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Bリーグ第14節アルバルク-名古屋DD。3ポイントが勝敗を分けた連戦

名古屋DDには20-21シーズン後半から2年半にかけて6連敗のアルバルク。
今節は雪辱を果たして連勝と行きたいところ。

なにせ今の名古屋はエサトンが12月から復帰したものの、張本天傑が膝の前十字靭帯の手術明けで長期離脱中、ソアレスがヘルニアを発症、元バルクの齋藤拓海が脳震盪の復帰プロトコル中、レイパークスが捻挫、さらに佐藤卓磨がコンディション不良と今節は残りの9人でロスターで回さなければならない非常事態です。アルバルクとしては連勝して年末の佐賀遠征に向かいたいところでした。

しかし、名古屋DDは群雄割拠の西地区にあって、この時15勝7敗と琉球に次ぐ2位です。なんとかここをキープしておきたい正念場でした。

クリスマス12/23、24日にアリーナ立川立飛で行われたホーム戦の結果はゲーム1は83-68でアルバルクの勝利。ゲーム2は逆に59-82と名古屋DDが勝ちを収め、痛み分けとなりました。

ロスターのそろわない相手には連勝するべきところですが、苦手名古屋DDにはなかなか勝ちきれません。

3Pの成功数が勝敗をわけた試合でしたが、アルバルクの泣き所が浮き彫りとなったシリーズにもなりました。

ゲーム2、デニスHCはいかにしてアルバルクを攻略したのか振り返ってみます。

アルバルクペースのディフェンシブなGAME1

12月27日現在のアルバルクの平均得点は80.2点(9位)、平均失点は65.8点(1位)です。この日のスコア(83-68)とほぼ重なります。

アルバルクがいつも通りのゲームをすすめたと言って良いと思います。

名古屋DDに対して体を当ててフィジカルに守りファストブレイクをファウルしてでも出させないアルバルクは密着して3Pシュートも許しませんでした。

また、スミス、エサトンを擁してオフェンスリバウンド1位(平均14.4本)トータルリバウンド2位(平均41.8本)の名古屋DDに対してリバウンド10位(平均39.5本)のアルバルクがリバウンドで互角(OR14本、DR19本)と健闘しました。

逆にアルバルクはこんなに入るの?というくらいにPnR→ドライブ→キックアウトからのオープンスリーが決まりました。

特に右コーナー5/9、左ウィング4/9本。トータルでは13/31本(41.9%)です。

3P成功率リーグ1位の名古屋DD(10.2/27.2本37.4%)を横目に少し出来すぎな感じもあります。

そんな中でも名古屋DDはアルバルクのディフェンスの上を行く連続攻撃を見せていました。これが翌日への布石となっています。

ボールサイドで伊藤とエサトンがハンドオフ、伊藤がコーナー方向へドリブル、フレアしたエサトンに戻す。 その間にウィークサイドで須田が右ウィングのフランクスにリップスクリーン。

ここで安藤とロシターのスイッチが起こればハイローです。

できなかったので須田がトップに上がってエサトンとハンドオフで左ウィングから3Pを狙います。ここもアルバルクのディフェンスはついてきます。(安藤は走ります)

すると須田は伊藤に渡してやり直します。伊藤がトップでエサトンとPnR、エサトンはゴールにダイブ。伊藤は左の須田にアングルチェンジ、須田→エサトンのハイローで得点となります。(第3Q残り9分19秒、45-39)

チェンジングディフェンスに的が絞れずリズムを崩すGAME2

アルバルクは1度リズムを崩すとシュートタッチがチーム全体で戻らなくなる一面があります。そのリズムの崩れの原因は何か?

今節のゲーム2では前日と比べてインテンシティ高くなった名古屋DDのディフェンスによるアルバルクの停滞にあったのではないでしょうか。

名古屋DDのディフェンスはまさに変幻自在、千変万化、臨機応変でした。

エンドインの際には2-2-1ゾーンプレスであったり、1-2-1-1ゾーンプレス。
そこからマンツーマン、2-3ゾーン、3-2ゾーンと様々です。
セットの度、サイドインの度に形が変わりました。

どうやって攻めるの?テーブスや橋本はさぞかし「めんどくさ」と思ったことでしょう。前日はキックアウト→3Pが良く決まっていたのに、この日は上手くいきません。

押され気味ながら21-21の同点で迎えた第2Q。
エサトンのリバウンド、セカンドチャンスから0-14ランを許してしまいます。

その間アルバルクはターンオーバー2本、ショットミス5本を犯し、リバウンドはわずかに1本しか奪えませんでした。

逆に名古屋はリバウンド6本、スティール1本、ファストブレイク1本をアルバルクから奪っています。

名古屋のディフェンスは複雑ですがオフェンスもファストブレイクなどのトランジションオフェンス以外は2つ3つの連続したオフェンスをしていました。1回のピックでミスマッチができなくてもポップしてコーナーからピンダウンで上がったハンドラーとハンドオフ(ズームアクション)、そこからダイブしてダンク。などアルバルク顔負けのモーションオフェンスを展開していました。

第3Q、6分46秒には名古屋DDのオフェンスがアルバルクのリーグNo. 1ディフェンスを超えます。

フランクスがトップに立ちハイポストにエサトン、右ウィング坂本、右コーナー須田でエントリー。

エサトンが左ウィングにアウトしてフランクスから→エサトン。
坂本がオフボールでフランクスにインバートスクリーン、フランクスはエサトンからハンドオフ。(2枚のスクリーンでロシターが遅れます)まずここでフランクスが3Pを狙います。 
アルバルクはサイズとロシターがマークをスイッチして防ぎます。

3Q6分35秒 もう1回。
トップの坂本に返します。
坂本から→エサトンに送って坂本がハンドオフに向かいます。これをスルー
今度は右ウィングにあがっていた須田がエサトンのパスを受けてエサトンのピック。
左ウイングでフリーとなった須田が3Pを射抜きました。(39-59)

このように名古屋は手数をかけて連続攻撃でディフェンスをはがします。

なので、その過程でミスも出ます。名古屋DDがターンオーバーがリーグで一番多い(平均15本)理由がそこにあるのかもしれません。

それにしても、この日の名古屋DDの遂行力は素晴らしかったです。

アルバルクの弱点を露呈

今節のゲームはアルバルクの良い面(ゲーム1)と悪い面(ゲーム2)がわかりやすく浮かび上がったと言って良いのではないでしょうか。

まずは3Pです。ゲーム1は13/31本(41.9%)。ものすごくよかったです。気持ちよいくらいに打ちましたし、よく決まりました。

つまり乗りました。

逆にゲーム2は名古屋DDの的を絞らせないディフェンスによって、あらあら4/21本(19.0%)。

同じチーム、同じ相手とは思えません。完全に沈黙です。

乗せるとすごいことになるけれど、オープンが作れないタフショットが続くとそのうちにオープンもイージーも入らなくなる。

これがアルバルクの悪い時です。

次に速い攻撃です。ミスを誘発されて(15TOV)ファストブレイクポイントは15点とられました。

アルバルクの中ではファストブレイクは絶対やられたくない項目です。打ち合いになってハイペース、ハイスコアは避けたいところです。

さらにリバウンドです。今シーズンリバウンドでやられた経験があまりありませんでした。

しかし、さすがにリバウンド2位のチーム(1位は三遠)です。ゲーム2では思うように獲得ができませんでした。リバウンド、セカンドチャンスでポゼッション、得点を稼ぐアルバルクとしてはリズムを掴めませんでした。

優位と不利は表裏一体、いつものアドバンテージがなくなると、そこには穴があります。

さて、今年は年末の佐賀戦で終わります。シーズンも約4割を消化したところですが、これから年初の川崎戦から2月には琉球、三遠と強豪との戦いが待っています。選手の皆さんには怪我の無いよう良いコンディションで強敵を迎えてほしいと思います。

今年もご愛読ありがとうございました!

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