born to meet him
僕たちのチームは草野球チームだったが、ある人が有志で監督を務めてくれていた。
監督は大学で英文学を教えているアメリカ人で野球経験者だった。彼は日本のことをよく知らないが、彼の奥さんが日本人だったこともあり、2年前に来日してこの大学で職を得た。奥さんと二人の娘との生活はとても幸せなものだった。しかし、毎朝仕事にむかうために家をでたあとは、彼は充実しない毎日を過ごしていた。
Why am I here…?
What I want to do is ... what?
彼は自分のなすべきことを自問していた。彼はアメリカで二つの学位をえていた。英文学、そしてスポーツ科学。来日する前は大リーグ所属のチームでフィジカルトレーナー兼アシスタントコーチをしていた。彼はプレイヤーとしても大リーグで1シーズンプレーした経験もあった。
来日してからも彼は野球関係の仕事にもちろんつくつもりだったし、そのために必要な活動も行った。しかし土地柄そういった仕事はなく、大学にはスポーツに関する学問は扱っていなかったのでいまの職につくことにしたのだった。
授業を終えた彼は所属する大学の事務室に向かう途中にあるグラウンドで、デシッ!!とすごい音を立ててキャッチボールをする青年たちを見かけた。
oh, baseball...
I haven't played it for a long time.
...Oh...wait...
wait wait wait !!
Wh, wh , what is that ball !?
oh, my goodness!!
He is ... the monster...!!!
それはもはや感動をも超越した感情で、いまにも溢れ出しそうになる涙を越えら目を赤く鋭く光らせ頬を紅潮させていた。彼はもはやそれが自分の意志なのか、神の思し召しなのか考えることすら憚れる問の中で気づけば青年たちのもとに向かって駆け出していた!
それは彼の人生が新たなステージに登る坂道ダッシュだった!
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