割合「%」を正確に読みとく
服屋さんに行くと、セール時期などにはこういう表記がよくある。
で、服の値札を見てみると、いくつかの商品は半額、つまり50%OFFになっている。
僕はこの表記にいつも違和感を感じる。
「30%OFFからさらに20%OFFする」というのは、
$${(1-0.3)×(1-0.2)=0.56}$$
となるので、本当は44%引きになるのだが…。
まぁそんなことを店に伝えて6%分損するのも何なので、勘違いしていただいたまま、ありがたく半額で購入させていただく。
また、以前某ニュースサイトでこんな記事を見た。
こちらも同じく、7.2%値上げの後に7.8%値上げしたのだから、
$$
(1+0.072) × (1+0.078) = 1.55616
$$
なので、正確に書くならば約15.5%または15.6%の値上げだ。
だいたい15%であることには変わりないが、小数点以下1桁まで表記をしているなら、15.0と書くのは違和感がある。
それなりに大きなニュースサイトがこういう数字に無頓着なのは驚きだが、その記事のコメントには数字について言及している人が1人も見られなかったことにも驚いている。
まぁ、このニュースサイトにしてこの読者あり、と言ったところだろうか。
というように、%で表される「割合」は簡単に足し算引き算してはいけない、というのが数字を扱う上での基本だ。
数字を扱う人にとっては常識的な話なのだが、意外と世の中の多くの人にはこの感覚が無いようなのだ。
割合は取扱いがそこそこ難しく、数字に強い人ほど警戒する数字である。
例えば、こんな架空のアンケートを考えてみる。
では、このアンケート結果から、以下のことについて考えてみる。
このアンケート結果において、「『家庭』と回答した人は、女性は男性の2倍いる」と結論づけて良いか?
答えは「NO」である。
女性の回答割合は30%で男性の回答割合は15%。一見、男性の2倍女性の方が多く回答しているように思えるが、これは、男女それぞれの回答数が同じ場合のみに当てはまる。アンケートには「男女500人」としか書いておらず、男女それぞれ何人ずつ回答したのかは明記していない。
例えば男性400人、女性100人から回答を得ているなら、男性は
400×0.15=60人
女性は
100×0.30=30人
で、なんと男性からは女性の2倍の回答を得ていることになる。
と、現実にさすがにここまで酷いアンケートや統計データは無いだろうが、割合は絶対数で認識してはいけない。その規模感を知るには母数がいくらなのかを必ず確認しなければいけない、というのはなんとなくわかっていただけたのではないだろうか。
割合「%」は、人を騙すのに非常に使える数字である。
極端なことを言うと、20人の顧客に聞いて1人を除いて「サービスに満足した」と回答(つまり20人中19人が満足したと回答)をもらえば、「顧客満足度95%!」と言えてしまう。3回しか打席に立っていないのにヒットを一回打てばそのバッターは打率3割を超えるバッターになる。
交渉や会議など双方の利害に影響を及ぼすような場面で、相手が何かしらの数字を%などの割合で示してきたら、その時は「こいつは何か隠してる」と疑っておけば、まず騙されることはないだろう。
ここに書くにはあまりにも長文になるのでやめておくが、他にも%に関する話題はいくらでもある。
みなさん、%にはご注意を。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?