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ドバレビメソッド⑦「日々の練習&脳の話」〜譜面に弱い人のためのソルフェージュ

ドバレビメソッドとは
これはピアノの黒鍵に「バビブベボ」という呼び名をつけたソルフェージュ(読譜法/唱法)です …ただそれだけであります。

以前の章はこちら↓から
 
①「ドバレビとは?〜その誕生」
 >②「これまでに提唱された色々な階名」
 >③【重要】「その利点と完成形!」(←初めての方はここからどうぞ)
 >④「そのおぼえ方」
 >⑤「固定ドと移動ドの使い分け」
 >⑥「スケールを歌う/ドバレビ楽譜」

アルファベットで表した完成形

ドバレビメソッドを自由に使いこなせるようにするため、日々の練習方法をいくつか紹介します。

ここでは練習といってもフィジカルなものではなく、第①章でもお話しした「間違えないで弾ける」ようになることが目的(うまいヘタはまたその先の話になりますのであしからず)です。
その練習をするための”脳の使い方”についても触れていますので、メソッドの習得以外にも色々参考になると思います。

楽器を弾いたり歌ったりすることは、結局のところ脳からの指令です。
私はこのドバレビメソッドの思案中に、脳の使い方や記憶のメカニズムに関する書物も色々と読んでみました。その中で参考になったことも交えていますので、これらの練習を続けていればある時突然、耳から聴こえたメロディーが自然とドバレビ階名に変換されるようにきっとなると思います。
とにかく楽しみながら是非やってみて下さい!

イメージトレーニング

通勤・通学時やお風呂の時間、就寝前の布団の中など、楽器や音のない場面でもできるイメージトレーニング。
ここでは「曲をおぼえる」ということに焦点を当てていきます。

例えば人の顔をおぼえる際に名前を知らないといつの間にか忘れてしまいますよね?逆に顔と名前が一致してる人のことは中々忘れません。
それと同様に楽器も運指のイメトレだけではおぼえにくかったものが、音程に名前をつけることによって断然おぼえやすくなるのです。
もちろんここで言う音程の"名前"とは「ドバレビ階名」のことです。

やり方

①紙に書
おぼえたいメロディーをドバレビ階名または五線を使わないドバレビ楽譜第⑥章参照)であらかじめノートやメモ用紙に書いておきます。
英単語をおぼえるときに使う単語帳やスマホのメモアプリなどでも良いでしょう。
そしてメモした文字を見ながら実際に楽器を弾きます。

②イメージでおぼえる
次は楽器を持たずに先ほど弾いた場面を思い出して、メモだけを見ながら楽器を弾く時の運指(ギターなら指板、キーボードなら鍵盤)と音程(メロディ)をイメージします。
先ほどの人の顔の例でいくと、名前だけを見て顔と性格を思い出すような感じです。

ここで重要なポイントが「文字」「音」「映像」の3つをしっかりリンクさせてイメージすること。
3方向からイメージづけることで、仮にどれか1つがわからなくなってもすぐに思い出せるのです。

③イメージを脳内で繰り返す
最終的にメモを見なくても階名と運指をイメージできるようになれば完璧!
またまた人の顔の例で言えば、何もない状態でふとその人のことを思い出してしまうような状態です。

応用編

ちなみに私はギターソロもこれで練習していますが、速いフレーズなどはなかなか全部をおぼえるのは大変。
そんなときはフレーズごとに区切って、出だしの数音やポイントとなる音だけおぼえておくというのも手です。
意外とそのあとのフレーズは指が自然に動くこともあるので、おぼえなくても弾ける部分は、敢えて頭に詰め込み過ぎない方がいいかもしれません。

効果

イメージで脳を鍛えることは実際に楽器を持って練習した場合と比べても7〜8割もの効果があるそうです!
楽器を持たずともできるので、授業中や仕事中にもできてしまいます(いやいやだめですよ…)。


耳コピ力をつけるトレーニング


第6章「便利な使い方」でも少し説明しましたが、ここでは楽譜のない曲(耳コピ)を前提にトレーニングしてみましょう。

とにかく自分の好きなメロディーやフレーズを片っ端からドバレビ階名で弾いたり歌ったりするのです。
私にとってこれはギターを抱えたまま何時間も続けてしまうほど楽しい練習で、このメロディーはこの音程だからグッとくるのか!…など色々な発見があると思います。
ボーカリストには階名をイメージしながらハミングで歌うのがおすすめ。ハミングはしっかりした音程感覚を身につけるのにとても良い練習方法でもあります。

初めは2〜4小節くらいの短いフレーズやリフがよいと思います。
最近のJ-POPでは転調をしている曲も多く、判別しにくい曲が結構あるので、なるべくシンプルで音数の少ない曲を選びましょう。
小さい子でも歌えるような童謡などもおすすめです。

やり方

この練習は固定ドよりも移動ドの方がメロディーの解析がしやすいので、ここでは移動ドで行うことを前提に説明いたします。
固定ド派の方はこれを参考に、固定ド読み、もしくは第⑤章で紹介した「イニサヨゴロナ+バビブベボ」を使うなど、適宜アレンジしてみてください。

①メジャーかマイナーかを判別する
まずはその曲がメジャーかマイナーかを感じとります。明るい雰囲気ならメジャー、ダークな雰囲気や悲しい感じならマイナーです。

②「ド」になる音を探す
移動ドで行う場合はまずその曲の基音=「ド」になる音を探さなければなりません。
そのフレーズを聴き終わった後に、自分で「ジャ〜ン」とエンディングをつけてみてください。その一番落ち着く音がおそらく「ド」です。

③スケールを合わせてみる
その「ド」からスケールを弾いて(歌って)みます。メジャーなら「ドレミファソラシド(メジャースケール)」、マイナーなら「ドレビファソベボド(ナチュラルマイナースケール)」です。
曲の雰囲気とピッタリ合っていればOK!もし合っていなければ「ド」と仮定した音程が違う可能性があります。
またどうしても合わない場合はメジャーorナチュラルマイナー以外のスケールの可能性もあるので、一旦あきらめて別の曲にしましょう(笑)。もう少し上達したらまたその曲に挑戦してみてください。

④最初の音を探す
ほとんどの曲はルート「ド」、3度「ミまたはビ」、5度「ソ」のどれかからはじまることが多いです。まずはそれを念頭に置き、スケールを弾いたり歌ったりして、最初の音が何の音なのかを探してください。
どうしてもわからない場合は選曲が難しすぎたかもしれません。これまたあきらめて別の曲にしましょう(笑)。

⑤メロディーの音を探す
最初の音がわかればあとの音はスケールに当てはめていくだけです。わからなくなったら「♪ドレミファソ〜」とスケールを弾いたり歌ったりして、ピタリとはまる音を見つけていきます。見つかったらドバレビ階名でメモしておきましょう。

ちなみに歌いやすいメロディは隣の音、もしくは1つ飛ばしの音に進行している場合が多いです。
例えばメジャーキーで「ド」からスタートすると…
 隣の音の場合:「ド」→「レ」または「ド」→「シ」に進行
 1つ飛ばしの場合:「ド」→「ミ」または「ド」→「ラ」に進行
必ずしもとは言えませんが、参考にしてみて下さい。

⑥繰り返し弾くor歌う
せっかく解析できても一度や二度ではすぐ忘れてしまうと思います。
大人になると「おぼえよう!」と意識していないものはなかなかおぼえられません。「おぼえるべきもの」と「忘れていいもの」が無意識に仕分けされてしまうそうです。

脳には短期記憶長期記憶という2種類の記憶領域があるそうで、パソコンのメモリとハードディスクに似ています。
例えば電話番号などを聞いた後、すぐならば復唱はできるけれど、数分したらもう完全に忘れてしまいますよね?一旦忘れてしまうと短期記憶は初期化されてしまいます。
この短期記憶を長期記憶として保存する方法は、忘れる前に繰り返し復習することです。

具体的には一旦別のことを考えて1分後にもう一度、3分後にもう一度、30分〜1時間後にもう一度、半日後にもう一度、翌日にもう一度、3日後にもう一度…といったようにスパンを徐々に長くしていくと、脳が「忘れちゃいけないものだな!」と認識してくれるらしいですよ。

効果

この練習を続けていればいつかきっと「メロディーが階名で聴こえる」ようになるはず。
私もまだそこまで極めてはいないのですが、耳から聴いた音を楽譜なしで楽器で弾くといった、誰もが憧れるようなこともきっとできるようになるでしょう。
そうなれば曲をおぼえるという作業がぐっと楽になるだろうと信じて、日々トレーニングしています。


トランプを使った音感トレーニング

ドバレビメソッドを考案中にちょっと面白いトレーニングを思いつきました。
トランプの数字1〜8を白鍵の「ドレミファソラシド」、9〜13を黒鍵の「バビブベボ」に見立てて音を当てていくゲームです。
前途のトレーニングと並行してやれば効果倍増!!

↑カードとドバレビ階名の対応表

用意するもの

トランプ、鍵盤楽器(スマホのアプリでもOK)

やり方

①ジョーカーを除く52枚をシャッフルし、すべて重ねて山にします。

②鍵盤で「ド」の音を弾いて基準の音を確認します。

③トランプを1枚めくり、出た数字の音程(上記の対応表を参照)をハミングします。
例えば3が出たら「♪ミ」、11(ジャック)がでたら「♪ブ」の音程。

④ハミングした音が正解かどうかを鍵盤で確認します。

⑤正解だったらそのカードは別の場所へ、不正解だったら元の山の適当なところに戻します。

以降同じように②〜⑤を繰り返します。慣れてきたら②は省いても構いません。
山のカードがすべてなくなったらゲームクリアです!

・ジョーカーを1枚目に入れ、そこをスタートにすれば山を使わず片手で持ったままでもできます。
・トランプがない場合はトランプをめくるだけのスマホアプリもありますので探してみてください。

応用編

はじめはいきなり全部の音は難しいと思うので、1〜8の白鍵カードのみを使い「ドレミファソラシド」だけでやるのがおすすめです。
(それでも難しい場合は1〜5の「ド〜ソ」だけに減らすなど、自分のレベルに合わせてみてください)
慣れてきたら黒鍵である9〜13を入れたいところですが、これもいきなり5音増やすのは難しいので重要な音から1音ずつ足していきましょう。第④章「そのおぼえ方〜フレーズで歌ってみよう」の優先順位(Va, Vo, Ve, Vu, Vaの順番)で増やしていくと良いと思います。

また余力が出てきたら下記のようにさらに難易度を上げていくことも可能です。
・時間を計って、できるだけ短い時間でクリアできるようにスピードアップを目指す
・カードを2〜3枚ずつめくって、2〜3音をまとめて当てていく
・黒いカードと赤いカードで2オクターブの音域に分ける

など、個々のレベルに応じて色々アレンジしてみてください。

効果

音感トレーニングは自分で問題を出して自分で答えるといった方法が中々ないと思うのですが、このトレーニングの利点は

・一人でいつでも短時間でできる
・自分のレベルに合わせて難易度を変えられる
・苦手な音だけ集中してトレーニングすることができる
・ハミングをすることで歌もうまくなる
なとなど。

音感トレーニングのアプリやYou Tubeなども色々試してみましたが、この方法が一番短期間で自分のスキルアップを実感できました。
耳で聴いた音を当てるよりも、イメージした音を自分で発声する方が圧倒的に上達が早いと思います。

単純ですが最強のトレーニング法だと思いますので、是非やってみてください!


ドバレビメソッド⑧「コード進行をおぼえるドバレビルート術」へ続く

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