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3-3 高等専門学校への憧れ

前回は

 前回は高等専門学校が設置された経緯について述べましたが、そもそも、「高等専門学校」の存在を知らない方もいるかと思います。そんなマイナーな教育機関に、私が興味を持ったキッカケは、中学校の友人が高等専門学校に進学した事にありました。

高等専門学校への憧れ

 進学校に行くだけの学力もあった友人は、5年で大学卒業並みの就職が出来る学校である事に魅力を感じて、高等専門学校への進学を決めました。

 彼の話すキャンパスライフは、まるで大学生の様な生活で、普通科の高校に進学した私にはとても刺激的でした。一足早く学生になった友人を羨ましく感じたものです。友人から聞いていた話も交えながら、その実態について述べていきます。

高等専門学校の教育

 高等専門学校は中学校の義務教育を終えた人を対象とする教育機関で、5年を修学期間としています。
5年一貫教育を特徴としており、そのため後期中等教育(高校)にあたる1~3年も高等教育の扱いを受け、全体で高等教育機関として扱われています。

 学科は、以前は機械科や化学科など工業高校の様な分野別に分かれていました。最近はもっと大学にある学科に近い学科構成になっている様です。

 教育課程は大卒並みの技術の早期育成を目指していることもあって、工業に関する専門科目については大学の学部並みの時間が割かれ、内容も大学の講義や実験・実習と同様なものがなされている様です。一般教養に関する科目は、工業に関する基礎となる科目に重点が置かれており、その他の人文・社会科学系の科目が、高校・大学2年次までの5年間に受ける授業や講義より少なくなっています。

 教科書も専用の物が使用されていて、友人に見せて貰った教科書は、高校の教科書より内容が高度になっていて、先を越された気分がした記憶があります。おそらく、高校レベルの授業は早期に終わらせて、早い段階から専門の授業が始まっていたのだと思います。

 授業の形態も大学に近く、よく休講になると学校の周りに何もないので、暇を持て余している話などを聞いていました。

 進級などに関しても大学並みに厳しく、私の中学校から進学した人の中には、留年を繰り返した為に退学した人もいたらしいです。やはり授業のレベルが高校に比べて高いからなのでしょう。

高等専門学校の功罪

 高等専門学校は、大学受験などの為の学修が省かれている分、早い段階から専門的な学修が行われているという点では、高校から大学へという一般的な教育より合理的な制度ではあると思います。

 一方で、中学卒業の段階で進路が固定されてしまうという点では、もし選んだ学科が自分に合わなかった場合の進路変更が難しいという問題点もあります。その点に対しては、3年生まで在学して退学すると、高校卒業と同等の証明がなされて、大学受験も可能にはなっているそうですが、実際に受験するとなると高校生と比べて不利になるのは否めない事実だと思います。

 友人のケースでは、無事に5年で卒業出来て、今は化学に関連する企業で働いています。高度な授業・講義を無事にこなすには、大学受験の勉強とは違った意味での苦労があったのではないかと思います。憧れた高等専門学校ですが、その中に入ると、それなりに大変な日々であったのではないかと今になって思います。

 


 

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