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Bリーグ第23節三遠-アルバルク。連戦真逆の結果、双方攻略のポイントを探る②

前回に続きBリーグ第23節三遠-アルバルク戦第2ゲームについて進めていきます。

2/10(土)、2/11(日)、豊橋総合体育館で行われた三遠ネオフェニックス対アルバルク東京の試合結果は、第1ゲームが74-93の19点差で三遠の勝利。翌日の第2ゲームは94-72の22点差でアルバルクが雪辱を晴らしました。

日を跨いだこの結果に、どうしたらこんな真逆の展開になるのでしょう?
そんな素朴な疑問が湧いてしまいました。

今回は、ゲーム②にアルバルクがどのように対策したのか?これを追ってみたいと思います。

第1Q出だし1分半がアルバルクのやりたいこと

前日に74-93とボコられて、今日はどうなることやら心配であったり、昨夜のお酒が抜け切れずに二日酔いであったりして今一つ優れませんでしたが、ゲーム開始から1分27秒で7-0ラン!

選手が気持ちのこもったスタートを見せてくれたことで応援の声にも力が入りました!

最初のセットから7-0ランで表現したアルバルクのパフォーマンスがこのゲームを通して遂行したいことだったのではないかと思います。

そしてこれを選手はやりきって勝利を手にしたのだと思います。


1.スクリーンをスリップ
第1ゲームでは三遠のラベナ、メイテン、クラークのフィジカルブラザーズがインサイドで頑張るのでPnRでなかなか突破できませんでした。

この日はPnRのスクリーンをスリップすることでディフェンスの対応を遅らせてズレを作って解決を図ろうとしていました。

第1Q残り9分38秒
右トップにテーブス、右エルボーにサイズ、右コーナーにメインデル。
左エルボーにロシター、左コーナーに小酒部です。

ロシターが左トップに開いてパスを受けます。 テーブス→ロシター
テーブスは右コーナーへ向かいます。
右サイドでメインデルがサイズとピンダウンして上がります。さらに→メインデルがロシターとトップでハンドオフ(ZOOMアクション)してボールを受けます。

続いて左サイドから小酒部が上がってメインデルとドリブルハンドオフ→サイズが左ウイングに回ってピック。小酒部とPnR(マイアミアクション)に行きますがサイズはスクリーンをスリップ。サイズはマーカーのメイテンより前にゴールに向かいます。

小酒部はもう1度右ウィングに開いたロシターにパス。
今度は右コーナーのテーブスがロシターと右サイドでドリブルハンドオフ。さらにリピック(マイアミアクション)

ここのスクリーンもロシターがスリップしてダイブしますがマークのクラークをペイントでクリアアウトします。

テーブスはこのコースを使ってゴールへドライブしました。

ペイントでメイテンがクローズアウトに来たのでダンカースポットのサイズにパスしてダンクです。(2-0)

2.ディフェンスでも三遠の3Pセットを封じます。
ゲーム①の敗因の一番は三遠の3Pを50%も決められたことが挙げられます。
ゲーム②でも金丸と大浦の二人のシューターが両サイドでビッグマンのダウンスクリーンを使って上がって3Pを狙うセット(フロッピー)です。

第1Q残り9分25秒
三遠のファーストセットでした。5アウトの三遠がボールをトップに運ぶのはメイテン。昨日と同じに右コーナーからラベナが大浦にバックスクリーンを掛けて上がり、さらにトップのメイテンとハンドオフしてポジションチェンジ。

トップにラベナ。メイテン右エルボー、右ショートコーナーに大浦、クラーク左エルボー、左ショート-コーナーに金丸でエントリーです。

これに対して、アルバルクのディフェンスは徹底していました。

金丸には小酒部。大浦にはテーブスがつきますが、ボールマンのラベナには背中を向けてマークマンに正体してべったり付いていました。

これではフロッピーを実行しても2人のシューターには出せずにラベナがドライブを敢行してシュートを落としました。

この日の三遠の3P成功数は6/23(26.1%)に終わっています。
大浦1/5、金丸1/4、タジンスキー1/5。昨日やられた3人には仕事をさせませんでした。  

3.トランジションからファストブレイク
ゲーム①ではシュートを決めたら5秒後に入れ返される。DRからタッチダウンパスを決められるなど。アルバルクが気を抜くわけではないけれど隙をつくのがうまかった三遠です。

ゲーム2ではやり返してあげましょう。

第1Q残り9分8秒
ロシターがDR。ロシターはそのままプッシュ。ハーフコートから左コーナーのメインデルにパス。3Pを射抜きます。(5-0)

4.インバートスクリーンの意外性
アルバルクのモーションオフェンスはズームアクションとマイアミアクションの繰り返しとなるので読まれやすいところがありそうですが、クロススクリーンやスペインピックなどガードの選手がスクリーナーになるアクションが入ると効きます。

第1Q残り8分45秒
テーブスがトップ、右コーナーメインデル、左コーナー小酒部、エルボー左ロシター、右サイズ。ロシターが左に上がって  テーブス→ロシター
テーブスはいつものように右コーナーに行くと見せてメインデルのマーカー、ラベナにスクリーン。メインデルは左スロットにフリーでカット。
ロシターから→メインデルのハイローが決まりました。(7-0)

アルバルク3-2ゾーンとトランジションディフェンス

ゲーム①で3Pを決められてディフェンスも釣り上げられてスペースを広げられた結果、大浦、山内、ラベナのインサイドアタックを許したアルバルクですが、メインデル(ザック)を真ん中にガード2人を両ウィングに張らせた3-2ゾーンをゲーム②では使いました。

3Pのチェックをしつつインサイドアタックをケアするには3-2ゾーンは効果的でした。

しかし3-2ゾーンの場合コーナーにボールを落とされてクローズアウトすると一人空いてしまう弱点があります。

アルバルクはそこをトップのメインデルがヘルプに向かっていました。
結構な距離ですが気迫がこもったローテーションをまわしていました。

また、ゲーム①でさんざん三遠に決められたトランジションですがアルバルクは前を走るラベナ、大浦へのケアを注意深くしていました。(第2Q残り4分12秒ラベナへのパスをザックのカット)(第2Q 残り7分4秒テーブスのハリバックブロック)(第4Q残り3分1秒テーブスがDRのクラークからラベナへのパスをST) 

そして、このゲーム最もアルバルクのディフェンスネイションを感じられたのは同点(48-48)で迎えた第3Q残り3分22秒を0で抑えた集中力です。
その間、安藤の通算700回目となる3Pヒットを含む13-0のランでビッグクォーターをつくり勝利を大きく引き寄せました。 


バイウィーク明けCSを見据えて

三遠の強さは本物でした。中地区優勝のマジックが出ていることからCSで戦う可能性があるチームの一つですし、CS前哨戦としてお互いに力を尽くして戦えたことは財産となるでしょう。

リーグ戦の残り試合は21試合です。まだまだ星勘定は先のことですが、東地区の順位表をのぞいてみれば宇都宮と勝率で並び、ついに平均失点(アルバルク68.4宇都宮68.1)とディフェンシブレーティング(アルバルク98.9、宇都宮97.4)では抜かれてしまいました。

チームには引き続きディフェンスナンバーワンを目指して切磋琢磨していってほしいと思います。

選手の皆さん、スタッフの皆さん、少し休んで(テーブス選手と吉井選手はパリ目指して躍動してください。)バイウィーク明けの連勝にそなえてほしいと思います。

追伸

安藤選手B1通算3P700回達成
おめでとうございます!

サイズ選手B1通算2500リバウンド、B1通算4000得点達成おめでとうございます!

photos by ALISA

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