見出し画像

ドバレビメソッド②「これまでに提唱された色々な階名」〜譜面に弱い人のためのソルフェージュ

ドバレビメソッドとは
これはピアノの黒鍵に「バビブベボ」という呼び名をつけたソルフェージュ(読譜法/唱法)です …ただそれだけであります。

以前の章はこちら↓から
 
①「ドバレビとは?〜その誕生」


これまでにも私と同じような発想で黒鍵に名前をつけた読譜法/唱法はいくつか存在しています。

私は色々な方法を調べ、すべて試してみました。
どれも本気で使えるようになりたくて、それぞれ数ヶ月〜半年くらいかけてじっくり取り組んでいます。しかし、私個人的にはどうしてもしっくりくるものがありませんでした。

そのいくつかと理由を以下に紹介します。

英米式ソルフェージュ

英語圏では「Do Re Mi〜」のイタリア式音名を基礎としつつ、黒鍵には♯の場合と♭の場合の2つの呼び名が存在します。
基本的には♯は母音をiに、♭は母音をeに変えて発音。唯一「Re」の場合は元々母音がeなので♭はaに変化します。

英米式ソルフェージュ

これはバークリー音楽大学などでも使われており、メジャーキーでもマイナーキーでもルートは「ド」。
その上でマイナーならば「♭Mi(♭ミ)」を「Me(メ)」と発音することで、「ミ」と区別します。

しかしこの方式でいくと「♭La(♭ラ)」は「Le(レ)」となります。
ネイティブな英語の発音では「Re」と「Le」は全く別物らしいのですが、我々日本人にとっては「Re」も「Le」も同じ「レ」という発音になってしまいます。

ロックやジャズをやるならやっぱり英語だろっ!と奮起し「Re」と「Le」の発音を区別しようとしばらく頑張ってみました。
がしかし、生粋の日本人であり江戸っ子の私にはあまりにも難しすぎて結局断念してしまったのでした…。


ただ、英米式ソルフェージュにはこれはナイス!と思った点もありました。
「ドレミファソラシド」はアルファベットで書くと「Do Re Mi Fa So La Si Do」。「ソ」と「シ」の子音がどちらも「S」となります。しかし英語圏ではそれを避けるため「Si(シ)」を「Ti(ティ)」としています。

すると「ドレミ〜」は頭文字だけで表すことが可能になり、「D R M F S L T」で書けてしまうのです。これはおたまじゃくしに階名をふるときにとても便利です。
カタカナよりも圧倒的に早いし、そもそもカタカナで書いてあると誰かに見られたときなんかカッコ悪いですしね(笑)。

ここで出てきた「シ=Ti」という図式はこの先ドバレビメソッドでも使いますので、是非おぼえておいてください。


西塚式(通称:ドデレリ唄法)

1970年代に西塚智光氏が日本の音楽教育向けに提唱した階名で、♯も♭まとめて黒鍵1つにつき1つの呼び名で統一させたものです。

西塚式

例えば「Do(ド)」と「Re(レ)」の間の黒鍵は両者の中間ということで「De(デ)」と発音。同じように「Re(レ)」と「Mi(ミ)」の間の黒鍵は両者の中間をとって「Ri(リ)」と発音します。
ただしこの法則では発音しにくい音もあるので、英米式などを元に適宜イメージが合いそうな文字が当てはめられています。

カタカナで書くとこのようになります。

カタカナで書いた西塚式

この方式はかなり行けそうな気がして、ずいぶん練習してみました。

ところがおたまじゃくしに階名をふるときにカタカナで手書きすると「ソ」と「リ」の区別がつきにくく、そこで混乱してしまうという、使いにくさがありました。

また「♭シ=チ」が英米式の「シ=Ti」と混同しやすく、アルファベットで表しにくいのも難点でした。このあたりがいまいち一般に普及していない理由なのかもしれませんね。
それでも強引に小学校の授業でこれを教えられていれば、今より苦労しなかったかも。西塚さん、ほんと惜しいです…。


その他の階名法

さらに遡ると日本ではこれまでに様々なものが考案されていました。
アカサタナを使ったアカサ式、イロハを使った拡張イロハ式、西塚式の元となった佐藤式など。しかしそのどれも一般には浸透しなかったようです。
またクラシックの本場ドイツではレ#=Dis、レ♭=Desなどと呼ぶそうですが、こりゃもう全然無理ですね(笑)。
興味のある方はWikipediaのこのページを参照してみてください。


独自ミックス式

WEBを検索していると、上記を元にして自分の呼びやすいようにアレンジしている方もいらっしゃいました。
ならば私もそれぞれの良いところだけを抜粋して混合させてみようと思い、
その結果

「ド・デ・レ・メ・ミ・ファ・フィ・ソ・サ・ラ・テ・ティ・ド」

という並びを自ら考えてみました。
「シ」は英米式の「ティ」を採用しています。

これをアルファベット(白鍵は頭文字のみ)で表すと

「D・De・R・Me・M・F・Fi・S・Sa・L・Te・T・D」

独自に考えたミックス式

これで様々な問題点がクリアできました。この階名を譜面に書き込み、ライブで1ステージやってみたところ、見事にほぼノーミスでこなすことができたのです!

さて、ならばこれを小学生の我が子にも教えてあげよう!
…と思ったのですが、複数の方法をミックスしているため、黒鍵につけた名前の根拠を説明するのに、ここまでの英米式ソルフェージュや過去の階名法を紹介してからでないとうまく説明できません。
仮にその説明をすっ飛ばしてしまうとただ丸暗記するしかなく、非常におぼえにくいのです。

こうなってくると、結局何でも好きな言葉でいいのでは?と思えてきてしまいました。
その結果、初心に戻ってやはり単純明快な「バビブベボ」でいんじゃね!?と再確認したわけであります。

私の中では今まで何故誰もこうしてないの?と不思議に思うくらいこれが一番わかりやすくて合理的。唯一欠点をあげるとしたら、他人に「なにそれ?」と思われることくらいでしょうか(笑)。

思いついてから何年も経ち、かなり寝かせておりましたが、その中でたくさんのアイデアも得られました。
この「ドバレビメソッド」が他の誰かの音楽ライフに少しでもヒントを与えることができたら嬉しいなと思い、今回その使い方やおぼえ方などをまとめてみた次第であります。


ドバレビメソッド③「その利点と完成形!」へ続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?