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アメリカ人と日本人のお金に対する考え方の違い

日本ではサラリーマンをしている限り確定申告の経験をしない方もたくさんいるかと思いますが、アメリカでは基本全員が確定申告を行わなければいけません

私はそのことが結果的に日本人とアメリカ人のファイナンシャルリテラシーの差につながっていると考えています。本稿ではアメリカ人と日本人の基本的なお金に対する考え方の違いを紹介したいと思います。

アメリカの確定申告

アメリカでは例年4月15日が提出期限なので、この時期には街のあちこちでお手伝いをしてくれる税理士の立て看板を目にします。ただここシリコンバレーでは、多くの人がTurboTaxというソフトを使って電子申告しています。

最近ではwebで申告書を作ってくれるサービスなど他のソフトも使われ出していますが、30年以上蓄積されたノウハウや顧客データベースを強みにTurboTaxが業界ナンバーワンの位置をキープしています。実際私も一時期違うソフトを使ったこともありますが、やはり使いやすさや分かりやすさが他のソフトとは違い翌年にはまた舞い戻った次第です。

インタビュー形式で各質問に答えていくだけで、複雑な金融資産の売買などがなければものの1時間もかからずに終えることもできます。さらにアメリカでは連邦と州の両方別々に申告しないといけないのですが、両方とも申告まで同じソフトでできるし、査察が入った時のサポートまでしてくれます。

芽生える節税への意識

そんな感じで毎年自分で申告するようになって何年かすると、だんだんと節税に対して普段の生活でも考えるようになってきました。

401k - 確定拠出型年金

例えば401kと言われるアメリカの確定拠出型年金。希望した額が給料から天引きされ、証券会社の年金口座へ移されるのですが、天引きされた額は所得控除扱いになり、年金口座から将来引き出した際に所得税がかかります。現役の時は収入も多いため税率が高いけど、引退後に引き出す際には収入が少ないから税率も低く結果トータルで支払う税金も低くなる、という考えがベースとなっています。加えて税引き前の給料を年金口座に廻せるため、通常より多く投資できると。

他にも通常の401kとは別のRoth 401kを使う人もいます。こちらは税引後のお金を投資するのですが、引き出す際には投資から得た利益も含めて課税されません。

アメリカの福利厚生と節税制度

さらに会社の福利厚生なども節税や投資を意識したプログラムが多数あります。例えば前述の401kを行っている社員に対し、天引き額に会社が数%上乗せしてくれるマッチングプログラム。この制度によって社員の401kへの参加を後押ししてくれます。

他にも子供の大学費用を積み立てて投資する通称529では、高等教育に使うという目的であれば投資から得られた利益に課税されません。

これら制度についてはアメリカにいる社会人であれば大多数の人が知っており、使っている人も多くいます。その理由として考えられるのは、制度の設計がよく考えられていることもそうですが、そもそも毎年確定申告を行う中でどうやれば節税できるか考える事が多いからだと思います。

投資に対する考え方の違い

日本では多くの人が投資をギャンブルのように捉えているように感じますが、このようにアメリカに住んでいる多くの人がほぼ何らかの投資を行っています。もちろん短期的な投資はギャンブルと変わらない一面もありますが、年金などの投資は長いスパンで利益を確保する長期投資なので、目先の評価額の上げ下げに一喜一憂することはありません。

逆にアメリカでは銀行に預けてても意味がないと考える人がほとんどで、一般的にリスクの高い株式投資であれば年利10%、債券などであれば5%を目指すと言われています。私の場合、将来働けなくなった時のための401kやRothは安定してるインデックス投資に、短期的なものに関しては自分が詳しいテック分野へ株式投資しています、

このように日本人でも、アメリカで生活していると自然に節税や投資に対する理解が増えてきます。それはやはり確定申告を自分でやるようになって、如何に税金を減らす事が出来るかと意識を持つようになったからです。

ファイナンシャルリテラシーが国の未来を左右する?

アメリカに住んでて感じるのは、国民の多くのファイナンシャルリテラシーが上がるとともに様々な新しい制度や税制改革が生まれ、その結果政策や経済にも良い影響を与えていると思います。

逆にファイナンシャルリテラシーの低いと、年金や投資も行なうどころか利率の高いクレジットカードのリボ払いに苦しみ、大学に行くためにさらに多額の借金を抱える、という負の連鎖に陥りそれが貧富の差が広がる原因になっているとも言われています。

まだまだ日本では「お金は貯めるもの」という教育が強く、義務教育の中でお金について学ぶ機会があまり多くないと思います。それと比べアメリカでは小学校から利息の計算や複利について算数の時間に学び、高校では経済学やビジネスを選択授業として選べるところもあります。

日本でも最近では積み立てNISAなど投資に関する関心や報道も増えてきて、若い世代のファイナンシャルリテラシーは上がってきていると思いますが、今後はもう少し子供の時から投資や経済についても率先して教育に組み込んでいければ良いのになと感じています。

また、この投稿読まれているサラリーマンで一度も確定申告されていない方には、節税に対して考えるきっかけとなるので一度やってみることをオススメします!

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