ジコショウカイ
とある授業で自己紹介をした。
それまで、大学生になったら皆と同じように会話したり、発表したりできるようになるぞ!
と意気込んでいたが、やはりそう上手くはいかない。
大学のカウンセリングルームでは辿々しくはあったが会話をすることはできた。
でも、それと20人ほどの前で発表するのとは訳が違う。
自分の番がくるまで何を話すかを考えようと頭をフル回転させたが、「きちんと声が出るのか」「皆に聞こえるくらいの声量が出せるか」ということで頭が一杯で話す内容が纏まらなかった。
そして、自分の番になった。
私の名前が呼ばれて教壇に立つ。
すると、さっきまで言おうとしていたことが全て吹っ飛んだ。
とりあえず、名前と出身を言わなきゃ。
「〇〇です。」
ちっさ。
いくらなんでも小さすぎる。
多分1番前の席の人にも聞こえていない。
皆には無言で突っ立っている人にしか見えていないのではないか。
ひとまず落ち着け。
出身も言わなきゃ。
「おぉ、」
駄目だ。
やっぱり小さい。
息を吸い直して、もう一度。
「おぉ…」
やっぱり駄目だ…
もうどうしたら良いのか分からない。
その後、見兼ねた先生が助け舟を出してくれ、(緊張し過ぎてあまり覚えていないが、)先生からの質問に2つくらい答えてジコショウカイを終えた。
この前の授業も当てられて何も言えなかったから、今度こそ、と思ってたのに。
やっぱり、私はこのまま一生他人と話せないままなのだろうか。
悔しい、つらい、情けない、
家に帰って1人、洗面所で息を殺しながら涙を流した。
あの頃と何も変わっていない、変われない自分。
でも、もう言い訳はしたくないから、言い訳はできないから、変わらなきゃいけない。
早くひとになりたいな。
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