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Bリーグ第24節アルバルクー島根。簡単に終わらない因縁の対決

一昨年のCSQF激戦の敗戦から昨年のQFでの辛勝。因縁の対決となったアルバルクと島根とのリーグ戦が、3/2(土)と3/3(日)にアルバルクホーム代々木第二体育館で行われました。

バイウィーク前、三遠との連戦で1敗を喫したアルバルクは勝率で宇都宮に並ばれており、一方の島根も渋谷SRに1勝を収めたもののその前に5連敗を喫していました。アルバルクは宇都宮、千葉Jと同地区の上位対戦を残しており、島根は西地区3位に順位を落としてCSワイルドカード争いをしている状況です。


双方とも負けられない状況にあった今節はゲーム1は79-87で島根の勝利。ゲーム2は90-80でアルバルクの勝利となり星を分け合う形となりました。アルバルクはこれで宇都宮に勝率で抜かれ東地区2位に順位を落としています。


いずれにせよ、両者はCSに進む可能性が高く、CSでの因縁の対決にむけて今節の戦いぶりが注目されるところです。


一歩も引かなかった両チームでしたが、戦略スタイルの違いが浮き彫りになったと同時に互いの負けん気、プライドがぶつかり合った熱い試合でした。

ゲーム1で出だし好調だったアルバルクの勢いを止めて島根のゲームに持ち込んだ島根の戦略と、ゲーム2でBACK TO BACKを成し遂げたアルバルクの修正、対応について追ってみたいと思います。

第1ゲームは誓哉とビュフォードのドライブ


第1ゲーム、序盤はアルバルクが好調の滑り出しを見せていました。
先制はロシターとテーブスのPnRからロシターのダイブでバスケットカウント。
(第1Q残り8:42秒 3-0)


続いてテーブスとサイズと小酒部による左サイドからのスペインピックでサイズがダイブ。右ウイングのロシターに展開してロシター→サイズのハイローでバスカン。(第1Q残り8分 6-2)


さらには小酒部とロシターのZOOMアクション(ピンダウン→ハンドオフ)、リピックからポケットパスを受けたロシターから→サイズのハイローが決まります。(第1Q残り6:14秒 13-4)


ここで島根がタイムアウトを取るまではアルバルクが得意のモーションセットで完全にペースをつかんでしました。

しかし島根はオフェンスから活路を見出します。
アルバルクは誓哉に小酒部、ビュフォードにはメインデルをマッチアップさせてピック対してハードショウを控えてファイトオーバーしてマンマークを優先させます。しかしスクリーンにかかったときはスイッチで対応していました。


そこで島根は、あえてスイッチさせてからスピードのミスマッチ(誓哉とロシター、ビュフォードとグダイティスなど)をつくり、ここから誓哉、ビュフォードがドライブをぐいぐい仕掛けて個人技で打開します。戦局をシンプルな打ち合いに導きました。

打ち合いからアルバルクにシュートミスが出てくると島根にDRからトランジションからの得点が生まれてきます。


谷口のDR→ビュフォード→津山の3P。
(第1Q残り1:25秒 22-17)

第1Qは24-20とアルバルクのリードは4点差に詰められました。トランジションからファストブレイクが出てくるとゲームは島根へと傾いていきます。

第2Q、第3Qは島根がペースをつかみました。
第2Q初めにケイの3Pで1点差(24-23)にすると、トランジションからの攻撃にオフェンスの幅が広がります。

ビュフォードのDR→プッシュ→ドライブ ビュフォード自らOR→誓哉1on1で橋本を抜き去る。(第2Q残り7:23秒 28-29)逆転。

誓哉のピックからのドライブに対してアルバルクはゴール前のビッグマン(サイズやグダイティス)がタグに入りますがマーティンがクリアアウトしてドライブコースを開けてドライブを助けます。

また、ビュフォードに至っては一歩でもペイントエリアに足が入っていればグダイティスなどのビッグマンにタグに入られても高確率でジャンプショットが決まります。

さんざん誓哉とビュフォードのドライブで切り裂かれてアルバルクのディフェンスが収縮してくると今度は誓哉の3Pです。


トップ左から誓哉がドリブルハンドオフでトップ右からくるビュフォードにボールが渡ると誓哉が折り返して右ウィングでモリスのスクリーンを受けてトップオブザキーでフリーです。ビュフォードからボールが戻りこの日1本目の3Pを決めました。(第2Q残り2:32秒 38-42)

ここから後半、誓哉は3Pのアテンプトが増えて最終的にはこの日4/9(44.4%)沈めます。

さらに誓哉とビュフォードのドライブが決まることで津山、ケイのキックアウト3P決まるようになり、第4Q残り7:39秒の誓哉のドライブで57-78(21点差)まで島根がリードします。

これに対し第4Q後半以降はアルバルクも粘りを見せます。メインデルの決定力を活かすテーブスのクロススクリーン、スペインピックからロシターのファウルドローン、メインデルの3P、フリースローなどでコツコツと第4Q残り3:21には71-81と10点差まで点差を詰めました。

島根の背中が見えた残り3:02秒、エンドインで誓哉から右トップのビュフォード→右コーナーの誓哉に返し、この日4本目の3Pが射抜かれます。誓哉Bリーグ通算800回目の3Pが決まって71-84と突き放されます。

それでも諦めないアルバルクは残り時間3分間で手数を掛けないメインデルとサイズのゴーストPnRの連発とDRからファストブレイクでメインデルの3Pが決まり、78-84と6点差まで点差を縮めました。しかし、反撃はここまで。ファウルゲームの末79-87の8点差で第1ゲームは島根に敗れました。


ドライブに対するヘルプと勝負どころのハードショウ

やはりアルバルクは守りのチームです。ゲーム2ではディフェンスの意識と強度を持つことでゲーム1の雪辱を果たしたと言って良いのではないでしょうか。

プライドと気持ちの強さは第2ゲーム初めから小酒部の誓哉に対するマンマークに見て取れます。


誓哉のトップからの1on1を小酒部がビタビタのマークでシュートを落とさせるとテープスがDR。
ここらかコーストトゥコーストでプッシュしたテープスは白濱を抜いてバックシュートを決めました。(第1Q残り8:36 4-0)

アルバルクはビュフォードのPnRに対してサイズ(グダイティス)はショウには行かずドライブ警戒でややドロップ気味でビュフォードをケアします。マークマンのメインデルは厳しくファイトオーバーします。スクリーンにヒットして遅れても追います。その間サイズ(グダイティス)と2人で追い、追いついたタイミングでケイやマーティンにマークを戻していました。

それでもペイントにかかれば決めてくるのがビュフォードです。ゲーム1の2ptは6/16(37.5%)ゲーム2では10/18(55.6%)とかえってアテンプトも確率も上げてきます。誓哉も2ptは6/12(50%)から4/7(57.1%)3ptは4/9(44.9%)から5/12(41.7%)と数字を上げています。これが2人が得点ランキングベスト3にランクインしている所以でしょう。

それでは、アルバルクのディフェンスは変わらなかった?もしくは効果なかった?と言われそうですが、その効果を1番表しているのがASとTOです。


島根のASはゲーム1では19本ですがゲーム2では9本に半減しています。また、TOに至っては7本から19本と3倍近くになっています。島根のTOは平均10.1本でリーグ2位の少ないチームですから年に何回あるかの数値です。

つまり、島根はビュフォード、誓哉がボールを多く保持したがボールが回らず孤立してミスを誘発されていた。と言えます。そのためこの日のビュフォードは5つ、誓哉は4つのTOをしています。そしてアルバルクは7つのSTを記録するに至っています。

アルバルクは第1Qでそのインテンシティ高いディフェンスとスペインピックを使ったメインデルのドライブ、ロシターのダイブなどで得点を重ね24-15と9点差のリードをします。

第2Qに入り島根が2-3ゾーンを使って目先を変ましたが、グダイティスのポストプレーでゾーンブレイクしています。一方島根も3本連続得点などビュフォードのアイソレーションで均衡を図り9点差のまま推移しました。


第3Qに入ると

誓哉がオフボールでモリスとのスクリーンを使ってトップからフリーで3Pを打つシューターセット。
(第3Q残り6:53秒 53-48)

白濱のフローター。
(第3Q残り6:10秒 53-50)

ケイのORセカンドチャンスポイント。
(第3Q残り5:45秒 53-52)

などで島根が1点差まで追いかけて来ます。

アルバルクのタイムアウト後、メインデルと誓哉が3Pを打ち合い、59-55と4点差となった第3Q残り3:25秒のアルバルクのディフェンスです。

誓哉とマーティンのPnRに対してグダイティスが前に飛び出して来ます。それまでのドロップ気味ディフェンスからハードショウで出動です。
誓哉からボールを奪うとロシターへ。ロシターのペイントアタックからディッシュを受けたグダイティスがジャンプショットを決めます。
(第3Q残り3:11秒 61-55)
島根タイムアウトです。

さらに、第3Q残り2:35秒、ビュフォードのペイントジャンパーをグダイティスがブロックしてDRを確保します。グダイティス→ロシターフロントコート左手から閃光一線。矢のようなロシターのパスがゴールに走り込んだメインデルに通って63-55の8点差になります。

さらにグダイティスが左コーナーでリバウンドを拾って単身ドライブでフックシュートでエンドワン(第3Q残り58秒 66-55)

アルバルクは第3Q後半のカンバックと勝負どころの攻撃的なディフェンスで勝利の流れを呼び戻しまた。

第4Qはテーブス、小酒部の3Pで一時19点差まで開きましたがビュフォードのペイントアタック、誓哉、白濱の3P、残り48秒になって誓哉のフローターで粘ります。(86-75)11点差。

島根はなんとか昨日の得失点差8点差以内に詰めて同一カード優位をもぎ取りたいという負けん気と意地を見せて最後まで諦めません。

残り8.2秒 誓哉のバックステップ3Pを決めて88-80。8点差です。アルバルクのタイムです。


ハーフコートからリスタートしたアルバルクはラストポゼッションのサイドイン。


左サイドラインからテーブスが右ウィングの小酒部にロングイン。サイズがクリアアウトしたコースにドライブしてレイアップ。
(第4Q残り5秒 90-80)

第2ゲームはアルバルクが勝利を収めました。
今シーズンは1勝1敗のイーブンです。


島根とのゲームはいつも熱戦、混戦、激戦となります。決着はステージを上げた場所で見せてもらいたいと切に願います。

photos by kii





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