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こんにちは。
元大手進学塾トップクラス担当講師で、現在はニュージーランド在住の受験&国際教育コンサルタントのTakuです。

中学受験ってすごくお金がかかるんですよね?
皆さんどのくらいお金かけてるんですか?

うちはそんなに経済的にゆとりがあるわけじゃないので、
最後までお金が持つのか分からなくて不安です。

進学塾だけじゃ足りなくなって、
家庭教師とか個別塾も使ったって話を聞くけど、
実際のところはどんな感じなのかしら…。

あなたはそんな悩みを抱えたことがないですか?

メディアでも最近盛んに取り上げられている、
中学受験=課金ゲームと呼ばれている実態はどうなっているのか?

今日は受験の裏側のリアルについてお話ししてみようと思います。


進学塾でかかるお金のリアル

進学塾はどの塾でも基本、
各学年にメインの本科講座を持っています。

大抵週2回から3回のコースになっており、
2教科もしくは4教科のコースを設置しています。

カリキュラムについては各塾が、
独自の方針に基づいて作成しており、
教材の種類も様々です。

本科では新出事項の内容に重きが置かれ、
受験学年の夏以降は入試に向けた、
総復習&演習にシフトしていきます。

大手の進学塾ともなれば本科の内容は充実しており、
一見するとこの本科だけで充分、
志望校に合格できるように見えるかもしれません。

でも現実は残念ながら、
そんなに甘くできてはいません。

中学受験を経験された方ならご存知だと思いますが、
進学塾に通う大部分の生徒は、
本科のほかに単科講座も受講します。

単科講座は夏期講習や冬期講習に加え、
通常にも志望校対策講座等で、
オプションとして多数存在します。

そして、実際には本科だけでは完結せず、
こうした単科を併用することを前提に、
カリキュラムが出来上がっていることがほとんど
です。

実際に進学塾に通うと、
必ずと言っていいほどこの単科講座への勧誘が、
かなり頻繁に行われています。

各担当講師にはこの単価講座への誘導が、
営業ノルマとしてされていることも少なくなく、
講師としても必死に勧誘します。

またそれ以前に本科講座だけでは、
合格に必要なスキルを伸ばせない生徒が多く、
単科は事実上必修になっているようなものなのです。

実際に保護者の側としても、
塾の先生からぜひ取ったほうがいいと言われれば、
不安になって取る方が普通ですよね?

そういった不安をしっかりと理解しているので、
軸側は様々なオプションを用意して、
魅力的に見える単科を勧誘してくるのです。

こうした提案をきちんと拒否できる保護者の方は、
私の経験上も非常に少ないものです。

なぜならそれができるようになるためには、
我が子がどの部分でつまずいているのかについて、
正確に把握している必要があるからです。

しかし、実際にそれができている保護者は、
ほぼ皆無と言って良いでしょう。

中学受験の指導を塾に丸投げしている時点で、
塾からの提案を論理的に判断することは、
もはや不可能になっている
ものです。

これがまさに無駄な単科に対してまで、
親が課金をやめられない、
最大の原因と言って良いでしょう。

失礼を承知申し上げるなら、
何もわからない親ほど塾から見れば、
おいしい顧客はいない
ということです。

先生、うちの子にはどの講座が必要ですか。
先生が必要と思われる講座は全部取りますので、
ぜひ教えてください!

そうおっしゃる保護者の方にこれまで、
私は何人も巡りやってきました。

それを上司に相談すると、
「念のため全て進めてみたらどうだ」と、
指示されたことを今も覚えています。

進学塾のための塾

進学塾がらみで最も滑稽だと思ったのは、
進学塾の授業についていくために、
別の塾に通っている生徒がいることです。

私が所属していた塾では、
入塾のためのテストが行われていましたが、
これに合格できない生徒も存在しました。

そのため、入塾テストに合格するために、
わざわざ他の塾で学習をして、
入塾テストに臨む生徒がいたのです。

ある生徒などは複数回不合格になり、
ようやく入塾テストに合格して、
親子でうれし涙を流されていました。

その光景を目の当たりにした時、
受験の深い闇を実感したのを思い出します。

塾に合格したところで、
まだ何も達成していません。

それなのに合格しただけで、
嬉しく涙を流してしまう…。

それは客観的に見れば、とても歪んだ、
異常な状況だと言わざるを得ません。

さらに進学塾の授業そのものについていくために、
わざわざ個別塾で補修をしてもらったり、
高額の家庭教師をつけるケースも見られます。

私もプロの家庭教師として、
実際に進学塾の補習を行っていた時代があります。

確かに経験を積んだプロの家庭教師雇えば、
弱点補強も含めて効果的な対策が可能です。

しかしプロの家庭教師は大変高額であり、
経験豊かな先生であれば、
1時間数万円のケースも珍しくありません。

よくメディアが取り上げているような、
中学受験でかかったコストの平均など、
このような特殊ケースは含まれているのでしょうか?

私の肌感覚ではあの金額は、
かなり低めに見積もられているように思えます。

また、こうしたケースは決して、
トップ校を目指す生徒たちだけに見られる、
特殊なものではありません。

基礎クラスや標準クラスの生徒でも、
合格までもう一息と考えれば、
こぞって他のオプションを親は取るものです。

こうなれば泥沼の課金ゲームが始まり、
予算が尽きるまでそれは続くでしょう。

せっかくここまで頑張ってきたんだから、
もう少しだけがんばってみよう。

もう少しだけ耐えることができれば、
ひょっとしたら逆転で合格できるかもしれない。

そんな一縷の望みにかけてしまう親は、
今も昔も変わらず存在しています。

講師レベルと課金のコスパ

この課金ゲームのコスパについて、
最後に考えてみたいと思います。

当たり前のことですがプロの講師よりも、
学生の講師の方が費用が安いのは、
ある意味当然のことです。

経験も実績も大きく違うのですから、
プロの講師が費用が高いのは当たり前です。
(といってもプロの名に値しない講師に注意)

その差は最大10倍ほどになり、
多くの親からすれば少しでも予算を抑えるために、
学生の講師をと考えるのは自然のことです。

でも、残念ながらその発想が、
裏目に出ることを多々あることをご存知でしょうか。

学生講師の多くは有名大学に在籍する、
もともと字頭の良い先生です。

学生時代から優秀で勉強もよくでき、
成績も良かった彼らは親から見て、
憧れの存在に見えるかもしれません。

しかしその優秀さが逆に仇となって、
受験には逆効果になるケースがあることを、
あなたは想像できるでしょうか。

かつての名選手が名監督になるとは限らないように、
優秀な有名大学の学生講師の指導力が、
高いとは決して限らない
のです。

私も仕事柄塾講師時代に何人も、
日本のトップ大学の学生講師の監督をしてきましたが、
この傾向は顕著に見られました。

彼らにしてみれば簡単な事でも、
普通の生徒には理解できないことが、
たくさんあることが彼らにはわからない。

優秀すぎる学力を持っているが故に、
人並みの学力を持った生徒のつまずきが、
理解できないことが少なくない。

このような事態に陥ってしまうと、
たとえ安い料金だったとしても、
成績を上げるにはたくさんの時間が必要になります。

場合によっては、プロ講師との価格差など、
完全に相殺してしまうほどのロスが発生することも、
いくらでもあり得るわけです。

経験豊かなプロ講師が15分で理解させられることを、
学生講師は何時間もかけなければできない。

そんなことが発生するのは、
決して珍しいことではありません。

また、学生講師は自分の経験しか経験値がないので、
自分のやり方が通用しなくなった時点で、
打つ手がなくなることも少なくありません

その上多くの学生講師は講師としての仕事を、
ただのアルバイトとして捉えていますので、
本業でやっているプロほど使命感は高くありません。

それが指導の質に影響するのは、
誰が考えても簡単にわかるはずです。

プロの講師の授業料が高いのは、
きちんと理由があってのことです。

そう考えればコスパの観点からは、
プロ講師を使ったほうがはるかに有効ではないかと、
私個人は思っています。

とは言え、塾のために家庭教師まで雇うと言うのは、
私としては舞をひそめざるを得ないのですが…。

まとめ

さて、いかがだったでしょうか。

中学受験と言うのは思いのほかお金がかかる上に、
一度課金をしたら止められなくなる中毒性があります。

もちろん、全員が全員そうであるとは言いませんが、
私が関わらせていただいた多くのご家庭では、
このような事態に陥っていました。

私は、メディアの煽りには疑問がありますが、
中学受験が課金ゲームであるという指摘については、
心の底から同意します。

その課金ゲームに参加するかどうかについては、
親が何よりもしっかりと知識をつけた上で、
自分の頭で考えて判断する必要があります。

中学受験を受けるかどうかについてはぜひ、
時間をかけてじっくり検討した上で、
冷静な判断をするようにしてくださいね。

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