2040年”理学療法士の供給過多”に向けたシフトチェンジ
はじめに
ここでは職場の同僚Aさんとの会話の中で自分がハッとさせられたことについてまとめていこうと思います。
衆力功をなす
私たちが理学療法士になる過程で受けてきた学校教育では、すべての科目・分野で平均点以上をとることができる人材を育成し、最終的には国家試験に合格できるようなカリキュラムが組まれています。そのためか、臨床に出てからも、苦手の克服が優先されて、得意なことを伸ばすことが後回しにされてしまうことが多々あります。
例えば、リハビリの対象となる病気は、中枢疾患・整形疾患・内科疾患と、その発症起点、部位などで大別されます。そして、その各領域のなかでも中枢であれば難病や脳卒中、整形であれば骨折や変形性関節症、内科であれば呼吸器、循環器などといったようにさらなる細分化がされます。
もちろんこれらすべての疾患に対して同じレベルで治療ができ、患者さまのニーズに対応できる理学療法士を目指すことが理想ではあります。しかし、すべてを網羅しようとするとそれ相応の時間がかかり、チームの成長という点ではある意味非効率的であるとも感じられます。それよりは、スタッフそれぞれが自分の得意分野をとことん伸ばして、チームとして助言をし合いながら患者さまのリハビリに携わったほうが良質なリハビリが提供でき、チームの成長につながるのではないかと考えています。
これは、ドラ〇〇クエストというゲームと似ています。このゲームは数人のキャラクターでパーティーを組んで冒険をするのですが、レベルアップをするとキャラクターごとにスキルの割り振りができて、スキルの配分に応じて覚える特技や呪文が変わってきます。ですので、呪文が得意なキャラクターには魔法や勇気にスキルを割り振り、打撃が得意なキャラクターには剣術や盾にスキルを多めに割り振ったほうが、どんどん新しい特技を覚えてキャラクターの能力が向上しやすくなります。そして、バトルの際はキャラクターごとに①魔法での敵の弱化②味方の強化・回復 ③打撃に専念、④特殊攻撃に専念といったように役割を割り振ることで、パーティーとしての戦略が成り立ってきます。
これと同様に、自分は内部疾患の中でも血管疾患に興味があると感じているのであれば、重点的に血管疾患に関する勉強を行い、血管疾患に関してはほかの人に負けないと思える、いわば自分の専売特許を持つことが、組織の中で自分の役割を確立する近道であり、”衆力功をなす”こそ多様化する病態に対応していくすべなのではないかと考えます。しかし、社会で生きていくためには自分の好きなことだけをやっていては、周囲から自己中心的なやつだと見放されてしまいます。まずは、組織から求められる標準的な能力を身につけたのちに、個々の能力の割り振りの配分を変えていくようにしましょう。
自分自身、他の人の能力に憧れ、人より劣る部分を見つけては悲観的になることが多くあるため、上記のような話をAさんとしたときに、自分の”得意”を見つめなおし、少しばかり自信が持てるようになりました。
今後のジェネラリスト⇒スペシャリストへの転換を目指していく風潮の中、実習生や新人などの教育においても、相手の”得意”を見出してあげて、さらにそれを伸ばしていけるよう導いていくことが指導者に求められるのかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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