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初めて雪を見た猫

肉球を白い吐息が包む

白銀の世界に佇む猫

白い毛と同化し

青い眼差しだけがこちらを見ている

あどけない足並みに合わせて

交互に足を進めていく

幼子の頃の記憶がないように

雪を初めて見た感情を忘れてしまった

懐かしさと切なさが混じり

白の壁に飛び込む

自分の形と猫の形

大小のポリリズムで踊り出す

リズミカルに尻尾を振り

負けじとこちらはお尻を振る

フル回転する尻尾

我慢できずに森へ帰る

人間とは忘れる生き物というが

猫はどうだろうか

楽しいことだけを続けていくと

悲しいことが起きたときの

インパクトが大きく刻まれる

そして

残るのは果物ナイフで貫かれた

心臓のみとなる

初めてを繰り返すことで

人生もより豊かになるだろう

心が豊かになるからだ

マンネリと変化を経て

伝統へと昇華する

気づくと夜になっていた

晩御飯はあの子の好きなシチューにしよう


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