募集中】

受験や留学、海外育や子育てについて、こんなことを聞いてみたい!という質問を募集します!
ご質問は下記リンクからお気軽にどうぞ!

https://marshmallow-qa.com/qcbfz8ypyt60w0l

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?