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ドバレビメソッド⑤「固定ドと移動ドの使い分け」〜譜面に弱い人のためのソルフェージュ

ドバレビメソッドとは
これはピアノの黒鍵に「バビブベボ」という呼び名をつけたソルフェージュ(読譜法/唱法)です …ただそれだけであります。

以前の章はこちら↓から
 
①「ドバレビとは?〜その誕生」
 >②「これまでに提唱された色々な階名」
 >③【重要】「その利点と完成形!」(←初めての方はここからどうぞ)
 >④「そのおぼえ方」

アルファベットで表した完成形

ドレミ〜の読み方には「固定ド読み」と「移動ド読み」という2つの方法があります。

これはどちらがいいのか昔から議論されている問題で、いまだに音楽の授業でも先生によって教え方がまちまちというのが現状だと思います。
ドバレビメソッドはその両方に対応可能。それぞれの違いと使い分けについて説明します。

固定ド読み

C音を絶対的に「ド」と固定して読む方式で、絶対音感を持っている方、もしくは鍵盤楽器や管楽器など、キーが変わると運指が変わってしまう楽器には固定ドが向いていると思います。

音楽の先生はもれなくピアノを弾けるので、どちらかと言うと日本の音楽教育においてはこちらが優勢。多くの小学生の頭の中もおそらくこちらになっているのではないでしょうか。

Key=Cにおけるメジャースケールのそれぞれの音程間隔は「全・全・半・全・全・全・半」です。

これを全体に1音上げたDメジャースケール「レ・ミ・#ファ・ソ・ラ・シ・#ド・レ」となりますが、ドレミで歌う時は「レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ」で歌い、脳内で「ファ」と「ド」にシャープをつけるというのが、一般的な考え方でしょう。

しかしここが最大の問題点なのです!
幼少の頃からピアノを習っていたりすればそのような頭になれるかもしれませんが、大人になってからこれを脳内変換できるようにするのは至難の業です。

一方、ドバレビメソッドでは「#ファ」は「プ(Vu)、「#ド」は「パ(Va)」で表します。「レ・ミ・プ・ソ・ラ・シ・パ・レ」で歌うことによってシャープがついた2つの音(黒鍵)が明確に区別できるのです。


移動ド読み

そのキー(調)の基音を「ド」とする方式で、絶対音感を持っていない人やギターやボーカルなど、キーが変わっても運指や感覚が変わらないパートには私はこちらを推奨します。

移動ドの利点はキーが変わっても読み方が一緒なので、ギターではフレットを平行移動するだけで移調に対応できます。
また絶対音感を大人になってから身につけるのは難しいと思いますが、相対音感(=移動ド読み)は大人になってからでも十分鍛えることが可能です。
頑張ってトレーニングすれば耳で聴いたメロディーを脳内でドレミに置き換え、すぐに楽器で弾けるという、誰もが憧れるようなこともできるようになると思います。

先ほどと同じKey=Cのメジャースケールです。今度はギター用のタブ譜もつけてみました。

これをKey=Dに移調し、移動ドで表すと…

固定ドではD音は絶対的に「レ」だったのですが、移動ドの考え方ではキーがDになったらD音が「ド」となります。
キーが変わっても音同士の間隔は変わらないので、タブ譜では全体的に2フレット上がっただけで、全く同じ運指で弾くことができます。ですからD音からスタートしても「ドレミファソラシド」のままの呼び名で読みます。

上記の譜例には出てきませんでしたが、もちろん♭や♯は「バビブベボ」や「パピプペポ」で対応してください。これまでのドレミ読みよりも格段にわかりやすくなるはずです。


固定ドと移動ドの比較


一例として同じフレーズを「バビブベボ」も含めた固定ドと移動ドの両方で読んでみましょう。
マイケル・ジャクソン「BAD」のイントロから使われている低音リフを参考にしてみます。キーはAmでA音が最初の音になっています。

【これまでの一般的な読み方】
♪ 「ラー・ドー・レー・#レ ミ、 ラ・ドー・レー・#レ ミ」
文字ではわかりやすいのですが、言葉で明確に歌えないのが最大の難点です。

【ドバレビメソッドでの固定ド読み】
♪ 「ラー・ドー・レー・ビ ミ、 ラ・ドー・レー・ビ ミ」
「#レ」を「Vi」にすることで明確に言葉で歌うことが可能になります。
(#系か♭系かをしっかり区別したい場合は「Vi」は「ピ」と読んで下さい)

【ドバレビメソッドでの移動ド読み】
♪ 「ドー・ビー・ファー・ブ ソ、 ド・ビー・ファー・ブ ソ」
ルートを「ド」とすることで、Vi=♭3度、Vu=#4度ということがわかりやすいのが利点です。
(#系か♭系かをしっかり区別したい場合は「Vu」は「プ」と読んで下さい)

このように"ドバレビメソッド"は固定ドにも移動ドにも応用でき、各パートによって最適な使い方ができます。
どう使うかはみなさん次第。音楽の授業で身につけた曖昧な知識もすっきりと解決できる、日本人にはとても使いやすい読譜法/唱法なのではないでしょうか。


イニサヨゴロナ


話は少し飛びますが、ドバレビメソッドを考案している中で面白い書物に出会いました。
ハンサム判治さん著の「ハイブリッド度数」という本です。

この方も私と同じように五線やドレミのありかたに長年疑問を持たれていたようで、実に面白い方法論を提唱しています。
直接知り合いではないのですが、私と同じような時期に同じようなことを考えていたようでとても親近感が湧いております。

この本の中では「ドレミファソラシ」を「1234567」といった度数の数字としてとらえ、その頭文字をとって「イニサヨゴロナ」と呼んでいます。それによって「移動ド」の考え方がどうしても苦手な「固定ド」派の人でも移動ド的な考え方を違和感なく使えるようにといったものになっています。

確かに思い起こせば私も中学校の音楽の授業で移動ドを少し教わったような気がするのですが、そのときは余計に混乱してしまった記憶があります。

ドバレビメソッドと合体させると「イバニビサヨブゴベロボナ」とまるで暗号のようになってしまいますが(笑)「1 Va 2 Vi 3 4 Vu 5 Ve 6 Vo 7」と書けばそんなに違和感はないのではないでしょうか。
ご興味のある方は是非読んでみてください。


ドバレビメソッド⑥「便利な使い方」へ続く


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