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大学受験のインテリズム ―数学 集合命題編―

皆さんこんにちは。takuです。

このシリーズでは"大学受験のインテリズム"と題して、これから大学受験の勉強をされる方、あるいはもう一度高校の勉強をやり直してみたいという方向けに、私が大学受験を経験して思ったこと、押さえておくべきことなどについて述べていこうと思います。

第一弾として今回は、数学の集合と命題についてお話していきます。

集合と命題は、大学入試センター試験でも最初の問題として出題されるかと思います(私の記憶ではそうでした)。一方、二次試験などのよりハイレベルな試験になるとあまり出されなくなる印象もあります。つまり、集合と命題ができない方は足切りという門前払いを受け、二次試験という本選にさえ参加できないという悲惨な目にあうわけです。

…ごめんなさい冗談です笑。

ただ、いずれにせよこれをきっかけに数学が嫌いになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。∧、∨...この謎の記号に戸惑うこともあるでしょう。しかし、この分野は国語です。記号や言葉の意味をしっかり理解し、あるいは構造を理解すればそんなに難しい話ではありません。一体どういうことか。それも含めてお話します。

集合の意味

集合とは文字通り「数の集合」です。例を出しつつ説明していきます。

例1:集合P={1,2,3,4,5}

この式の解釈としては、まずある数の集合体Pというものを想定します。=というのは普通に=です。同じものを指す、と捉えていただければ十分です。

その集合体の中身はもちろん数があるわけでその中身を{}で表します。そして{}の中に中身の数があるわけです。{}の中には1~5の数が入ってるわけですから、以上を踏まえると例1は

集合Pがあり、Pの中には1,2,3,4,5の数が入っている

と解釈します。ここまでは理解しやすいでしょう。では次です。

例2:集合Q={ x | x=1,2,3,4,5 }

まず、Q={}は上と同じです。Qの中に何かが入っていることになります。

ではその中に何の数が含まれているのかというと、それは変数xです。変数とは、ある条件の下で変化する数全体の事を指します。その条件については縦棒の右に書かれることになります。例2ではx=1,2,3,4,5です。つまりxは1か2か3か4か5であるということです。以上を踏まえると例2は

集合Qがあり、Qの中には変数xがある。xは1,2,3,4,5のいずれかである。

となります。要するにQの中には1,2,3,4,5が入っているわけです。

このような書き方をする理由は簡単で、これがもし1~100の数が入っている場合などは書ききれないからです。数学においては~や...という省略する記号は一切ありません。というのも、小数点以下の数を含むか含まないかでややこしくなってしまいます。そのため、省略するときは上のように変数をおいて表します。

次は2つの例を出します。

例3:集合R={ x | 1≦x≦5, xは整数 }
例4:集合S={ x | 1<x<5, xは実数 }

例2と違うのはもちろん縦棒の右側だけです。

例3から見ていきましょう。変数xの条件は1以上5以下です。言い換えるとxは1以上5以下のなかで変動します。この時注意しなければならないのは以上と以下の意味です。端の数1と5を含むかで集合の意味が変わってきます。例3では=が入っているので1と5を含むことになります。

またxは整数です。整数とは小数点以下がない数の事です。これも考慮すると例3は

集合Rがあり、Rの中には変数xがある。xは1以上5以下の整数である。

と解釈できます。P,Qと同じくRの中には1,2,3,4,5が入っているわけです。

例4について。変数xの条件は1と5の間です(上の表現の違いに注意!)。端の数1と5は含みません。

またxは実数と書かれていますが、実数とは実際に存在する数、すなわち数直線を書いたときにそこに絶対に存在する数です。これと対置して虚数(ローマ字のi)がありますが、iは2乗してマイナスになる数でこれは普通は絶対にありえない数です。

よって2と3と4はSに含まれることになりますが、小数点以下の数はどうでしょうか。これは1より大きく5より小さいのであれば、他にはじかれるような条件は一切ありませんのでSに入ります。なお、実数という条件についても小数点以下の数は存在するものなので条件から外れることはありません。

以上により例4は

集合Rがあり、Rの中には変数xがある。xは1と5の間の実数である。

となり、P,Q,Rの中身と全く違うことになります。

以上に挙げた例は確かに数字や記号で記されたものばかりですが特に計算をしているわけではありません。むしろ国語的要素が強いです。最初に国語と言った意味はまさにこれです。そんなに身構えるものでは全くありません。

命題の意味

命題とは、本当か違うかに関わらず、何かについてなされる主張のようなものです。これが厳密に正しいかどうかは分かりませんが、そう捉えると分かりやすいかなと思います。要するに「~である、〇か×か」ってやつです。

例5: 1は集合Pに含まれる。

この文章が正しいものであれ、違うものであれ、一つの命題として成り立っています。ここまでは良いでしょう。ではこの命題、正しいのか正しくないのか。正しければ真、正しくな,ければ偽ということになりますが、真偽も別に意味が分からないということはないでしょう。例1で示した通り、実際に集合Pに1は含まれますので例5の命題は真です。

ここで押さえなくてはならないものは逆と対偶、必要条件と十分条件です。これについて説明していきます。

まず「pならばqである」という命題を想定します。これは文字通りpが成り立てば同時にqも成立するということです。この命題の逆は「qならばpである」、対偶は「qでなければpではない」というふうになります。

記号で簡潔に表すと次のようになります。

元の命題:p⇒q
逆:q⇒p
対偶:qでない⇒pでない
※対偶の「でない」は文字の上に横線を書くことで表せますが、pとqの上に横線を引くことができませんでしたので上のように表記します。

特徴としては、元の命題が真のとき、逆は真になるとは限りませんが対偶は必ず真になります。詳しくは後述します。

また、必要条件と十分条件ですが、文字通り必要になる条件と十分である条件です。pならばqであるとき、pはqであるためには十分なので十分条件、逆にqはpであるためには必要なので必要条件となります。これも後述します。

顔文字に使われそうな記号たち

∧、∨、=、∈、⊂、∅、⁻(文字の上につく横線)。何が何だか分けわかめ(∧∈∧#)と顔文字で遊ばれそうな記号が数学嫌いをなやませるわけです。ですがこれも国語です。一つずつ見ていきましょう。

∧は「かつ」です。例えばA∧Bの場合「AかつB」と読み、AとBの両方を備えるものと解釈します。

∨は「または」です。文字通りどちらかの要素を備えるものと解釈します。上の∧とややこしいですがこれくらいは覚えましょう。

=はまんまイコールです。例1~4で書いたものと全く同じです。

∈と⊂について。これが少し難しいです。軽く例を挙げると、a∈Aと書かれたとき、「aは集合Aの要素である」、すなわちAの中にaが含まれると解釈します。対してA⊂Bと書かれたとき、「集合Aは集合Bに含まれる」と解釈します。大きさの観点で見ると小なりの記号の<と似ています。

∅は空集合です。例えばA=∅と書かれたとき、集合Aの中には何もないという意味です。空っぽ?と違和感を覚えるかもしれませんが空っぽです。そう思って差し支えありません。

最後に文字上の横棒は補集合です。その集合に含まれる数、それ以外の集合です。命題の所で書いたやつと意味は同じです。

ざっと説明しましたが言葉や文字で見聞きして理解するのは少し難しいですし、この先問題を解くとしてもややこしくなるだけです。そこで以下にモデル化をします。

ベン図・数直線を使ったモデル化

以下の画像がそのモデルになります。これはベン図を使ったものです。

集合と命題

ベン図は集合・命題問題において最強かつ簡単に扱える武器です。このようにしてベン図に書けば一目瞭然でしょう。

さて、この図を使って先ほど挙げた命題の話を説明します。まず実際に命題を作ってみます。⊂の図のような場合を想定し以下の命題があるとします。

命題p:ある数xはAに含まれる。
命題q:ある数xはBに含まれる。

もしpが成り立つならばxはAの中にあり、AはBの中にあるのでqも確実に成り立ちます。すなわちp⇒qです。一方でqが成り立っていたとして、確かにxはBの中にありますが、Aの中にxがあるとは限りません。よって逆の命題q⇒pが必ずしも成り立つとは限らないのです。

対偶についてはどうでしょう。もしqが成り立たない場合、xはBの外にありますが同時にAの外にあるので、確実にpが成り立ちます。よって対偶は必ず成立します。

また、必要条件と十分条件に付いてですが、pが成り立てば確実にqが成り立つのでqが成立するための条件としてpは十分です。一方でpが成り立つ条件としてqは確かに必要ですが十分ではありません。よってpはqの十分条件、qはpの必要条件となります。分からない場合は何度もベン図を見て考えてみてください。

また、もう一つ最強の武器として数直線があります。

数直線

これは変数の範囲を把握するのにはうってつけで、数学において範囲の問題でややこしい時はこれを使うと理解が容易になります。

ベン図・数直線は実際の入試でもよく使うものです。もちろんハイレベルな大学の二次試験でも、数学が得意な私でも使います。

なぜこんな簡単なものに頼るのかと言えば当然話が簡単になるからです。数学だけでなく他の科目でもそうですが、文章を読んで理解しにくいものは自分が理解できるレベルにまで簡単なものに変えるのが鉄則です。古典の品詞分解や英語の構文理解と全く同じです。

終わりに

いかがでしたでしょうか。

必要な要素を全て取り込んだ結果長くなってしまいました。

最後に、繰り返しになりますが、数学はやっていることとしては他の科目と大差ありません。理解しにくいものを理解できるものに落とし込んでそこを出発点にしてゴールを考えていきます。特にこの分野においては、それぞれの言葉・記号の意味をしっかり理解しつつベン図や数直線などのモデルを使って考えればよいだけです。

確かに理解のレベルは人それぞれありますし、それによって得意不得意というものも自ずと生じることでしょう。しかし、押さえるべきところをしっかり押さえて一つ一つ理解していけば必ずできるようになります。

皆さんがこの文章を通してそのプロセスを体験していただければ幸いです。

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大学受験のストラテジーについても書きましたので参考までにどうぞ!


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