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パッフェルベルのカノン

この曲、老若男女、おそらく誰しもどこかで聞いたことのある曲だと思う。


テレビや映画、式典、ホテルのラウンジなど、いろんな場面や場所で耳にする。
耳なじみのある曲ではあるが、一方で、この曲を作ったヨハン・パッフェルベルの事はあまり知らないと言う方も、多いのではないだろうか。


私もつい先日まで知らなかった。
ヨハン・パッフェルベルがオルガニストということ、パッフェルベル以上に今好んで聞いているバッハに影響を与えた人ということを。

私が最初にカノンに出会ったのは今から30年も前の話になる。
さ、さ、30年前!! 自分で書いていて、ひく(笑)

私には9歳上の姉がいる。
東京に就職し、ディズニーランドに連れて行ってくれると言うので、中学2年生の頃、大喜びで夏休みにバスと飛行機を乗り継ぎ、九州から一人で姉のもとへ遊びに行ったのだ。

姉が当時住んでいたのは田端であったが、姉が仕事が終わって帰る頃に合わせて到着する予定だったので、中学生ながらに雑誌で見た街を少しふら付いて行こうと思い、旅行カバンを持ったままポケット地図(懐かしか~)を持って、慣れない電車を乗り継ぎウロウロしてみた。

実家はド田舎だったので、人口は少ないし交通機関もワンマン電車と1日数本のバスだけ。

東京に来てみて、その人の多さにも驚いたが、車や電車の数も多い。
山手線で「この電車は人が多いから次を待とう」と、何本も電車を見送った後、「これが東京なんだ…」とようやく気が付き、覚悟して乗ったことを記憶している。


日ごろ、小さな町でこんなたくさんの人を見ることもなければ、いろんな音(騒音)を聞くことも無い。

特に東京の駅では、いろんな方向から人が自分に向かってくる。
何とか人をよけながら歩いていると、もはや自分がいる場所も、向かっていたはずの方向も、出口さえもわからなくなる。

普段の日常とは違う、目まぐるしい光景と騒がしい音、脳が情報処理しきれずにキャパオーバーで疲れてくるのか、だんだんと意識が遠くなる…。

結局、田舎者あるあるでしっかり人酔いし、憧れの東京!とワクワクしていた気持ちから、一刻も早くこの場から早く逃げ出したい…という気持ちに変わっていった。

そんなこんなで、新宿駅で放心しながら、ほぼ迷子になっている私の耳に、駅の構内のどこかから聞こえてくる曲…。

バイオリンのようだ…。

吸い込まれるように、そのままふらふらと曲が流れてくる方へ呼び寄せられていった。

音のなる方向に行けば行くほど、体で感じる音が大きくなり、耳に入ってくるというより体が包まれてくというか…
 
当時、駅の構内では巨大なスピーカーで音楽を流し、ワゴンで大量のCDを売っているお店があった。

私はしばし、この曲に身を任せていた。

目から入る「早回し動画」のような情報と、耳から入る「ゆっくりと流れる」情報が、相反するものだが同時に過ぎていく…。
クロノスタシスが同時に起こったのか、この2つの異空間を身体で感じた光景、30年経っても記憶に焼き付いている。

新宿駅の喧噪・雑多な空間の中で、この「カノン」だけが別の空間を作っているというか…、
その曲の流れる(聞こえる)範囲を、何かとても清いもので浄化しているような気すらした。

もし、流れている曲が別の曲だったら、たぶんそのCD屋さんに立ち寄ることはなかっただろう。
その場で、購入して姉の所へ向かった。

私の一生を左右する衝動買いだったと、今では思う。

そのCDにはパッフェルベル以外の音楽家の曲も入っていたが、私はひたすらカノンだけをへビロテしていた。

その後、カノンがこれだけ素敵な曲だから、きっとパッフェルベルのほかの曲も素晴らしいだろうと思って、一時期探してみたものの(当時インターネットなどはない)、その時の自分では探し当てられなかった。

wikiによると、カノンは作曲時期や経緯は不明とされている。
しかも、楽譜は筆写譜でしか残っていない。
作曲の年は1680年とある。340年も前。

3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調』(原題: Canon a 3 Violinis con Basso c. / Gigue) はバロック、代ドイツの作曲家ヨハン・パッヘルベル室内楽曲、作品番号 PWC 37。前半のカノンが特に有名で、パッヘルベルのカノンとして知られている。作曲時期や経緯は不明。現存する最も古い楽譜は19世紀の筆写譜である。

Wikipedia :カノン (パッヘルベル))

今ではバイオリンだけでなく、いろんな楽器で演奏されるが、この曲の素晴らしいところは、300年経っても、人の心の琴線に触れる変わらない何かがある。それが「何か」は私にはわからない。けど、魂なのか心なのか…何か大切な部分を大きく揺さぶられる。

そして、つい先日。

youtubeでオペラ歌手の車田和寿さんが、パッフェルベルのカノンについて解説している動画を発見したのです!!

その解説によると、バッハの父と交流のあったパッフェルベルが、バッハの長男の結婚式のために作った曲と言われているそうです。

結婚式の時の曲だったんだ~。
素敵な曲だな~。永遠に聴いていられる。
あと500年、1000年経っても。
きっと人類はこの曲に癒されると思う。

ありがとう。ヨハン・パッフェルベル。


そして、車田さんのおかげでパッフェルベルがオルガニストということが分かり、インターネットのチカラで、CDを買わずともオルガン曲を楽しむ今日この頃でございます。

【作曲家紹介⑪】パッヘルベルの生涯と名曲カノンの聴きどころを簡単に解説!!通奏低音もわかりやすく紹介!

https://youtu.be/Iadbxz79pac

#思い出の曲


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