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ショートビデオ「Dubsmash」の復活劇を支えたたったひとつのマーケティング戦略

ショートビデオアプリ「Dubsmash」が復活した理由を調べたらおもしろかったので、シェアしますー。

「Dubsmash」はアフリカ系アメリカンコミュニティを取りに行った!

ショートビデオアプリ「Dubsmash」の復活劇は、以下Tech Crunchの記事が詳しいです。今は亡きVineと同様にユーザー数の減少が続いていたDubsmashが、チームの縮小、本社移転、プロダクトのリビルドを経て、アクティブユーザーをV字回復させた詳細が載っています。

Dubsmashが復活した理由ですが、結論は「アフリカ系アメリカンコミュニティへのターゲッティングが成功した」です!Dubsmash公式Instagramの運用方針の変遷を見ながら、マーケティング戦略の転換を見ていきましょう。

Dubsmashのアクティブユーザー数の推移

スマホアプリの市場分析サービス「App Annie」のデータによると、Dubsmashは2018年後半からウィークリーアクティブユーザーがV字転換しています。2018年後半に再ブレイクを果たした要因が隠れていそうです。

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2018年後半になにがあったのか?

再ブレイクの要因を探るためDubsmash公式Instagramを見ると、2018年10月にやはりプロダクトの大型アップデートをしています。

しかし内容は
・友だちのフォロー
・「いいね」や「閲覧数」のカウント
・2種類のフィルターの追加
などです。
どれもショートビデオSNSにありきたりな機能の追加で、このアップデートが再ブレイクの大きな要因になったとは考えられません。

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アップデート以降の変化

2018年10月のアップデート以降の公式Instagramの投稿内容を調べるとマーケティング戦略を転換したあとが見られます。アップデート以降、インスタにピックする動画がほぼアフリカ系アメリカンのダンス動画になっています。

2018年10月のアップデート以降の全915投稿中アフリカ系ダンサーが登場している動画はなんと874投稿(96%)にのぼります。

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アップデート以前の投稿内容

2018年10月以前は、ホワイトアングロサクソン(WASP)が登場する動画がほとんどだったことを考えるとTikTokが取れていないところを取りに行こうという明確な意思が伝わります。

ちなみにアップデート以前の全180投稿中アフリカ系アメリカンが登場している動画はたった20件(11%)しかありませんでした。

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以上の公式Instagramの運営方針から、2018年10月以降、Dubsmash運営陣は明確にアフリカ系アメリカンコミュニティを取りに行っていることがわかります。

SNSのグロース戦略で重要なのは、プロダクトの差別化ではなく、ユーザーという「資源」の特殊性を獲得することにあります。

DubsmashはTikTokがリーチできていなかったアフリカ系アメリカンに標準を絞り、マーケティング活動を行いました。

そしてアフリカ系アメリカンコミュニティという特殊な資源を獲得し、それが模倣困難性となり、他サービスの追随を許さない成長を遂げたのではないかと推測できます。


こちらDubsmash公式インスタです。2018年10月のアップデート以前と以後のピックする動画を見ると明らかな違いが出ていておもしろいです

以上です!

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