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Bリーグ第33節アルバルク-千葉J。1点2点の積み重ねで得た勝利

堅実とか地道とかそんな言葉が東京のチームにマッチするのかはよくわかりませんが、エリート集団とか言われたアルバルクは実は地味な勝ち方をするチームです。今節はそれが良くわかる試合内容だったと思います。


4/17(水)、平日ナイトゲームにもかかわらず、アルバルクのホーム代々木第一体育館に10413人(Bリーグクラブ主管最多入場更新)を集めて千葉Jとのレギュラーシーズン最終戦が行われました。

シーズン残り7試合となり首位宇都宮から2ゲーム差の東地区2位のアルバルクは週末の宇都宮との直接対決を控えて負けられない試合でした。
結果は78-67で千葉Jを下し東地区優勝争いの土俵に踏みとどまることができました。


さて今回は、スミス、ムーニーが怪我から復帰してEASL、天皇杯優勝時の強さが戻ってきた千葉Jに対してアルバルクはどのような戦い方をしたのかを追ってみたいと思います。


完璧な出だし、アルバルクのペースに持ちこんだ前半。


千葉JのジョンパトリックHCは試合後「第1Qが特に戦う準備ができていなかった。スローペースの展開から相手のインサイド陣にイージーレイアップやセカンドチャンスポイント等で50点以上決められてしまいそこに差が出てしまった。」と語っています。

第1Qはアルバルクにとって理想的な展開でした。
オフェンスでは今まで使ってこなかったセットで千葉Jの目先を狂わせることに成功したように見えました。


第1Q残り9分30秒アルバルク最初の攻撃。
テーブスが左トップ、左スロットにサイズ、左コーナーに小酒部、右コーナーにメインデル、右スロットにロシターでエントリーします。


いつもならば右からピンダウン→トップでハンドオフ(ズームアクション)→左に行ってドリブルハンドオフ→PnR(マイアミアクション)と展開します(もしくは左サイドでスペインPnR)がこの日はアプローチを変えていました。

右コーナーメインデルがロシターのダウンスクリーンを使って上がります。
テーブス→メインデルにパス。
左コーナーから小酒部がサイズのダウンスクリーンを使って上がります。
小酒部←メインデル。
ロシターが小酒部にピックするために上がり、サイズが対角の右ショートコーナーに下がりハイローポジションを取ります。
小酒部とロシターが左トップでPnR→ショートロール→ロシターへポケットパス。
ロシターが右コーナーに移動したメインデルにキックアウト。メインデルの3Pが決まりました。(3-2)


試合後に富樫が「ディフェンスで準備してきたことが全く出せなかった」
とコメントしていますがこの日何度か使ったこのセットも対策のあてが外れたひとつかもしれません。


また、ディフェンスでは1対1でフィジカルに張り付きバンプして相手を自由にさせず、手を広げてコースにディナイします。


第1Q残り7分4秒には千葉のトランジションを防ぎます。


原のST→富樫→ムーニーの速攻をメインデルが先回りして外させクックスの2回のOR、さらにムーニーのORと3回のセカンドチャンスを阻んでロシターがDRを獲得します。(第1Q残り6分51秒)


この日はアルバルクもそうでしたが比して千葉Jのシュートの確率は低かったのです。


千葉J 4/17 2P        15/41 36.6%
                       3P          8/34 23.5%
千葉J   平均     2P        21/39 53.9%
                       3P        10/32 31.6%
A東京  4/17    2P        23/45 51.1%
                       3P           4/21  19.0%
A東京 平均    2P         22/42 52.9%
                       3P           8/23 34.5%
※平均値の成功数/試投数は小数点以下を四捨五入して掲示しています。



千葉Jは2Pも3Pもこの日のショット確率が悪かったことが見て取れます。つまりはアルバルクのディフェンスが機能していたことを意味します。
一方、アルバルクは3Pの確率がとても低かったです。第1Qこそ3/7(41.2%)と高確率でしたが千葉Jのディフェンスの強度が上がった第2Q以降は1/14と1本しか決まりませんでした。(これは問題視してほしい)



したがって両チームともショットが不安定であったためリバウンドの総数は高くなります。リバウンドは両チームほぼ互角であったと言って良いでしょう。

A東京  OR 17  DR 35  TR  52
千葉J   OR 18  DR 28  TR  46 


ただしアルバルクのセカンドチャンスポイントは千葉Jの10点に対して24点と大きく離しています。このあたりに、リバウンドを取り切って次の攻撃に粘りを見せたこの日のアルバルクのメンタルの強さが感じられます。



ともあれ、第1Qはアルバルクが25-13と12点リードして第2Qも千葉Jの攻撃を13点に抑えて前半を42-26と16点のアドバンテージをとることに成功しました。

後半追い上げる千葉JにFTでつなぐ


第3Q以降の千葉Jは明らかにディフェンスの強度が上がりました。併せて3Pシュートが当たりだします。後半開始早々にブラウン。第3Q残り6分32秒と残り31秒にスミスが2本、残り3分15秒には原が沈めて火力のある千葉Jの片鱗を見せつけます。

3Pが当たりだしたら10点差なんてあっという間ですから、千葉Jや宇都宮などの3Pを量産するチームとの対戦は気が休まりません。


一方のアルバルクは第3Qにはいって4分間はペイントアタックはするも、全くFGが奪えませんでした。この時アルバルクの得点をつないだのは、ファウルドローンからのFTでした。


特に第3Qは12/17本。
(まるで1試合分の数字です)
ゲーム通すとなんと20/31本です。そのうちサイズのFTは13/14本です。チームの65%分のFTメイクをサイズが担ってくれました。



千葉Jがアルバルクのビッグマンに対して厳しくディフェンスについたため、ファウルが嵩んでこれだけのFT試投数になったのだとは思います。 


しかし、アルバルクは確率の高いFTの1点をコツコツと20点もの得点に結びつけています。
千葉Jのような爆発力のある3Pチームとは対照的に、堅い守備を背景として1点、2点のプレーを堅実に積み上げて勝ちに近づけるのがアルバルクのバスケットなんだとこの試合を通して実感しました。


さて、第3Qは66-47と19点差をつけて最終クォーターに入ります。


富樫タイムの予感を打ち砕いたザックのタフショット


第4Q初めにサイズの14本目のFTが外れてから千葉Jが攻勢をかけてきます。


ムーニーのダンク(第4Q残り8分2秒 69-51)
アーリーオフェンスからブラウンのカットインに富樫がアシスト。
(残り7分22秒 69-53)
ムーニーのFT(残り3分27秒 73-57)

そして残り3分で富樫タイムの予感です。
富樫とムーニーのピックからトップから富樫の3P
(残り2分59秒 73-60)

すでにボーナススロー状態のところ安藤からファウルドローン。
富樫のFT(残り2分16秒 73-62)
今度は小酒部からファウルドローン。
富樫のFT(残り1分48秒 73-64) 9点差。


第4Qで10点詰めた千葉Jに流れが傾きます。


しかし、ここで軌道修正してくれたのが、スミスのマークを振りほどいてタフ3Pを打ち切ったキャプテンザックです。
(残り1分47秒 76-64) 12点差。


ザックの一発で勝利が見えました。ゲームは原の3P、テーブスのFTを経て 78-67 でクロージングです。


千葉Jとのビッグゲームを終えてひと山超えました。ですが残り6試合もう負けられません。怪我せず、集中力をもって残りのゲームに臨んで欲しいと願います。


次は東地区1位を走る宇都宮と敵地日環アリーナ栃木で対戦します。
ここでシーズン最高のゲームをして東地区優勝への望みを繋いでほしいと思います。

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